第四十八話 苦労人
別に読む必要はない気がするお話です
あれから二日後。コンの能力で起こった事件は幕を閉じた。当然大きな被害こそ出なかったものの魔警隊の人たちの中には重症の人も少なからずいた。だから俺たちが帰ってきたときにはかなり大騒ぎ状態だった。特に最後に現れた謎の能力者「エル」。このことについては誰もわからなかったらしいが隊長や魔警を裏から支えてるお偉いさん方はなにやらひと悶着があったという噂だが真相はわからない。ただ日が空いて落ち着いたら来てくれと隊長に言われたから多分何かしらあることは確実だろう。あのエルというやつ…最終的には倒した感じになっていたが多分まだ生きている。何者なんだ…
ユラ「まぁどうせ…考えたところで無駄か。」
俺の知識は古すぎる。俺が考えたところでなにか納得するような考えは浮かばないだろう。
あの後、コンは事件の容疑者…とまではいかなかったが自分の能力の制御ができなかったということで魔警をやめさせられることになったが…聖花が引き止めた。聖花曰く「能力の制御できるようになったんだから別によくない?」だそうだ。確かにもうコンたちは問題を起こさないだろうが…それとこれとは別だ。
やめさせられることはなくなったがもう一度研修からだそうだ。2,3年くらいはすることになるらしい。不安は残るがきっと大丈夫だろう。コンにはもう9人の仲間がいるんだし。
聖花に引き止められたこともありコンはその処遇に異論はなかったらしいが「能力」のせい、と解釈されるのは気に食わなかったらしい。とくにコンの仲間たちが。「俺たちがやったんだからコンは悪くない!」理論だ。気持ちはわかる。
トートが「過去への反省ということで」とまとめ上げていた。コンも大人になったらしくトートと同じ思考ではあったようだ。しっかりほかの仲間を引っ張っていた。
久慈さん、ジゲルさんたちはとくにケガもなく次の日から仕事を再開していた。さすがとしか言えない。
俺たちに今回の事を頼んできた神崎さんはとても感謝してくれた。コンの処遇にはあまりいい顔をしていなく、上に異議を申し上げようとしていたがマゴが止めたらしい。そういうのはコンちゃんはやってほしくないだろう、だそうだ。同年代なだけ理解しているのだろう
そうして俺は何をしているかというと…
ユラ「おかしいな…今日12/24なんだがな…」
クリスマスイブに残業をしていた。
副隊長の李地さんに仕事を任されたのだ。それもめちゃくちゃ多い。
能力消滅装置があった場所にはほかにもいろいろな本、資料があったらしくそれの解析をさせられている。数が多く中には読めないようなものもあるのであまり進んでいないのだ。天才李地さんもこの文献に付きっ切りになってられるほど暇ではないらしく基本間木ちゃんにやらせているらしい。
だが今日は間木ちゃんもさすがに忙しく不在。
うろうろしているところを李地さんにつかまってしまった。
別に手伝うのはいい。俺も知りたいことがあるから。だがなぜ今日なんだ?
世はクリスマスイブぞ?久しぶりに我もはしゃぎたいぞ?
