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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
一部
68/856

65階 新装備③

オーバーパワーだと!?


回復魔法とスカウトの能力の組み合わせ・・・特定の力を活性させるサポート魔法・・・まさかヒーラが・・・いや、あの()()か!


「お・・・おお!?・・・これは・・・」


「何これ・・・力が・・・」


「むおおぉぉ・・・力が溢れてくる!」


ヒーラの持つ杖の先から光が放たれケン達3人を包み込むと実感出来るほど力が強化されたのだろう・・・一様に驚いている


まさかサポート魔法とは・・・回復魔法は出来るからもしかしてスカウトの能力が()()に?


「・・・出来た・・・出来ましたローグさん!」


「ああ・・・見事だ」


・・・別にヒーラが凄い訳じゃないのに・・・あんなにはしゃいじゃって・・・


ローグもローグよ


『見事だ』なんて言っちゃって・・・そんな事言ったらヒーラが調子に乗るだけなのに・・・


「すげぇ・・・すげぇよヒーラ!いつの間にサポート魔法なんて身に付けたんだ!?」


「違うのです・・・私はただ指輪に宿った能力に合わせて回復魔法を使っただけ・・・私の力と言うよりは指輪の力・・・」


「それは違うぞヒーラ。道具の能力も使い手次第だ。もし他の誰かがその指輪を使い同じように出来たとしてもヒーラはその誰かより使いこなせばいい・・・サラが持っていた風を起こす武器『風牙扇』・・・もしサラ以外の者が持っていたとして果たして『風鳴り』と呼ばれるまでになっていたと思うか?」


「っ!・・・思いません・・・サラさんだからこそ・・・」


「ならヒーラもそうなればいい・・・ヒーラだからこそ使えると言わしめるほどに使いこなせばいい・・・ただそれだけだ」


「・・・はい・・・」


私を引き合いに出されるとなんか照れる・・・そう・・・私以外では風牙扇は絶対に使いこなせない・・・そう言われる為に必死に努力してきた。だからヒーラも・・・


「いや、マジで凄い・・・収納もそうだしサポート魔法まで・・・・・・てか、なんでヒーラだけ先に渡したんッスか?」


おっ!いいぞケン・・・それは私も聞きたいところだ!


「・・・立ち上がる為・・・かな?」


「立ち上がる為?」


「その先はヒーラに聞いてくれ」


ローグがそう言うとみんなの視線がヒーラに集まる


立ち上がる為・・・つまり立ち上がれたのはその()()のお陰?



「えっと・・・みんなごめんなさい!」


「え?」「ヒーラ?」「へ?」


突然の謝罪に戸惑う3人・・・私もなぜヒーラが謝ったか見当がつかず首を傾げる


「みんなは多分私があの時の事で怯えてると思ってたと思うんです・・・でも実は・・・確かに怯えてはいましたけどそうじゃないんです・・・悔しかった・・・あの時私は何も出来なかった・・・今までも・・・トロール戦の時も・・・私は誰かが傷付いた時にしか役に立たない・・・誰も救えない・・・そんな自分が嫌になって・・・」


「・・・ヒーラ・・・」


「誰も私を責めない・・・だって私はお荷物だから・・・誰も期待してないから・・・誰も私を責めない・・・」


「違う!俺達はヒーラが居るからこそ無茶が出来て・・・」


「ありがとうケン・・・でもそれなら私じゃなくてもいい・・・うううん、もっと戦闘が楽になるような・・・ヒーラーの方がパーティーとしては強くなれる・・・だってそうですよね?回復するだけならヒーラーなら誰でも出来る・・・連携も必要ないし仲間だから回復が強くなる訳でもないですし・・・」


