627階 魔王妃
「脱げ」
ダンテはサラを部屋の中央に立たせると自らは椅子に腰掛けこちらを向くよう指示した後で一言サラに言い放つ
「・・・」
サラは無言でその指示に従いサラート用に用意し着ていた男物の服を脱ぎ始めた
「・・・下もだ・・・それとなんだ?その蛇は」
服を脱ぎ露わになった上半身・・・男達の視線は釘付けになるがそれを邪魔するように蛇が男達を威嚇していた
「・・・貴方が保険をかけたように私も保険をかけただけよ・・・約束が果たされなければ仲間に全部伝わるようになっているの・・・別に問題ないでしょ?約束を守る気なら」
「だな・・・けどさすがにちぃと邪魔だな」
「分かっているわ・・・ジャナ外で待ってて・・・夜が明けたら終わるから」
サラの言葉にジャナは頷くとシュルシュルと音を立てて体から這い降りダンテ達が見つめる中小屋から外へと出て行った
「普通の蛇・・・じゃねえよな?」
「当たり前でしょ?ロウが創ったの・・・私を守る為にね」
「そこんとこ詳しく聞きてぇところだが・・・」
「言うわけないでしょ?」
「だよな」
実のところサラでさえ把握していないジャナの能力・・・だがたとえ把握していたとしても決してそれをダンテには言わなかったであろう
どんな能力が分からない・・・それはダンテに対しての抑止力となるからだ
「・・・ロウニールが創った蛇か・・・まあどんな能力があるにせよオレ達が約束を守れば関係ない・・・そうだろ?」
「・・・ええ・・・約束を守れば、ね」
このまま犯され殺されてもおかしくない状況に今更気付いたサラはジャナを利用する。ダンテが何か企んでも『私が死ねばジャナから仲間に連絡が行くようになっている』と言えば抑止力程度にはなるはずだ
「・・・まあ出て行った蛇の事は忘れて早速始めようぜ。先ずは・・・」
「か、頭ぁ!・・・お、俺達も・・・」
「分かってるってそう慌てんな。夜は長ぇんだ・・・楽しもうぜ」
ダンテの言葉に歓喜する男達
サラを取り囲むように円になると様々な角度からサラを視姦し始めた
「た、たまんねぇ・・・これがSランクの・・・」
「ランク関係ねえだろ・・・けど・・・こりゃ普通なら一生お目にかかれないくらいの・・・」
「・・・芸術だ・・・」
「デケェ・・・何詰まってんだ?」
「・・・くっ・・・」
耳に入る卑猥な言葉はサラの神経を逆撫でる。拳を握り震えて耐えているとダンテは満足気に笑みを浮かべ次なる指示をサラに出す
「少しはサービスしろよサラ・・・しゃがんで足を開くとか、な」
「っ!貴様っ!!」
「嫌ならやめてもいいんだぜ?ヤルだけなら適当な女を攫ってくればいいだけ・・・オレが見たいのは羞恥心にまみれ絶望の中犯されるお前だ・・・それとも何か?早く子種を注いで欲しいってか?」
「・・・」
「早くしろよ・・・お前の都合で時間が延びたらその分延長すっぞ?」
「・・・分かって・・・いる・・・」
サラは声を絞り出すとしゃがみゆっくりと足を開く
囲んでいた男達は競うようにサラの正面に陣取り血走った目で食い入るように見つめ卑猥な言葉を投げかける
サラは好奇の目と卑猥な声に下唇を噛み必死に耐えながらダンテを睨みつけた
そのダンテは未だ椅子に座りじっくりと観察していた
露になった秘部ではなく自分を睨むサラの顔を
「・・・今度は顔をこっちに向けて四つん這いになれ」
「・・・」
サラはダンテに言われるがまま床に手と膝を付き四つん這いに・・・すると正面にいた男達はすかさず後ろへと回り込む
サラとダンテの間には誰も居なくなり四つん這いになったサラとダンテは見つめ合う
そして・・・
「・・・渇いていやがる・・・」
「え?若干湿ってきてるような気もしやすけど?」
「そっちじゃねえ!・・・サラ・セームン・・・何故だ・・・何故恐怖を感じていない?この状況に何の救いがあると言うんだ?」
「頭?」
「これからお前は犯される・・・朝まで大勢の・・・見知らぬ汚ねえ不格好な奴らに、だ。それなのにお前は絶望してねえ・・・それどころか怒りを含んだ視線をオレに向けやがる・・・何故だ・・・何故・・・」
「・・・これが済めば彼に会える・・・だから・・・」
「先を見て・・・希望に縋っているから?・・・いや、ありえねえ・・・何故本能が拒絶していない?この状況を望んでいるとは到底思えねえが・・・」
「頭・・・さっきから何を・・・それより早く入れてえんですが・・・」
「待て・・・やりてえ気持ちは分かるが今のままだとオレの渇きは取れない・・・絶望し泣き叫ぶ姿をこの目に焼き付けてからじゃないとな」
「な、なら突っ込んでやりゃヒーヒーと泣き叫びますよ!もう俺は・・・」
