第四十七話 終わりと始まり
コン「よっし!じゃあ帰ろうか、みんな。ちゃんと謝りに行くよ」
ロイヤル「そうだな…。たくさんの人に迷惑をかけた…。」
レート「身内事だからなおさら申し訳ないね…」
今回の出来事には全員が責任があるということになった。「私の能力だから」ということは言わずみんなに謝るよう催促した。これがこれからの私の、私たちの生き方だ。
フーペ「おなかすいたぁ…」
ヒア「俺もだ…」
トート「わしがおいしいもの作りますよ」
よっしゃあ!と無邪気な二人が走っていった。
早く久慈さんやジゲルさん。ユラさんにも謝らなきゃな…
これにて一件落着。…はずだった
何も感じれなかった。見えも、音も、何もなかった。
コン「………え?」
前を歩いているトートが吹き飛んでいった。それもかなりの距離を。
遠くに倒れこんだトートはまるで物のように倒れている。
私がその事実にやっと気づいたのはトートが吹き飛ばされてから10秒後だった
ロイヤル「…と、トート!?」
ロイが猛スピードでトートが吹き飛んだ方向に走っていった。
その時に起こった風でやっと私は状況を理解した。だが体はまだ追いついていない
フーペ「あぶない!」
あとすこしで頭を吹き飛ばされるところでフーペに守られた。が、フーペごと吹き飛んでしまった
コン「だ…だれ?!」
私たちを吹き飛ばしたであろう人物を見るとそこには…ユラさんとそこまで変わらないくらいの身長の女の子がいた……
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ラッシュ「ほうほう…なかなか面白い作り話ですな…」
ユラ「そうだろ?いやぁ俺小説家にでもなろうかな」
ラッシュ「ああ!いいんじゃないですか?きっとすぐ書籍化しますよ」
ユラ「お前はほめるのがうまいやつだな」
俺はもうすることがなかったので倒したラッシュと雑談していた。一回ルースとかいうやつが襲ってきた。ちょうど話が盛り上がってたところに来たため一瞬で焼いてやった。見たところ分身みたいだったから多分大丈夫だと思う。
ユラ「さて…と」
ラッシュ「ん?ユラさん。どうしました?」
ユラ「いや…もう終わったかなって」
ラッシュ「あぁ…そろそろ行ってみます?」
そうして俺たち二人は立ち上がるとちょうど久慈さんとジゲルさんが来た。コンの魔物たちが歩いてきていた。
ルース「コン姉さん元気かなぁ」
フード「僕の主だからね!きっと成長してるさ!」
久慈「さっきからフード声でかいんだよ!!うっさい!」
ジゲル「お!ユラ君!やっほー。げんき?」
なんだかジゲルさんのキャラが変わってる気がする
ユラ「なんかその岩みたいなの…なに?」
ごろごろと岩が動いていた
フード「あぁ。こいつはリカド!僕たちの仲間さ!」
久慈「私が倒したやつさ。なかなかやるんだよ、コイツ」
ルーペ「まぁ私たちの中じゃ力は一番強いからね」
まぁなんかいろいろあったらしい
ユラ「多分コンたちも終わっただろうし行きましょう」
久慈「おう」
そうして俺たちはコンがいるところに向かった。向かう最中ジゲルさんのキャラがおかしいことを久慈さんに聞いたら「すぐ戻るから気にしなくていい」とのこと。回答になっていない…
コンたちのところについてすぐに異変に気付いた
コンと…大きな狐が何かと戦ってる?