「・・・」


「だから思ったんです・・・私は必要じゃないのでは?って・・・足を引っ張るくらいなら自ら・・・パーティーを抜けようかと考えました・・・」


ヒーラ・・・そこまで・・・


「でも今朝方ローグさんが部屋を訪ねて来て下さって・・・開口一番聞かれたんです・・・『悔しいか』って・・・みんなが怯えて閉じこもってると思ってたのに・・・ローグさんは私の気持ちを理解して下さってた・・・そう・・・私は悔しい・・・何も出来ない自分が情けない・・・そう答えるとローグさんは・・・『なら何か出来るようになればいい。その手助けはしてやれる。あとは自分でどうするか決めろ』と・・・」


それがあの()()か・・・


「指輪の能力を聞いてそんな高価な物は受け取れないと思いました・・・でも・・・私もみんなと共に居たい・・・みんなの役に立ちたい・・・その思いが・・・私を動かしたのです・・・立ち上がり自らの手で指輪を受け取り・・・こうしてここまで歩いて来た・・・みんなと共にこれからも歩む為に・・・」


「ヒーラ・・・」


「結果は見ての通り・・・私は戦えます・・・サラさんに努力してサポート魔法を見に付けろと言われたのに努力しないで身に付けてしまったのは残念ですが・・・でもこの指輪の力がみんなと共に居させてくれるなら・・・私は指輪の力を借りてみんなと共に・・・。それにトロール戦の後にサラさんが言って下さった状況を見ろという言葉もやっと理解出来ました。ローグさんは私に言いました・・・『ヒーラーは扇で言うと要だ』と・・・その2人の言葉を噛み締め理解しやっと分かったんです・・・私がパーティーでどう立ち回るか・・・」


そう・・・ヒーラーはパーティーの要・・・軸となる存在だ。傷付いた時にしか役に立たないと思ってるのはヒーラの性格が災いしてた・・・よく言えば大人しい・・・悪く言えば引っ込み思案な性格が災いし気付いたとしても指摘することが出来なかった


私はガゾスの影響かパーティーのリーダーに最も向いている職はヒーラーだと思ってる


戦況を見て細かく指示をするのに最も適しているからだ


まあその辺はパーティーの考え方にもよるが・・・ケンのように行動で引っ張っていくタイプもいればシークスのように恐怖で支配するのもありだろう・・・だが冷静な判断を下せるのはやっぱりヒーラーだと思う


「へへっ・・・なんだか数日会わなかっただけで妙に大人びたっつーか・・・成長したっつーか・・・」


「本当・・・私の知るヒーラじゃないみたい・・・こうやって大人になるのね・・・うんうん」


「ちょっマホ!?大人になるって何!?まさか・・・」


あの3人はしばらく変わらないな・・・ローグの武器のお陰で数段強くはなったが・・・くっ



ズキンと胸が痛む



そう・・・ローグは私ではなくヒーラに・・・


「さて、続きは隣の訓練所でやってくれ。すぐに使いこなせるものでもないだろう・・・しばらくはダンジョンではなく訓練所で色々と試す事をおすすめする」


「隣・・・ッスか?ここではマズイッスか?」


「ああ」


「了解ッス!みんな行こう!」


現金なものだな・・・受け取るまではあれだけ不審がってたのに・・・何となくみんなの道具の能力も理解出来たから少し手伝ってやるか・・・


「サラ・・・何処へ行く?」


私がケン達について行こうとするとローグから声がかかる


「ケン達の訓練を手伝おうと・・・」


「そんな事をしたら隣を使わせる意味がないだろ?」


「え?」


「ケン達にあるんだ・・・当然サラにも渡す物がある」


ドクンと心臓が高鳴る


いけない・・・期待しては・・・ローグならもしかしてと思ったけど・・・単にみんなに・・・私も含めたみんなに渡してくれるだけ・・・


「そ、それは嬉しい・・・一体何を・・・」


「え?マジッスか?俺達も見てていいッスか?」


「・・・最初は、な」


え?最初?


「まずは物を渡さないとな・・・サラには・・・これだ」


そう言って取り出したのは・・・服


昨日ローグに貸した私の・・・戦闘服・・・でも色が違う?赤から青に・・・まさか染めてくれた?


