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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
三部
554/856

550階 会議

まだ夕方か・・・もっと時間が経過していると思ったけどそうでもなかったな


ギルドから出ても日が暮れてない事に驚きを隠せなかった。結構長い時間費やしたと思ったのに・・・まあやっている事がやっている事だから精神的な疲労のせいかも


ギルドでやった事・・・それはザード含めた冒険者達を一斉に調教する事・・・調教と言ったら言葉は悪いがそう大した事では無い。今居ないフェルノ達に俺達の事をばらさないようお願いしただけだ・・・少しキツめに


フェルノ達が居ない間は従順になりフェルノ達が帰って来たら今まで通りに接しろ、と


「・・・ちょっと可哀想になっちまったぜ・・・まさか俺様がアイツらに同情する日が来るとはな」


「エドバン・・・それは暗に俺を非難しているのか?」


「ち、ちげぇよ!・・・ま、まあその・・・少しやり過ぎな気もしないでもないが・・・」


やり過ぎか?とりあえず言霊で動けなくして脅しただけだけど・・・特にザードを。肉体的に痛めつけてもないし・・・そりゃあ向かって来た時は気絶するほど強く殴ったり蹴ったりしたけどその後は傷一つ付けてないのに・・・


「どうせ『傷一つ付けてないのに』とか考えてんだろ?冗談よせ・・・俺は殺気の消し方を学んだ時に同時に殺気についても学んだ。殺気は言わば殺意の塊・・・んで、その強さは殺意に比例する・・・アイツら生きた心地しなかっただろうな・・・何せ『必ず殺す』という殺意を込められた殺気を放つ男に脅されたんだからな。あれはもう暴力だ・・・向けられていない俺ですら逃げ出したくなる程のな」


ケンめ・・・ジャックに余計な事を教わったみたいだな


確かにケンの言う通り『必ず殺す』という意志を込めた


逃げても嘘をついても逆らっても殺す・・・その意志を殺気に乗せて放った。もちろんギルドの受付嬢に黙っててね都お願いする時は殺気は放っていない・・・だいぶ顔は引き攣ってたけど・・・


「でもどうしてこれまで耐えていたのに?俺としてはスッキリしたけど・・・」


「ケン・・・裸で踊ったりしたかったのか?」


「んな訳ねえだろ!・・・じゃあやりたくないから暴れたのか?」


「暴れた言うな。抵抗しただけ・・・それに残ってる人達は多分俺達が欲しがってる情報を持ってないだろうから・・・」


「・・・って事は逆を言えばフェルノ達は持っていると?」


「多分な」


隣街の誰それがやられたなんて一介の冒険者には本来関係の無い話のはず・・・それなのに動くって事は何かしらの繋がりがあると考えていい


繋がり・・・それが単に冒険者同士の繋がりなのかそれとも・・・


「な、なあロウハー」


「うん?なんだエドバン」


「その・・・ギフトの贈り主ってなんだ?」


ギフトの贈り主・・・俺がザードに言った言葉だ


エドバンもギフト持ちだから気になっていたみたいだな


「その件に関しては宿に戻ってから話す・・・あまり面白い話じゃないからな」


自分の力が魔物の力だった・・・そう聞いたらどう反応するだろうか・・・しかもエドバンの贈り主はおそらく・・・



宿に戻る途中の店で少し早い晩飯を終えると俺の部屋に集まった


ここだと会話を聞かれる可能性もあると考え場所を移す事にした。もちろん行先はエモーンズだ


「えっと・・・この中に入れと?」


「いいから黙って入れ」


ゲートを初めて見たエドバンが入るのを躊躇していたので背中を蹴って強制的に通らせると続いてケン、そして最後に俺が通る


「お帰りなさいませ旦那様・・・初めて見る方がいらしたのでまた旦那様が変身されているのかと」


「よせやいサーテン・・・さすがの俺でもこの顔には変身したくない」


「誰の事だ!・・・ってここはどこだよ・・・てか旦那様って・・・」


「色々疑問があるだろうけど一つだけ答えておく・・・お前の事だエドバン──────」




エモーンズの屋敷にある大会議室・・・初めて使うこの部屋に錚々たるメンバーが一堂に会す


『大剣』キースとレオン・・・ケインにナージ、それにバフォメット、ベリト、シュルガットの三魔族にサキとシア・・・で、俺達3人だ


一国すら落とせそうなメンバーに話すのは今分かっていること・・・ギフトについてだ



「・・・そんな・・・この力が魔物の力だって?・・・つまり魔物がギフトの贈り主?」


だいぶショックを受けているみたいだな


人間にとって魔物は敵・・・天敵と言っていい。その敵の力を手に入れて喜ぶ者もいればエドバンのように受け入れ難いと思う人もいるだろう。力は力と割り切れればいいけどそんな簡単なものじゃない。それに・・・


「問題は魔物の力って事じゃない。何の為に力を与えたか、だ」


「あん?強くする為じゃねえのか?」


「いやそうとも限らないぞキース・・・強くする為なら何故冒険者を選んだ?」


「別に冒険者を選んだ訳じゃねえんじゃねえか?他にもギフトってやつを持っている奴はいるんだろ?」


「・・・ありえない話だがもし・・・万が一・・・天変地異が起きて君が王となったとしよう。そしてギフトを与える力を持っていたとしたら誰に与える?」


「お前・・・どんだけ俺が・・・まあいい。そりゃあもちろん力が欲しい奴全員にくれてやるさ」


「数が限られているとしたら?」


「数が?・・・まあそれなら・・・知り合いの欲しい奴?もしくはもともと強い奴を更に強く・・・・・・ん?そのギフトってのは数限りがあるってのか?」


「その可能性が高い・・・だろ?」


「ああ。レオンの言う通り制限があるのか数に限りがあるのか・・・無限に出来る訳ではなさそうだ」


「どうしてその結論に?さほど調査は進んでいないのだろう?」


ケインの言う通り調査はそんなに進んでいると言い難い。けどまだ仮説の域は抜けないがその可能性は高いと思っている


「結論って訳じゃないけどおそらくはのべつまくなしギフトを与え続ける事は出来ないはずだ。レオンがさっき言ってたように自分が王になったとしたら無限にギフトを与えるならまず兵士に与える・・・どれだけ兵士がいるか知らないけど数万の兵士がギフトを持ったとしたら・・・小細工なんかしなくても容易に大陸を制覇出来るからね」