次の瞬間、大きくその何かが動いたと思うととてつもないエネルギー破がコンたちを襲った…
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コン「はぁ…はぁ…」
なんなの…この子…
私はいったん場を立て直し、ロイと戦っていた
???「…アルマロス」
その言葉を言ったと思ったら光り輝く閃光が私たちを襲う。
さっきからこの技ばかりだ。よけるのも精一杯なのにやっと攻撃のタイミングを見つけたと思っても…
コン「セブンブリッジ!」
いま私の心にはトートとフーペがいる。あとの二人はユラさんたちを探させに行かせた。
今使える能力は「剣技」と「守り」だ
???「…」
すまし顔で私の技をすべてよけていく。まるで未来が見えているかのように
コン「くっ…ロイ。大丈夫?」
ロイヤル「あぁ…まだ動けるが…」
さっき私たちが傷つけたせいでいつものように動けないでいるようだ
なんてタイミングで…。きっとトートをやったのはあの中で一番動けたからだろう。
私がトートの技を使っても本領は出せない…。一緒にやってこその技なのだ
もう出す手がない…。フーペの守りも目くらまし程度しかできない…
万事休すか…
???「…飽きた」
そういうとその子は手に力をためるよう動いて、そのためたものを放つ
とっさにロイが前に出てくれたがきっと無理だろう
???「ラジエル」
光が私達を包む瞬間、誰かに抱き抱えられた
その人物が誰かはわかっていた
…なんかもう主人公だな…この人
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ユラ「間に合ったか!?」
すんでのところでコンたちを抱き、よけられた
コン「ユラさん…ちょっと遅いかな…」
ユラ「悪い」
コンたちを下ろし、その攻撃を放った存在のほうを向く。
今の攻撃は何だ?『光』の能力のようにも見えたが…
ユラ「お前は何者だ?」
???「…」
何も言わず、その女の子はこちらを見てくる。引く気はないようだ
久慈「大丈夫!?」
ジゲル「なんだ…?今の…」
コン「大丈夫です…けどちょっと休みます…」
久慈さんたちが来てくれた。コンたちは任せよう
ユラ「久慈さん。俺がやっていいですか」
久慈「そうだね…今一番動けるのはユラ君だ。たのめる?できれば捕獲してね」
ユラ「了解」
そうして俺はそいつに向き直す
ユラ「…名前は?ないのか?」
どうせ答えないだろうと思っていたのだが、意外にも答えてきた
エル「…エル…」
ユラ「おぉ…エルね…」
当然だが聞いたことのない名前だ
できる限り穏便に終わらせたいが、どうやらエルはそういう気は一切ないらしい
エル「…アルマロス」
閃光を放ってきた。よけられなくもない速度だ。
ユラ「…ほっ!」
俺はその閃光を避け、エルに近づき攻撃をする…が
ひょいひょいとまるでそこに攻撃が来ることがわかっているかのようによけられ、蹴り飛ばされた
ユラ「ぐはッ…」
女の子とは思えない重さだ。これは手加減してたらこっちがやられる…!
ユラ「くっ…死なないでくれよ」
俺は剣を構え、エルに切りかかる。
ユラ「炎流八閃 三界凛火!」
いっさい揺らがない三回の炎の斬撃がエルを襲う
エル「…サリエル」
エルの目の前に大きい壁が現れた。
俺の攻撃はすべて受けられてしまった。エル自体は無傷だ。この光り輝く壁…切れる気がしない
ユラ「くそ…心配して損したぜ」
俺は本を使い、ステージ3に入る
ユラ「はぁあ!」
俺はエルのよける速度よりも速く動いているはずだった。だが当たらない。
ユラ「これは…」
本気を出そうか迷っている。龍をだすか?そんなことを考えていると
エル「もう…終わり?」
機械なんじゃないかというくらい無表情だったエルがしゃべった。
ユラ「そういわれちゃあ…やるしかねぇな」
俺は龍を出した。この龍を出すたびにいろんな人に驚かれるが…まさか俺が驚かされる側になるとは思わなかった
エル「ステージ4…」
エルの後ろに大きな白い龍が現れる。
ユラ「マジかよ…!?」
躊躇なく炎を放ってくるその白い龍に対して、遅れながらもこっちも炎を放つ。
だがお互い火の勢いは同じ。拮抗していた
ユラ「俺も動くか…!」
エルに近づき、剣を振る。…が、龍の尾に薙がれてしまった。
ユラ「ぐっ…これは中々…」
まずい。80年ぶりの危機感だ。どうしたらいいんだ?
ステージ5になるか?…いや、一撃に賭けるのは危ない…
俺は龍をしまう。するとエルも龍をしまった。本を持っていないのにどうして…?いや、服の中に隠しているのか?
とりあえず今の状況を打破する為、俺は奥の手を出すことにした。捕獲とか無理だなアレは
ユラ「借りるぞ…能力」
俺は重力の力を右手に、闇の力を左手に。これはいわば俺の切り札だ。まず使うことはない。基本、能力のかけ合わせはとてつもない体力を使うが俺は本の特典により負荷がない
さすがにこの力には危機感を感じたのかエルはさっきの無表情から一変、険しい顔をしている
ユラ「バグとは違う、能力を純粋に混合させた力。…行くぜ。お前ら」
俺は両手を合わせ、混ぜる。そして、放つ
ユラ「グラフォルス・魔鏡双破」
二つの黒い力が反射しているかのようにめちゃくちゃな重力の中を進んでいく。
エル「…!サリ…」
この技は威力も桁違いだがその本質には速度と幻だ。
重力の上にさらに重力をかけるように何重にも重なるその速度は軽く光速を超える。
よって、相手が思ってるよりその力は相手にたどり着く。
この世のものとは思えない音が鳴り響く。
…やりすぎただろうか
攻撃が直撃した場所には…なにもなかった。
ユラ「…これは消し飛んだとかじゃないな…。まさか逃げた?」
こうして今回のコンの事件はしっくりこないまま終わった。
あの女の子はなんだったんだ?
この時の俺はまだ今の戦いがこれからそう遠くない未来に起こる大事件の幕開けに過ぎないことを知らなかった。
おかしい…エルはまだまだ出る予定じゃなかったはずなのに…




