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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
一部
70/856

67階 帰郷

シークス達の一件もこれで終わりかな?


ダンジョンに便利機能が追加された・・・特定の人物を入れないようにする機能だ。まあ機能と言っても実際は結界みたいなものらしいけど


ダンジョンは僕の創造物・・・だから入れたくない人は拒否出来るのだとか。で、シークス達を入れないようにしてケン達に僕が作った装備を渡して一件落着・・・となった途端にダンコの興味は違う所に注がれていた


《あー面白かった!本当傑作ね・・・何を以て『ペギーちゃん一筋』なのか教えてもらいたいものね・・・ねえ?ロウ》


「うるさいなぁもう・・・仕方ないだろ?あの時は・・・」


潤んだ瞳で見つめられて身動きが取れなくて・・・仮面を外されそうになったけどなせが抵抗出来なかったんだ・・・危なく正体を晒すとこだったよ


「そ、それにしてもよくダンコは止めなかったね・・・僕がサラさん達に武器を作って渡すのを」


てっきり止められると思ったけどダンコは止めずにしかも手伝ってくれたりもした。少し疑問に思ったけど昨日は時間もなかったし聞かなかったけどなんでたろ?


《先行投資よ》


「先行投資?」


《あの人間達はかなり売上に貢献してくれたわ。これからも多分貢献してくれるでしょう・・・その人間を他の人間に殺されるなんて勿体ない・・・将来的に稼ぐ分に比べたら昨日の武具のマナ量なんてたかが知れてるわ》


「なるほど・・・納得」


《それに組合の補佐をしてくれてるあの人間は特別・・・ロウのお気に入りだしね》


「お気に入り・・・って違うから!そんなんじゃ・・・」


《ハイハイ・・・ところでいつロウは戻るの?28階が完成したら?》


うーん・・・旅に出るって言ってから結構経つしな・・・そろそろ戻らないと・・・


「今日中に28階を完成させて明日には戻ろうかな・・・やっぱり街の顔が居ないとね!」


《誰もそんな事思ってないと思うけど・・・》


「そんな事ない・・・ヘクト爺さんだってドカート隊長だって・・・それに・・・ペ・・・ペギーちゃんだって・・・」


《あー無理無理・・・箸にも棒にもかからないアナタを相手にすると思う?相手は冒険者ギルドの受付嬢・・・幾多数多の冒険者が集う場所・・・言ってみれば檻に入った狼の群れ・・・その中に置かれた肉、もう当然食い散らかされてるわ》


「そんな事!」


《ない?人間の女は強い者に惹かれやすいんでしょ?サラがアナタを見る目・・・それは強い者に惹かれている目よ。もしとんでもない強さの冒険者が現れてペギーを誘えば・・・果たして断るかしらね?》


うぐっ・・・もしそんな事が起きたら・・・食事だけならとついて行って数々の武勇伝を聞かされ、強い冒険者ならお金も持ってるだろうし経済力を見せつけられたりしたら・・・ぶっちゃけペギーちゃんが惚れないとは言い切れない!


「一体どうすれば・・・」


《簡単な話しよ・・・アナタがその強い冒険者になればいい。惚れる相手をぽっと出の冒険者ではなくロウニール・・・アナタが演じればいいの》


「ちょっと待て・・・僕は冒険者じゃなくて兵士だ。確かに別の場所のダンジョンに入る為に冒険者登録したけど・・・僕は兵士を辞めるつもりはない。それに強い冒険者って・・・力がバレたらどうするんだよ!」


《バレても良いじゃない。ダンジョンマスターであることさえバレなければ良いだけの事よ。街中で人気がないからといってゲートを使うよりよっぽどバレないと思うけどね・・・アナタが強くなっても》


「うっ・・・でも急に強くなったら・・・」


《それこそカルオスって街で言ったように『突然マナを使えるようになりました』って言えば良いじゃない。マナが使えないから弱かった・・・けどマナが使えたら強かった・・・それで解決よ》


んなバカな・・・僕を知らない人が聞けば納得してくれるかもしれないけど・・・僕だよ?僕を知ってる人なら疑うに決まってる・・・何かおかしいって思うに・・・決まってる・・・


《・・・ハア・・・まあいいわ。けど覚えといて・・・バラすのとバレるのでは危険度が全く違うわ。バラすのであれば色々と準備も出来るけど、バレた時は言い逃れなんて出来ない・・・そうなった時に大変な思いをするのはアナタだからね》


「・・・分かった・・・気を付けるよ」


バレた時・・・か


このまま隠し通せるのかそれともいずれバレてしまうのか・・・出来ればバレずに過ごしたい・・・じゃないと僕は・・・僕でなくなってしまいそうだ──────




28階が完成した次の日の朝、僕はエモーンズの近くにゲートで移動した


一応旅をして来たって状態を作る為にわざと地面に寝っ転がり服を汚していざエモーンズへ


緊張するなぁ・・・ローグとしてエモーンズには居たけどロウニールとしてはかなり久しぶりのエモーンズだ・・・まさかとは思うけど『誰?』とか言われたら死ねる・・・


街にゆっくり歩いて近付くと門番をしているヘクト爺さんとドカート隊長が見えた


へぇ、門番ってこんな風に見えるんだ・・・それに外から見る街の外壁は思った以上に威圧感があるな。トロールくらいの魔物だったら壁を見て無理だと判断して帰りそうなくらいだ



少し近付くと2人は僕に気付いたみたい・・・手を振るとヘクト爺さんは笑顔になりドカート隊長は・・・少し怒ってる?


