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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
三部
555/856

551階 エドバンの受難

まったく・・・なんて日だ


強えのは知ってたがフェルノ達が居ないとはいえマジでザード達を倒しちまうなんて・・・しかも自分は怪我一つせずに


更にギフトも使ってねえんだから驚きだ・・・まあ驚いたのはこれだけじゃねえ


ここがフーリシアってのにも驚きだが公爵?確か王位継承権を持つ貴族が公爵だよな?ロウハーがロウニールって名前でしかもその公爵だって?もはや笑いすら出て来やしねえ


んで訳も分からず会議に出させられこの日一番の驚きに出会う


サキ・・・って言ったか?・・・あんな女今まで見た事ねえ・・・あの女こそまさに性の化身・・・服着てんのに裸の女よりも興奮した


どうにかお近付きになれねえもんか・・・ロウハーとは何やら親しげだったがまさか奴の女・・・


「部屋に戻らないのか?気に入らなければ宿に戻してやってもいいぞ?」


広間のフカフカなソファーに座ってそんな事を考えているとロウハーが話し掛けてきた。本当にこのデカイ屋敷の主人・・・なんだな・・・ん?隣は・・・


「紹介する。妻のサラ・ローグ・ハーベスだ」


「どうも」


おぉ・・・こりゃまたサキに勝るとも劣らない・・・いや、でもサキの方が・・・


「エドバン」


「なんだ?」


「次サラをそんな目で見たら殺ンダ!?・・・サラ・・・痛い・・・」


盛大に後頭部を叩かれ痛がるロウハー・・・どうやらかなり凶暴のようだな・・・


「ったく・・・何を言おうとしてたんだか・・・そんな事言ってたら人類が滅んじゃうわよ。それとも私に外に出るなと言いたいの?」


「いやエトバンがエロい目でサラを見るから・・・」


見てねえ!・・・まあちょっと胸の辺りを見てたのは確かだが・・・


「まったく・・・ごめんなさいね。いつもこんな調子でしょ?迷惑かけてませんか?」


「そりゃあもう・・・っと、そんな事ねえ・・・よ」


女の背後から鋭い視線が・・・こんな状況で言える訳がねえ・・・『迷惑かけられまくりだ』なんて・・・


「そう・・・何か困った事があったら言って下さいね?」


へっ、言ったらその豊満な乳でも揉ましてくれるってか?それなら言わんでもないが・・・うっ・・・やっぱり止めておこう・・・命あっての物種だ・・・触れた瞬間この首が飛ぶ予感しかしねえ・・・


もし別の・・・あのサキって女だったら考えなくもないが・・・


「・・・なんか変な事考えてないか?」


「か、考えてねえよ!」


「そうか・・・じゃあ行くぞ」


「?・・・どこに?」


「定期健診と・・・お前の体の調査だ──────」





「おいどうした?早く入るぞ」


自分の体がこれから弄られるのに早くなんか出来るかってんだ


夜もどっぷり更けているにも関わらず街は眠る事を知らずまるで昼間のように賑やかだった


住宅街に行けばそりゃあ寝静まってるのだろうけど店が建ち並ぶ場所は夜にも関わらず人が集まり楽しそうに騒いでやがる・・・人の気も知らないで


にしてもロウハーの奴は公爵でこの街の領主なんだよな?俺とロウハー、それとサラと3人で街中を歩いているとすれ違う住民が気さくに声を掛けてきた


貴族ってのはもっとこう庶民を見下し相手にしないような感じじゃねえのか?これじゃあまるで・・・


「エドバン!」


「わ、わーってるよ!」


ロウハーに促され慌てて階段を駆け上る


そして立ち止まると首が痛くなるくらいの角度で見上げた


教会・・・見た事もねえくらいでけえ教会だ


今まで見た事のある教会で一番でかかったのは王都の教会・・・その倍以上の大きさに少し戸惑いながらも2人の後を追い中に入る


・・・なんだ?てっきり教会だからピカピカに磨かれた鎧に身を包む聖騎士や修道服を着た姉ちゃん達が居ると思いきや不揃いの服にガラが悪いって言うか・・・見た目普通だけど目だけがギラギラしている奴らがゾロゾロいやがるぞ?


「毎度こんな遅くに困りますぞ?ただでさえ日中は途切れることのない信者を相手に疲れていますのに・・・」


「アブールさん、私が遅くに来て欲しいとお願いしているのです。なので待っていて頂いている立場ですのでそのような事は言わないで下さい」


ゴロツキ・・・じゃなくて護衛っぽい奴の1人がロウハーに小言を言うと奥の方からそれを窘める声が・・・見ると背もたれが異様に高いヘンテコな椅子に座る女がいた


サキやサラが美女だとするとこの女は美少女って言葉が良く似合う・・・なんでロウハーの周りにはいい女ばかり・・・


「いやアブールの言う事はもっともだ。悪いな夜遅くに・・・セシーヌ」


セシーヌと呼ばれた女はロウハーの言葉を受けて笑顔で首を振る。好みじゃねえけど・・・この笑顔はたまんなねえな


「悪いと思っているならもう少し遠慮したらどうだい?こちとらそのせいで残業なんだけど」


セシーヌの隣で立っていた糸目の男が不機嫌そうな顔してロウハーに言う。ガキ?・・・いや成人してんのか?