「服・・・ッスね」


「服ね」


「服ですね」


「まさかこれから生着替え!?」


ケン達が邪魔だ・・・もし居なければこの場で着替えるのもやぶさかではないが・・・いや、待て・・・さすがにお手入れもせず見られるのは恥ずかしい・・・ここは一旦外に出て・・・


「サイズは大丈夫だと思う・・・早速着てみてくれ」


まさかのローグから生着替えの所望!?ううっ・・・どんどん恥ずかしくなってきた・・・


「と、とにかくケン達は一旦外に行け!」


「いや、構わない」


羞恥プレイ!


まさかローグにそんな性癖があるとは・・・ここは受けるべき?でもローグ以外の人に・・・しかも男に見られるなんて・・・


ローグから服を受け取る


もはや待ったナシ・・・覚悟を決めるか・・・


そう思った瞬間、私の周りに突如土の壁が出来上がる


これは・・・


「ええ!?何あの邪魔な壁は」


「なんだスカット・・・女性の着替えを見られるとでも思ったのか?」


「え、いや・・・へへへ」


壁の外から聞こえてくる声・・・スカット・・・後で覚えてろ!


にしてもローグは紳士だ・・・ごめんなさい・・・少し性癖を疑いました・・・



ともあれ壁が出来たので早速着替えてみる


前の服と何ら変わりないように感じるが・・・うん、大丈夫みたい


「あの・・・着替え終わりました・・・」


そう告げると土の壁が消え、みんなの前に姿をさらけ出す。慣れた服だが色違いのせいか妙に恥ずかしいような・・・


「ではマナを流してみてくれ」


「はい」


やっぱりそうなんだ・・・能力付き・・・もしかしたら同じように身体強化?それとも別の能力が・・・


いつものようにマナを流す・・・すると・・・


「え?ちょっと!」


何も変わってないように見える為にケン達は首を傾げるが・・・この凄さをどう表現すればいいのだろう・・・同じ服だけどまるっきり違う!


「ケン・・・この石を握って割ってみてくれ」


そう言ってローグはケンに石を投げた


ケンはそれを受け取り不思議そうな顔をしながらも言われた通りに割ろうと力を込める


「ンギギギギ!・・・こ、これは無理ッス!」


「ならその石をサラに渡してくれ」


なるほど・・・そういう事ね


ケンが投げた石を受け取るとケンと同じように石に力を込める


すると近接アタッカーでありこの中で最もちからがあるであろうケンが無理だった石が私の手の中で粉々に砕け散った


「ゴリラ!?」


「誰がゴリラだ!」


失礼な・・・私の力が強いのではなくこの服が凄いのだ・・・身体能力が2倍・・・いや、3倍は下らない・・・まさかここまでとは・・・


「前の服はおおよそ1.5倍くらいだったかな?今は大体3倍くらいに上がるはずだ」


「さ、3倍・・・やっぱりゴリラ・・・」


「凄すぎる・・・」


ケン達も驚いているが一番驚いているのは私だ・・・もはやトロールと素手で殴り合っても勝てるのではないだろうか・・・とりあえずゴリラ言ってるケンは後でシメよう


「さて・・・ではそろそろ隣の部屋に行ってくれ」


「え?だってもう終わりじゃ・・・」


「最初は大丈夫と言ったろ?次は君達がいると試せない」


次・・・確かにローグはそう言った


つまり・・・私だけ・・・二つ貰えるって事!?


私だけ・・・私だけ特別・・・


「試せないって・・・すげぇ気になるんッスけど・・・」


「いずれ分かる・・・さあ行け」


「・・・はいッス・・・」


ようやくケン達が部屋を出て行き、私とローグの2人っきりになった


胸がドキドキする・・・この胸のドキドキは次の道具に期待しているのかそれとも・・・


「次は・・・これだ」


そう言ってローグが取り出したのは・・・風牙扇を思い出させるような鉄扇だった──────

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