更に歩きようやく門の前に到着


早速ギルドカードを見せようと懐を探しているとドカート隊長が腕を首に絡め締め付ける


「遅せぇじゃねえかロウニール!こちとら慣れない門番で苦労してたってのに!」


「ぐぅ・・・す、すみません・・・」


「で?上手くいったのか?」


「な、何とか・・・」


「まあ俺も初めて経験した時は男から漢に変わった気がしたもんよ」


「は、はあ」


おとこからおとこ?よく分からない表現だなぁ


「で?若い子と組みたか?」


「?・・・えっと、若くはなかったと思います」


ゲイルさんって若くは・・・ないよな?髭のせいでかなり年上にも見えたし実際30歳だっけ?・・・若いって言うのかな?


「そっか・・・まあ最初はベテランと組んだ方がリードしてくれるし楽しめるか・・・で?テクはどうだった?」


「テク?ですか・・・ほとんど僕がやってそのベテランの方の動きは見れませんでした」


「バッ・・・お前・・・そういう時はな、身を委ねるんだよ。若い子ならまだしもベテランならがっつかないでこう・・・好きにして・・・みたいな。そうすりゃ超絶テクを堪能出来たのに・・・もったいない」


「超絶テク・・・そうですね、今後の参考にもなりそうですし見とくべきでした」


「おうよ。まあでも素人にそんなテクを求めちゃダメだぞ?そういうのはあの空間で味わうもんだ」


「素人って?」


「そりゃーお前・・・まっ、先の話そうだから気にすんな。ちなみに外に出て正解だ・・・ここはろくなのが居ねえ」


ムッ・・・確かに人喰いダンジョンに比べたらまだまだだけどここのダンジョンも捨てたもんじゃないと思うけど・・・


「ドカートた・・・さんは行ったことあるんですか?」


「ストレートに聞くなぁ・・・まあ、ちょっと確認がてらな・・・ほら、街の兵士として見とかにゃダメだろ?そういう所は」


まあ確かに・・・ダンジョンブレイクが起きた時にどんな魔物が出て来るか知っておかないと対処が出来ないし・・・まあ僕がダンジョンブレイクなんて起こさせないけどね


「俺の事より・・・その初めての相手はどんな見た目よ?」


「え?・・・普通に魔物ですけど・・・最初はグールですね」


「ブハッ!グールってお前・・・大ハズレじゃねえか!・・・ん?最初はって事は何度も行ったのか?」


「ええ・・・次はダーエナで最後はマンイーターでしたね」


さすがに10階踏破したってことは言わない方がいいよな・・・急激に強くなり過ぎたら怪しまれるし・・・


「化け物揃いかその店は!てかお前もお前で魔物に例えるのはどうかと思うぞ?」


「え?」


「あ?」


店?ダンジョンの事を店って言うのが流行りなのか?まあダンコもダンジョン経営とか言うしマナの事も売上とも言うけど・・・てか、魔物を魔物に例えるって??


「・・・お前さんら・・・かなり話が食い違っておるぞ?」


会話を聞いているだけだったヘクト爺さんが呆れ顔でそんな事を言った


食い違ってる?どういう事?


「え?・・・旅先のダンジョンの話ですよね?」


「あ?・・・旅先の風俗の話だろ?」


「???」


「???」


なぜ風俗!?だってドカート隊長にははっきりとダンジョンに行くって伝えたはずなのに・・・


「お前・・・まさかマジでダンジョンに?」


「それ以外どこに行くんですか!」


「いやてっきり・・・だってダンジョンならこの街にもあるし・・・風俗なら納得出来るし・・・」


「なぜ!?」


「だって出身地の風俗なんて行ったら地獄を見る確率高ぇぞ?お前くらいの年なら友達の姉ちゃん・・・いや、母ちゃんが出て来てもおかしくねえからな。当たり外れで言えば外れる確率が高ぇ・・・だからお前は童貞を捨てに他の街の風俗に・・・」


どうしてそうなるんだ・・・まさか・・・だからか・・・あまりにもあっさり休む事を許可してくれたのは


「ハア・・・違いますよ・・・ちゃんとダンジョンに行ってきました。そもそも安月給でそういう場所に行ける訳ないでしょうに・・・」


「・・・まあそうだな。なんだ・・・漢になって帰って来たと思ったら・・・てかなんでこの街のダンジョン二行かねえんだ?せっかくダンジョンがあるっていうのによ」


「・・・この街だと甘えが出てしまいそうで・・・どうせなら新天地で自分を追い込みたかったんです・・・このまま一生マナを使えないのはイヤだったので・・・」


「そうか・・・ある意味『漢』になったわけだ」


だからそのおとこって何!?



やっとドカート隊長から解放され締め付けられていた喉を擦りながら睨んでいるとヘクト爺さんがスっと手を出して来た


「違うじゃろ!なぜ手を握る!?ギルドカードを提示せい!」


ああ・・・思わず手を出されたので握ったら怒られた


顔パスで入られると思ったけどヘクト爺さんはその辺厳しいもんな・・・


懐からギルドカードを取り出しヘクト爺さんに渡した


「ほう・・・本当にダンジョンに行ったようじゃな。GランクからFランクになっておる・・・一体どこのダンジョンに向かったのじゃ?」


「カルオスの人喰いダンジョンです」


「!?・・・なんと・・・」


「おいおい嘘だろ・・・」


へ?まずかったかな?でも嘘をついて後々バレた方が面倒な事になりそうだし・・・


「なるほどのう・・・道理で雰囲気が変わったと思ったわい・・・成長したのうロウ坊」


雰囲気が変わった?


「・・・自覚はないようじゃのう・・・兎にも角にも・・・エモーンズの街へようこそ・・・そしてお帰りロウ坊──────」

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