第四十三話 王様
久慈「さーてとどうしようかな…」
この岩の魔物…ほかのコンの魔物に比べて知性がないように見える。さっきから暴れているだけだ。フーペのほうがまだ良いほうだ。
今田「久慈さん!俺たちも攻撃をします!」
久慈「うん。お願い。私も戦いながら決定打を打つから耐えて。なんなら倒してください」
今田「久慈さん!?」
久慈「冗談だ」
今田のチームはしっかりチームとして成り立っている反面。高火力を出せる能力者が少なかった覚えがある。やっぱり私が決めなきゃいけない。…できる限り能力は使いたくないんだけどなぁ…
久慈「行くか」
私は岩の魔物に走り寄った。あまり考えて動いていないからスキを突くのは簡単だがこの硬さ…フーペよりも硬いんじゃないだろうか?でもコンによると力の強いやつとしか聞いていないんだが…
久慈「よっ」
また切りつけても多分同じ結果なので私は一気に後ろに回り込み…
久慈「せー…の!」
剣をさしてみた。ふざけているわけではない。この生き物の性質を知るためだ。もし血でも出てくるんだったらこの体全体をたたけばいいし出ないんだったらどこかに核となるものがあるはずだ。
結果は、ただ突き刺さっただけで何も出てこなかった。今田に伝えよう
久慈「今田リーダー。この岩のどこかに核となるものがないか探せないか?」
今田「俺の得意分野ですよ!俺の能力は『相手の一番弱い部分を探しだす』能力ですから!」
そう言って今田は岩の魔物のほうを向いた。
今田「時間はすこしかかります。もう少し耐えられますか?」
久慈「了解」
時間稼ぎならできる…が正直なところよくないな…。早くコンのもとに向かわなきゃいけない…
久慈「仕方ない…弱点が見つかり次第能力を使ってたたくか…」
私の能力『王』は能力の中でも特殊なもので使うと体力を使うのだ。これによって私は能力をポンポンと使えない。1,2回くらい使うなら全然大丈夫なのだが連続、または長期的に使うのはつらいものがある。我ながら不便すぎる能力な気がする。ただそれに見合った力は出せるから満足はしている。
さらにこの能力はまだまだほかの力がある。本をもらってから知ったのだ。そしてその中の一つに「能力者を信じているものがいればいるほど強く、さらに体力減少の負荷も減る」らしいのだ。まさに「王」のような能力だなぁと感じる。私自身王様って感じではないのだが…
今田「久慈さん!右の脇の近くです!」
久慈「OK」
私は剣を構え能力を発動する
久慈「キングソード」
高く飛び上がって光り輝く大剣を振りかぶり、一気に弱点を切り崩す。
岩の魔物は崩れ落ちた。ちょっとこの魔物が死なないかどうか心配だったのは秘密だ
今田「やった!!やりましたね!」
今田リーダーが近づいてきてくれた
久慈「そうだね。じゃあ、引き続き市民の安全確保と迅速な問題解決を」
今田「了解です。ここにいるもの。聞いたな?すぐに行動を!」
そういって今田はどんどんチームのメンバーに指示をしていく。優秀で何より。
にしてもさっき能力を使ったのに全然疲れなかった。これはもしや…
今田やほかのメンバーが私の事を信じてくれていたということだろうか。
まだまだ私の能力は謎が多かったが…この年になってやっと少しずつわかってきた気がする
久慈「よし、じゃあコンのところに…」
ドゴォォン…!!!
大きな音と砂埃が舞う。何が…?
そこには知らない魔物がいた。よくよく見てみると気絶しているようだ。
こりゃ…
今田「久慈さん!今何か…」
久慈「あぁ、大丈夫だ。多分ジゲルのやつだ」
今田「あぁ…ジゲルさん、相変わらずですね」
久慈「ほんとだよ…あの能力を使う時だけ人格変わるの何とかならないもんかねぇ…」
魔物をよく見ると泣いていた。
魔物を泣かせるって…
短めで。