「夜の護衛は慣れているだろ?」


「夜やってた時は昼間は寝てたからね・・・昼間も夜も仕事していたらいつ寝ればいいんだい?」


「いつも寝てるような顔のくせに」


「・・・その喧嘩・・・買う事にするよ!」


「ロウ!」「シークスさん!」


糸目の男が目をかっ開きロウハーに襲いかかろうとした瞬間に2人の女が叫んだ


さしもの糸目もロウハーも女には弱いみたいだな・・・臨戦態勢だった糸目は深くため息をつき構えを解きロウハーは怒られた子猫のように身を小さくしてやがる


すると糸目は舌打ちをしたと思ったら教会の外へ向けて歩き出した


「・・・ん?どこ行くんだ・・・シークス」


「どこってしらけちまったから帰るんだよ」


「護衛は?」


「君がいるだろ?」


「俺は護衛じゃなくて客だ」


「客なら昼間に出直して来な。イヤならしっかり守るんだな・・・ボクは風呂入って飯食って寝る事にするよ」


「あっ!ズルい!シークスさん先にご飯を食べるつもりですか!?」


「・・・受けたのは自分だろ?ボクを巻き込むな。まあさっさと健診とやらを終わらせれば飯の時間には間に合うんじゃないかな?じゃそういう事で」


行っちまった・・・何だったんだ?あの糸目は・・・教会の護衛にしては俗っぽいような・・・



とにかく一悶着ありそうで特に何も無くサラの検査が始まった


何をするのかと思いきや腹周りを入念に見ているだけ・・・服も着たまんまだツマンネ


「・・・エドバン」


「あん?」


「これは余談だが俺以外でサラの裸を見た男はいない・・・過去にいたかもしれないが今は存在しない」


「・・・嫌な余談だな」


「そうか?為になる余談だと思うけどな」


「・・・まあ為にはなった」


要は見たら『殺すぞ?』って事だろ?てかならなんで俺をこんな所に連れて来たんだって話だよ。それに脱いでねえんだから見ても問題ねえだろうが


「うん、問題ないですね。元気に育ってます」


何を見せられているのかよく分からず待ちぼうけを食らっているとセシーヌが笑顔でサラにそう告げた


『元気に育ってる』?それってもしかして・・・


「どっちか分かった?」


「それはまだ・・・もう少し大きくなれば分かると思いますが・・・」


「そっか・・・ま、元気で何よりだ。まだ時間はあるみたいだしもう一回名前を考え直そうかな・・・」


「あのねえ・・・あなたにはもっと他に考えるべき事があるでしょ?名前は私が考えておくからあなたはあなたのすべき事をして」


サラに言われてシュンとなるロウハー


そういや結婚しているんだったか・・・やる事やってりゃそりゃあ出来るわな


健診・・・つまりセシーヌは腹を見てたってより腹の中身・・・腹の中の赤ん坊を見てたって事か・・・でもどうやって??


「それでそちらの方は・・・」


サラの健診を終えたセシーヌが俺を見て首を傾げる


そういや自己紹介も何もしてなかったな


「ああ、コイツはエドバン・・・ちょっとセシーヌに見てもらいたいんだ」


「どこか悪いのですか?」


「今のところは大丈夫っぽい。けど今後どうなるか・・・今がどういう状態なのか見て欲しい」


「?・・・分かりました。それでどこを?」


「『核』だ──────」





セシーヌの前に立たせられジッと胸の辺りを覗かれる


なんだかくすぐったいような恥ずかしいような感じがしてモゾモゾしているとロウハーの野郎に頭を小突かれた


そうして10分くらいか?覗かれた後でセシーヌの顔を見たらかなり険しい表情・・・おいおい勘弁してくれよ・・・どっか変になっちまってるのか?


「お話は・・・」


「ここでいい。本人も聞いてた方が良さそうだし」


「そう・・・ですか。見たままをお伝えしますとこのような核は初めてみます。この方の核は人の核と魔物の核がきっちり半分ずつで構成されており魔力からマナを作る人の核とマナから魔力を作る魔物の核が同時に機能しています」


「???」


何言ってんだこの女


「きっちり半分か・・・なら進行していないって事かな?」


「進行?」


「・・・お前会議で何を聞いていたんだ?魔物の力・・・ギフトを使えば使うほど均衡していた核と魔核のバランスが崩れやがて魔人になる・・・そうサキが言ってただろ?」


言ってたっけ?・・・うーん・・・そんなような事を言ってたような言ってなかったような・・・


「ったく・・・まあいい。これからはなるべくギフトを使わない事だ・・・長生きしたけりゃな」


ギフトを?冗談じゃねえ・・・ギフトが使えなきゃ俺に何が残るってんだ・・・せっかくフェルカトまで出て来たってのに・・・


「でもなぜこのような事に?自然になった・・・訳ではないですよね?」


「どうやらファミリシア王国に『融合』の魔族テューポーンかもしくはテューポーンの能力を使える奴がいてそいつが核と魔核を融合させているらしい」


「そんな・・・人の核と魔物の核を?危険ではないのですか?」


「失敗する可能性もあるしたとえ成功したとしても・・・融合して得た能力・・・ギフトを使い続けると魔人になるらしい」


「・・・なぜそのような・・・ファミリシア王国は人を何だと思っているのでしょうか・・・」


「だな。力を得る為にしてはあまりにもリスクが高過ぎる・・・どういうつもりなんだか・・・」


2人はまるでギフトを病気か何かと思ってるらしいな


冗談じゃねえぜまったく・・・


「なあ・・・勘違いしているみたいだが俺様がもしギフトがなかったとしてギフトを貰うのにリスクがあったとしても・・・貰えるなら貰うと思うぜ?クソッタレな人生は送りたくねえからな──────」

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