勇者ジークを利用したり他の国と組んだりする必要は全くないはずだ


「おいおい・・・魔物の力を手に入れたからってそりゃねえだろ」


「キースくらい強かったらそう思うかもしれない・・・普通の兵士がギフトを持ったところでってな感じでね。けどそれが同じ強さの兵士同士だったら?ギフトを持っている兵士と持たざる兵士・・・どっちが強いかはキースでも分かるだろ?」


「おいキース()()ってなんだ()()って!」


「君が理解出来れば世の中のほとんどの人が理解出来るって意味では適切な言葉だ」


「てめえレオン!」


辛辣な言葉を投げかけるレオンにキレて立ち上がるキース


周りは・・・レオンも含めて相手にする者はいなかった・・・既にレオンがキースに何か言ってキレさせるというのは様式美となっており一々相手にしていたらキリがないという結論に至っていた


「・・・チッ!話を続けろ!」


キースは空気を読み誰も相手をしてくれないと分かるとそのまま椅子に座り直した。この会議が終わった後すぐに帰らないと危険だな・・・ストレス解消に付き合わされそうだ


「んん!・・・じゃあ話を戻すと兵士にギフトを与えてない事を考えると与える数には限りがあると見ていいと思う。となると何故その数限りあるギフトを冒険者に与えたか、だ。誰か分かる人いる?」


「・・・」


っている訳ないよな・・・あまりにも情報が少な過ぎる


「ひとつお聞きしたいのですがそのギフトを与えるというのはどういう手段を用いてか分かっているのですか?」


「それは・・・」


ナージの質問に俺は答えを持っていない。けど・・・


視線を感じたのか珍しく人型になっているサキがため息をついた


「テューポーン・・・もしくはその力を受け継いでる人間の仕業にゃ」


「テューポーン?そいつなら出来るのか?」


「出来るにゃ・・・あんまり話したくないけど・・・アイツの事は・・・」


そう言ってサキはため息混じりに話してくれた



テューポーン・・・インキュバスが創った魔族の一人


その力は『融合』


その『融合』の力というのは何かと何かを掛け合わせる事か出来るのだとか・・・その何かと言うと・・・生き物。別の生き物同士を掛け合わせ全く別の生き物にしてしまう・・・それがテューポーンの能力


実は今生息している動物の中にもテューポーンが面白半分で融合した動物がいるらしい。インキュバスが創造した生き物を融合させて別の生き物に・・・それがサキ達サキュバスには許せないらしく嫌いな魔族の一人なのだとか


「別の生物と生物を組み合わせて別の生物にか・・・ゾッとしねえな」


「テューポーンなら人間と魔物を融合させる事は出来るにゃ。けどその人間のように能力だけとなると・・・核だけを融合させているにゃ」


核だけを・・・って事は魔物の特殊能力みたいなのって魔核から出てんのかな?


「となると数に制限があるのは融合する魔核の数が足りないってことかな?」


レオンが尋ねるとサキは首を横に振った


「おそらく違うにゃ・・・融合にはメリットもあるけどデメリットもあるにゃ・・・それもとてつもないデメリットが」


「メリットは魔物の力が使える事だろ?・・・じゃあデメリットは?」


「デメリットは二つにゃ。一つは融合は必ずしも成功するとは限らない・・・にゃ。テューポーンは相性と言っていたけど要は相性が良ければ成功し悪ければ失敗するにゃ」


「・・・失敗するとどうなる?」


「歪な形になったり暴走したり・・・暴発したり・・・かにゃ?」


かにゃ?じゃないっての・・・相性って曖昧なものに命を懸けろって言ってるようなものだよな・・・魔物の力を得れるからと言ってやりたい奴がいるとは思えない・・・けど実際いるんだよな・・・そこまでして手に入れたいか?魔物の力・・・


「で二つ目は?」


「・・・たとえ相性が良く融合が成功したとしても元の核は侵食されるにゃ・・・使えば使うほど魔力が核を侵食しやがて・・・」


「魔人となる・・・か」


思わずエドバンを見てしまう


この中で魔物の力・・・ギフトを持っている唯一の人物を


さぞかし驚き恐れているかと思いきや・・・何故か真顔でジッとサキを見ていた


恐怖で固まった?・・・ちょっと違うような気がするけど・・・


「なるほど・・・つまりギフトってやつは選ばれた者に与えているのではなく使い捨て・・・って訳か」


「キース・・・君はどうしてこうデリカシーというものが・・・」


「事実だろ?それに今の話じゃ使わなきゃ問題なさそうだし・・・しかし冒険者を使い捨てか・・・笑えねえなファミリシア王国・・・」


キースの言う通り笑えない・・・けど父親から力を受け継いだエドバンはともかくフェルノ達はとても強制されたようには見えなかった・・・自ら志願した?けど割に合わないような・・・


それに冒険者にギフトを与える事とアドバンはどう繋がってる?


・・・関連性があるのかないのか・・・なんだか余計に分からなくなってきたぞ?──────

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