1人の男が我慢の限界に達したのかズボンを下ろしサラに近付くと尻を掴みそそり立つモノを彼女の秘部に押し当てた。このまま腰を押し出せば・・・サラはそれを感じ取り顔を歪めるがそれもダンテの望むものではなかった
「待てと言っているだろ!・・・殺すぞ?」
座りながら殺気を放つダンテに気圧され男のモノは勢いをなくし下を向いてしまう。そして尻から手を離すとゆっくりと後退る
「・・・サラ・・・てめえ何か隠してやがるな?」
「隠すだと?こんな格好をさせておいて何を隠すと言うのだ?」
「・・・防衛本能が欠落してんのか?・・・いや・・・そうか・・・そういう事か・・・」
「勝手に納得してないでさっさと済ませたらどうだ?それとも鑑賞会で終わるつもりか?」
「この嘘つきめが・・・おい誰か木の棒を持って来い。手で握れて長いやつだ」
ダンテは何かに気付いたのか取り巻きに棒を用意させた。そしてそれを手にしながらサラに振り返る
「何をするつもりだ?今更『戦い』に潤いを見出したのか?それなら私は大歓迎だが・・・」
「ケツをこっちに向けろ」
「・・・まさかその棒を・・・それで私が絶望するとでも?お前らのモノより遥かに・・・」
「マシ・・・か?本当にそう思うか?」
そう言ってダンテはナイフを取り出すとそのナイフで木の棒の先端を斜めに切り尖らせた
「なあ・・・これを突っ込んだらお前の腹の中はどうなるだろうな?」
「・・・貴様・・・」
「安心しろ・・・殺す気はねえ。ただ嘘つきにはバツを与えねえとな・・・てめえ身篭ってるだろ?」
「っ!・・・」
「身篭るって頭・・・こんな腹でそりゃないでしょ?身篭ってる女ってのはこう腹が出て・・・」
「初期は目立たねえんだよ・・・そっから1年近くかけて徐々に大きくなっていく・・・まあ普通は初期じゃ身篭ってる本人すら分からねえらしいからな・・・道理で絶望しねえ訳だ」
「?・・・身篭ってるのと絶望が何の関係があるんです?」
「オレらが今からやろうとしている事は何だ?」
「そりゃ気持ちいいことを・・・」
「ちげぇよ・・・子作りだ」
「え?」
「嘘か本当か知らねえが人間を創った奴が人間を増やそうと思い付いたのが子を作ること・・・で、男と女を作って子作りするよう仕向けた。けど思うように増えなかったから新たに与えたんだよ・・・快感をな。その快感を求めて人間は子作りするようになり人間は増え続けた・・・って訳だ」
「・・・意外と博識っすね・・・」
「長く生きてりゃくだらねえ話なんざ腐るほど入ってくる・・・クソの役にも立たねえ情報もな」
「けどいまいちまだ関係が分からねえんすけど・・・」
「お前ら街中で女を襲っても嫌がられねえか?嫌がられるだろ?けど互いに快感を得られるなら拒む理由はなんだ?」
「・・・そう言われればそうっすね・・・互いに気持ちいいなら拒む理由なんて・・・」
「だろ?まあ答えは単純だ・・・てめえらの汚ねえモノを入れたくねえってだけ・・・」
「ひでぇ!たまには洗ってるのに!」
「冗談だよ。汚ねえのは本当だけどな。つーか、半分冗談半分本気ってところか?まあ要するにだ・・・子ってのは親の色んな部分を受け継いで産まれて来る・・・見た目だけじゃなくて能力なんかもだ。んで男も女も感じるんだよ・・・コイツとの子はいい感じになるってな」
「・・・ならいい感じの子が産まれそうな相手なら強引にやっても・・・」
「バーカそんなすぐに分かったら苦労しねえよ。いきなり襲って『あ、この人とならいい感じの子が産まれるかも』なんて思うかバーカ。じっくり相手を見定めてコイツとならって確信してようやくって感じだ。それが年単位なのか月単位なのかは人それぞれみたいだがな・・・ってオレはお前らに何話してんだ?」
「この女が身篭ってると絶望しないのは結局・・・」
「あーそうだった。つまりだ・・・既に身篭ってるサラはどんなにヤラれても平気なんだよ・・・お前らの汚ねえモノを入れられて出されても身籠る心配がないからな」
「なるほど・・・ならただ気持ちいいだけってことっすね?」
「・・・まあ不快は不快だが愛する旦那の為なら我慢出来る程度なんだろうよ。で、これからオレがやろうとしている子とは・・・」
「事は?」
「この棒をサラに突っ込んで腹の中をぐちゃぐちゃにしてやんのさ・・・腹の中のガキが死ぬまで・・・な」
「っ!!ダンテ・・・貴様・・・」
「そ、そんな事したらこの女まで・・・」
「なーに大丈夫だ。お前らオレの力を知ってんだろ?ぐちゃぐちゃにした後は綺麗さっぱり治してやるさ・・・お前らのガキが産めるように、な」
ダンテの言葉を聞いて絶望と歓喜が入り交じる
サラは青ざめ震え始め男達は狂喜乱舞しダンテはようやく潤ってきたとほくそ笑む
「やめだ!!そんな事・・・させるものか!!」
「おいおい・・・一方的な契約破棄なんて許されると思ってんのか?最初から言ってりゃいいものを・・・おかしいと思ったんだ。孕ませられる恐怖が一切ないのがな」
「黙れ!!言う必要などなかったはずだ!」
「潤うには必要な事だった。お前がコイツらに犯され絶望しその上でオレが犯してようやく楽しめるんだよ・・・絶望が抜けたら楽しくねえ・・・だろ?」
「知るか!約束はナシだ!私は・・・」
「ワガママ言うなよサラ・セームン。それにコイツらみんなお前を見て滾ってるんだ・・・簡単に帰す訳ないだろ?」
「だったら・・・押し通るまで!」
「さすがSランク冒険者・・・凄い迫力だ。けど出来るかぁ?マナを使えない状態でコイツらの相手が。一応それなりに鍛えてるぞ?」
サラに戦うつもりはなかった
逃げられれば・・・子を守れればそれでいいと全裸のままダンテの後ろにある扉に向けて駆け出した。が、それを予期していた男達が扉の前に陣取り他の者達はサラに襲い掛かる
「邪魔だ!どけ!!」
「うおっ!・・・これで首輪付きかよ・・・ちゃんと機能してねえんじゃねえか?」
マナの使える男達とマナを封じられたサラ・・・普通なら男達が圧倒的に有利な状況にも関わらず男達はサラを攻めきれずにいた
しかし・・・
「このクソアマが・・・手間取らせやがって・・・」
遂に捕まえ4人がかりで床に押さえつけた
そして強引に足を開かせると・・・
「どいてろ・・・俺がやる」
ダンテから棒を受け取った一際ガタイのいい男がサラの前に立ち棒を構える
「くっ!・・・うおおおおお!!」
「なんつー力だ!おいさっさとやれ!」
「分かってんよ・・・いいから黙って押さえとけ!」
そう言うと男は先端をサラの秘部に押し当て一気に──────
「っ!うぉっ汚ねえ!!おい誰だ!?先走ったのは!」
男は棒を離し飛んで来て手にかかった粘液を振り払う
「ふざけやがって・・・ん?お前らなんで上を見てんだ?」
手にかかった粘液を出した奴に文句を言おうと周りを見ると全員が全員天井を見上げていた
男も気になり見上げると・・・
「げっ!?・・・ス、スライム!?・・・な、なんだ?手が熱っ・・・手が・・・手がぁ!!」
粘液のかかった部分から煙が出るとあっという間に男の手を骨まで溶かす。それは誰かの出した粘液ではなくスライムの・・・ダンジョンクリーナーと言われているスライムの一部であった
《魔王妃見つけた》《魔王妃守る》《魔王妃》《魔王妃》《魔王妃》《魔王妃》《魔王妃》《間一髪にゃ》《魔王妃》《魔王妃》《魔王妃》《魔王妃》《魔王妃》《魔王妃》
どこからともなく聞こえる声
その声がスライムから発せられていると気付いた時、小屋の扉がけたたましく開かれる
「頭ぁ!!魔物が・・・魔物の大群が!!」
見張りをしていた男達が血相を変えて小屋に入って来て叫ぶとダンテは眉間に皺を寄せ椅子から立ち上がり急ぎ小屋の外へと向かった。すると・・・
「・・・これは・・・」
「ど、どうしたんです頭?魔物の大群って一体・・・っ!?・・・なんだよ・・・これ・・・」
絶句するダンテの横に並びダンテと同じものを見る取り巻きの1人はその光景を見てその場にへたり込む
「サラ・セームン!貴様・・・謀ったな!」
振り返りサラを睨みつけ叫ぶダンテ
しかしサラは男達の手を振りほどくと立ち上がり首を振る
「・・・私じゃないわ・・・けど何が起きてるかだけは言える・・・」
「なに?」
「聞こえない?彼の足音が近付いてくる音・・・私にとっては希望の・・・貴方達には絶望の足音が」
「絶望の足音だと?・・・まさか!」
「そのまさかよ・・・あまり好きな言葉じゃないけど・・・どちらかと言うと嫌いな言葉だけど言うわ・・・絶望を知りなさい」
その言葉に従うように小屋周辺を埋め尽くしている数多の魔物は左右に分かれ道を作る
するとその道の奥から1人の男が姿を現した
「・・・てめえ・・・どうして・・・」
《あー・・・いまいち寝起きで状況が把握出来ないんだが・・・なんで俺の妻が裸なんだ?》
言葉に含まれた殺気が周囲を覆う
それは『不死者』と呼ばれるダンテさえも死を予感するほどの殺気・・・その濃密な殺気を受けへたり込む者や震え出す者・・・中には失禁する者まで出る始末。それを見て男は呆れると唯一まともに話せそうなダンテに視線を向けた
《なあ答えてくれよ・・・ダンテ》
「どうして・・・どうしててめえがここにいるんだ!ロウニール・ローグ・ハーベス!!」
《どうしてって・・・ここが俺のダンジョンだからだ・・・歓迎するよダンジョンへようこそ──────》