深夜1時。一人で黙々と作業をしていると頭もいかれてくるというものだ。
ユラ「はぁぁ…もうすこしやったら寝るか…」
今すぐ帰ってもいいのだがいいのか悪いのかこの資料、結構重要なことが書いてあるのだ。
俺の持つ「本」にもたまに情報がのるがそこまで有意義なものはない。…毎回来るたびに誰が送っているのか不思議に思う。
ユラ「えーと…何々?『神化能力』がなんだって?」
さっきから読んでいると何回もこの言葉が出てくる。だがいまいち理解ができない。ところどころかすれているのだ。頑張ったところ次のことが分かった。
「神化能力とは一般的な能力を持つ能力者が本の力によって手に入れた神の系統の能力と混ざり合うことによってできる新たな能力。その力はすべての能力の中でも一つ上のレベルのもので神化能力に対抗するには同じく神化能力しかない」
らしい。
ユラ「神の系統…ねぇ…」
そんなもの聞いたことはないし俺の能力にそんなものはない。せいぜい思い当たる節があるとすればエルのあの光り輝いた能力や光の能力ぐらいだ。この二つはほかのものとは何か違う気がする。
が…今の俺はもうやけくそモード。何か考える気も起きない
ユラ「あとは李地さんにお任せだな!帰ろう!」
さらさらと紙にわかったことを書き残し帰り支度をする。まぁ帰るといったって寮だからすぐそこなのだが。
俺は別に何か持ってきているわけでもないのに持ち物確認をして魔警を出た。
ユラ「ん…?」
出たところにちょうど魔警に行こうとしている人を見つけた
ユラ「ギャラルさん!お久しぶりです」
ギャラル「うむ?…おぉ、ユラ君じゃないか」
ギャラルさんは前に俺にレベル10の試練を担当してくれた人だ。アレ以降会うのは初めてか。
ギャラル「ユラ君はこんな遅くまでなにを?」
ユラ「副隊長からちょっと…」
そういうとギャラルさんは頭を抱えた
ギャラル「はぁ…あの人は…間木のやつの時も注意したんだがな…」
ユラ「何がです?」
ギャラル「あの人に頼まれると断れないだろう?だからこうやってすぐ人を使うんだ…。しかも信用しているやつにしか頼まないから私がほかの隊員を送ろうとしても断ってくるんだ…。全く、魔警隊員をそんな簡単に縛らないでもらいたいのだがな…」
一番の苦労人はこの人な気がした
ユラ「まぁ…はい。お疲れ様です。ギャラルさんはお仕事ですか?」
ギャラル「あぁ。まぁ事務仕事だからな。…そうだ、ユラ君。一つ頼みごとをしてもいいか?さっき副隊長をああいった手前あれなのだが」
ユラ「まぁ別にいいですが…」
ギャラル「ありがとう。じゃあちょっとついてきてくれるか?多分今夜も…」
そうしてギャラルさんについていくとそこには…
聖花「むぅ…ふわぁぁーあ…」
酒を片手に酔いつぶれている聖花がいた
ギャラル「すまないがこれ持って行ってくれないか?毎夜のように最近ここで酔いつぶれているんだ。これでも三大チームのリーダーなんだがね…」
聞くところによるとこのところろくに休めていないらしくそこに世の中イブのきゃっきゃうふふムード。
青春を捨てる羽目になった聖花からすると大ダメージらしい。
ユラ「かいしんのいちげきをくらっちゃったんっすね…」
ギャラル「あぁ…メタル系でもないのにくらってしまったんだ」
断る気もないので聖花を連れてその場を後にした。ギャラルさんのあの安心した目…こんどなんかお菓子でも送ろう…
9割寝てる聖花を隊長室のところまで連れてきた。
中に入ると隊長はまだ起きてり、忙しそうにしていた
ウルウ「…」
その顔は目の前の端末にくぎ付けでこっちには全く気付いていなかった
ユラ「隊長」
ウルウ「…ん?おぉ、ユラと…あぁ、聖花またか…すまぬな。奥に連れてって着替えさせて寝かせてくれておくれ。わしいま少し手が離せなくてな。」
着替えさせろって…。とにかく俺は奥の部屋に連れて行った
聖花「んぅ…ユラ…君?」
ユラ「…起きたんならあと自分でやってもらえます?」
聖花「…お願いします…」
まだ寝ぼけてるなこれ
俺は聖花を部屋に連れて行った。めっっっちゃくちゃいい匂いがしたが気にしたら負けだ。
そして俺は無心に乗り聖花をぱぱぱーっときがえさせ、ベットに投げた。
着替えさせてるときにくすぐったそうに「ん…」とか言わないでほしい。
俺一応男なんだがいいのだろうかとかそういう考えはもうない。考えてちゃ話は進まないのだ。決してやましい気持ちを隠したかったわけではない。
聖花「…ありがと…」
ユラ「はいはい…」
なんかツカレタ
俺は聖花さんの部屋を後にして帰ろうとした
ユラ「じゃ、隊長。おつかれさまで…」
ウルウ「待った。」
まだ何かあるのかと振り返ると、そこにはいつもの隊長ではない険しい顔をした魔法警察隊隊長がいた。
ウルウ「話がある。拒否権はない」
隊長はそう言ってにんまりとした
なにやらまた始まりそうだ
うーん…いらなかったなここ




