表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
三部
546/856

542階 調査メンバー

「ちょ、ちょっと待って・・・そんなの他の国が認める訳・・・」


「認めたのだ。ローグ卿が提案しそれを受け入れたのだよ・・・六ヶ国・・・正確には五ヶ国の多数決によってな」


俺が『王会合』を開いたのは王様達にアバドンの存在を知らせる事ともうひとつ・・・ある権利を認めさせる為だった


それが『大陸の守護者』


スウはあらゆる者を罰する存在と言ったがもちろんそれだけじゃない。国それぞれに法や決まりがある・・・その法や決まりを守っていたら助けられるものも助けられなくなる・・・なのでそれらを無視出来る存在になる必要があると考えた


各国の法に縛られない・・・そんな存在に


「意味が分からない・・・どうして王様達は反対しなかったの?」


「そうせざるを得ない程の脅威が迫っているからだ。まあそれは追々聞かせてやる。とにかくお主の兄はその国の法に則る必要なく誰であろうと裁ける権利を持っているという訳だ」


「それだと語弊がある。一応アバドン関連限定だ・・・まあこじつける事も可能だからその辺は曖昧だけどね」


「???」


アバドンの事を知らないシーリスには理解し難いか・・・アバドン関連・・・魔力が溜まる行為に関して裁く権利がある。なので戦争を止めるのもちょっとしたいざこざを収めるのもアバドン関連と言って介入したり裁く事が出来る


ただそれもずっとって訳じゃない。ファミリシア王国を調査してアバドンが関係していなければ即時その権利は剥奪されるし不当な行いと判断されて物言いが入れば今回王会合で行われた多数決がもう一度行われ権利を失うか継続か是非を問われる


今回がギリギリだったから何かあれば失う可能性は高いよな・・・同数でも可決にしとけば良かった


今回の多数決は4対2・・・賛成が4で反対が2だった


予想通りと言えば予想通りなのだが内容が・・・


賛成したのはフーリシア王国、アーキド王国、シャリファ王国・・・そしてリガルデル王国だ


リガルデル王国は正直反対に回る可能性が高いと思っていたけど反対に回るとファミリシア王国との関係を疑われると判断したのか賛成を選んだっぽい


反対は不参加のファミリシア王国と・・・ラズン王国


ファミリシア王国に関しては不参加ゆえだしもし参加しても自国が疑われているのだから反対するのは当然だろう・・・問題はラズン王国だ


あの野郎『その役目は俺がやる』なんて言いやがって・・・確かに調査に長けているニンジャ部隊を持っているしコゲツや王様であるワグナ自身の実力も申し分ないけど時間が掛かり過ぎる。何せラズン王国とファミリシア王国では移動だけでも数ヶ月掛かる・・・そこから調査となったら更に・・・


俺がゲートで送れば移動時間は無くなるけどそれなら俺が調査すればいいって話になるしな・・・一応それを説明したのに多数決になった時反対しやがった


つまりもし次に多数決する時、リガルデル王国が反対に回ったら俺は『大陸の守護者』としての権利を失う事になる・・・そしてその可能性は高い


何とか次の多数決が行われる前にファミリシア王国の調査を終えないと・・・ハア・・・ワグナのアホタレ!


「・・・よく分からないけど分かった・・・つまりバカ兄貴は王様を裁けるって事ね」


「まあそうだけどそうじゃないような・・・だから詳しくは後で女王陛下に聞いて・・・」


「ならアタシも派手子を裁けるって事ね」


「そうはならんだろ」


「なんで?」


「いや貴族みたいに家に与えられた地位じゃなくて個人に与えられたものだから・・・シーリスに裁く権利はないぞ?」


「そう・・・ならお願い・・・派手子を裁いて!この女アタシが取っておいたデザートを勝手に食べたの!それを責めたら『王に逆らうのか?』なんて言いくさって・・・」


「まだ言ってるし」


「はあ?食べ物の恨みは怖いっていうの知らないの?これだから王族は・・・」


「はあ?王族とか関係ないでしょ!?」


「大ありよ!何でも自分のモノと思ってやりたい放題・・・あーヤダヤダ」


「地味子~」


「何よ派手子~」


なんだか2人で揉め始めたