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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
一部
62/856

59階 VSダンジョンキラー

「とうとう現れたか・・・仮面の男・・・ダンジョンナイト!」


「・・・」


さて、状況を整理しよう


昨日は28階を作るのに没頭してしまい気付いたら朝だった。そこから寝ていたらダンコが僕を起こした・・・サラさんが襲われているって言って


今、目の前にいるのは『ダンジョンキラー』と呼ばれているAランク冒険者達。スラミには彼らの動向を逐一報告するように伝えていたはずだ・・・が、スラミは僕に報告しなかった


その理由は単純・・・僕とスラミの感覚の違い


スラミは彼らが冒険者を殺そうが何しようがダンジョン的には問題がない・・・報告する必要が無い・・・それよりもマスターである僕の睡眠の方が大事だ・・・と判断した


そうだよな・・・魔族のスラミにとって冒険者なんてただのダンジョンの侵入者・・・その侵入者同士が戦ってもダンジョンに影響なんてない・・・むしろマナが溜められてラッキーくらいなもんだ・・・説明しなかった僕が全面的に悪い


ダンコもここで起きてた事を把握していたが感覚的にはスラミと同じ・・・いや、スラミより冒険者がどうなってもどうでも良かった感がある


ただダンコとしてはサラさんは人間の中でも必要な部類に入るらしい・・・ダンジョンへの貢献度もそうだし、組合でも補佐をしてくれているからだろう


だからサラさんが危なくなって慌てて僕を起こし、それを聞いた僕が急いでここに来た・・・で、現在に至る


「それにしても・・・想像していたより全然弱いじゃないか・・・かなり拍子抜けだよ。まっ、ボクとしてはあの事を聞ければいいのだけどね」


倒れそうになっていたサラさんを咄嗟に支えたが・・・これは酷い・・・体には傷が見当たらないが顔だけ集中的にやられたみたいで腫れて目も開かない状態だ・・・特徴的な団子頭と服がなければサラさんと分からないほど・・・よくもここまで出来るもんだ・・・


「おい!聞いてるのか?君がダンジョンナイトだろ?おーい!」


とにかく治療をしなくては・・・さてどうするか・・・多分気を失ってるよな?それならゲートを開いて指令室に・・・いや、流石にあそこはまずいか・・・となると安全な場所だと・・・


「・・・なるほど・・・こりゃ調教が必要だな・・・サラと同じように調教してあげるよ・・・ボクの言葉に真っ先に返事するように、ね」


「・・・調教?サラと同じように?」


なんだ調教って・・・サラさんに何をしたんだ?


「やっと反応したね・・・サラにした事を聞きたい?単純だよ・・・殴らせてそれを躱して特定の言葉を言い頬を叩く・・・ただそれだけを繰り返しただけ・・・簡単だろ?サラの場合は『ダメ』って言葉だ・・・ほら、反応しただろ?」


確かに奴が『ダメ』と言った瞬間にサラさんの体がビクッと動いた。それをこんなに顔が腫れるまで続けたのか・・・


「何の恨みがあってこんな事をする?同じ冒険者だろ?」


「恨み?そんなものはないよ。まあ条件が重なってね・・・彼女はボクと同じ武闘家だった・・・それとこのダンジョンで冒険者をいじめると君が出て来ると聞いた・・・だからボクはサラを調教したってだけだ」


「・・・意味が分からんな」


「分かんない?誰かを屈服させると得られる征服感・・・縋るような目で命乞いをされた時は本当にもう・・・本当はサラにはもっと期待してたんだよ?もっと強ければ調教じゃなくて倒して征服感を満たそうとしたけど・・・あまりにも弱かったからね・・・調教して征服感を満たそうとしたのさ。でも・・・君が来てくれたからサラはどうでもいいや・・・ボクの征服感を一番満たすのは・・・ダンジョンコアを破壊した時だからね・・・さあ、教えてくれ・・・ダンジョンコアはどこにある!?」


「なるほど・・・分からない。だが・・・一つだけ分かった事がある」


「へえ?何が分かった?」



「お前は・・・このダンジョンには必要ない」



ふつふつと湧き上がる怒り・・・その怒りが何故か僕を冷静にさせる


要らない必要ない不要ゴミ邪魔・・・ダンジョンで息をする事すら許されない


「!?・・・君は・・・何者だ?・・・」


「探してたんだろ?・・・ダンジョンナイトだ」


「くっ!気を付けろ!何か来っ・・・!?」


僕達の周りだけを残して地面が消える


当然Aランク冒険者と言えども地面がなければ落ちるだけ・・・彼らは為す術なく下の階へと落ちて行った


《本当不快ね・・・殺さなくていいの?》


「先ずはサラさ・・・サラの治療が優先だ。それに・・・今の私では勝てない・・・まともに戦えば、ね」


地面を元に戻し気を失っているサラさんを抱き抱えるとゲートを開く


《・・・ねえロウ・・・もしアナタの実力があの人間達を上回っていたら・・・》


「決まってるだろ?その時は・・・殺すさ──────」




「・・・ね・・・さ・・・姐・・・さん・・・姐さん・・・」


遠くから声が聞こえる・・・この声は・・・ケン?・・・そうか・・・無事だったか・・・無事?・・・私は確かシークス達と・・・それで・・・!!


「ローグ様!!」


目を開けて起き上がると私はベッドの上にいた


私はダンジョンにいたはずなのに・・・何がどうなって・・・


「サラ姐さん!」「サラさん!」


名前を呼ばれて見るとケンとマホ・・・しかもここは・・・私の部屋??


「良かった・・・このまま目覚めないかと・・・」


「何があったんだ?私はダンジョンにいたはずだが・・・」


「ああ、それならあの人に聞いた方が早いと思うッス」


あの人?


ケンが後ろを見たので私もケンが見た方向を見ると・・・


「!!??!!?」


「サラ姐さんを担いで出て来たッス!ねえダンジョンナイト」


「・・・ローグだ。どうやら平気みたいだな」


ちょちょ・・・ちょっと・・・なんでローグ様が・・・私の部屋にいるのよ!!・・・はっ!顔・・・確かシークスに散々叩かれて腫れてるはず!


すぐに顔を触って確認するとやはり少し腫れている・・・ああ・・・私はこんな顔をローグ様に晒して・・・・・・・・・死にたい・・・


「少しいいか?」


ローグ様が言うとケンとマホは頷き、何故か部屋を出て行ってしまった


つまり・・・今・・・私の部屋で私とローグ様・・・2人っきり・・・なんでこんな時に私の顔は腫れているんだ!・・・いや、そんな事を考えてる場合じゃない・・・ローグ様に聞かないと・・・


「あの・・・後・・・何が起きたのですか?・・・シークス達は・・・」


私はなるべく顔がローグ様に見えないように手で顔を隠すと私が気絶した後のことを尋ねた


「君が気絶した後、君を抱えて逃げた・・・流石にAランク冒険者は厳しいからな」


そうよね・・・流石のローグ様でも・・・!?今何て??・・・抱えて!?・・・私を!?いや、待って・・・そうじゃない・・・まずは・・・


「その・・・いつもありがとうございます・・・ローグ様にはいつも・・・」


「とんでもございませんサラ様」


「あっ!・・・・・・えっと・・・いつもありがとう・・・ローグ・・・」


染み付いたローグ様崇拝思考が出てしまった


ちゃんとしないと・・・ただでさえ顔が腫れてて酷い有様なのに・・・


「いや、助けるのが遅くなってすまなかった・・・もっと早く駆け付けれたら・・・」


「そんな!助けて頂いた・・・くれただけでも十分で・・・す」


あー、普通に話す事がこんなにも難しいなんて・・・もどかしい・・・


「・・・サラ・・・」


「は、はい・・・」


なんだろう?私の名を呼んだまま無言のローグ・・・もしかして・・・え?このタイミングで何を言おうと・・・


「・・・『ダメ』だ」


「!!」


体がビクッとして動きが止まる


ダ・・・メ?


「あ・・・ああ・・・」


「ちっ・・・やはりか」


な、何が『やはり』なんだろう・・・頭が痛い・・・ローグが居るのに・・・この場所から逃げ出したい・・・


「・・・サラ・・・しばらく私は傍に居る・・・共に解決策を探ろう」


解決策?・・・何の・・・って言うか・・・


「君は『あの言葉』に過剰に反応してしまうようになってしまっている。このままでは君は・・・治し方はまだ不明だがそれまで・・・サラ?・・・まだ言うべきではなかったか・・・サラ、大丈夫か?」


「ローグ・・・その・・・治るまで・・・」


「ああ、傍に・・・」


「ヤッター!!」


「・・・どうやら治ったようだな。私はこれで・・・」


「待って待って!違うの・・・その・・・ね?」


しまった!思わず喜びが爆発してしまった


そう言えばシークスが調教とか言って・・・『ダメ』と言う言葉を聞くと体が竦んでしまう


確か似たような言葉でも反応してしまうとか・・・このままでは冒険者を続ける事は出来ないだろう


と、それは置いといて・・・まさかローグがずっと傍に・・・これはもしかしてシークスは恋のキューピット!?・・・いやいや、奴らにはそれ相応の罰を・・・私はともかくケン達を襲った罪を償わせないと・・・


「・・・その・・・少しの間でいいので・・・一緒に居てくれますか?シークス達を・・・」


「そう簡単に治るものでもないだろう。先程のは冗談だ。それでアイツらの事は私に任せて欲しい・・・一応考えがある」


「えっと・・・先程の冗談とは何を指すのでしょう?」


「アイツらの事よりそっちか・・・立ち去ろうとしたのが冗談だ・・・治るまで共に居ると約束しよう・・・ただ、私にも事情があってな・・・しばらくしたら日中は用事があって外さなくてはならない。その時は部屋に居るなり・・・」


「つまり夜は一緒に居てくれるって事!?」


ヤバイ・・・鼻血が・・・


「寝るまでは、な」


そ、そんな!・・・いや、待って・・・寝るまでって事はローグは用事が終わったらずっと私と一緒って事よね?用事が何時まであるか分からないけど夕方からなら一緒に食事したりお話したり・・・ああ・・・夢のよう・・・


「・・・とにかく治るまでだ・・・今日はもう寝るといい・・・明日にはアイツらに処分を下す」


処分・・・ローグは一体彼らをどうするつもりなのだろう・・・聞きたい気持ちもあるけどそれよりも・・・


「あの・・・ケンとマホは居たけど・・・スカットとヒーラは・・・」


「安心しろ。命に別状はない・・・が、サラと一緒で心の方が、な・・・もしかしたらあのパーティーは解散になるやもしれん」


「え?・・・ケン達が!?」


「全ては明日話す・・・今は眠れ・・・そうしたら顔の腫れも少しは引くだろう」


ぎゃあああ!忘れてた!どうしようこんな顔で・・・


思わず顔を手で覆っていたらドアが閉まる音が聞こえた


パッと顔を上げると部屋には私1人のみ・・・ローグは私が顔を気にしている間に部屋を出ていってしまったのだ


でも・・・


「明日から私はローグと・・・くふふ・・・はっ!?それよりもヒーラとスカット・・・一体何が・・・」


命に別状はないと言ってたからひとまず安心だけど・・・パーティーが解散って・・・どういう事?──────

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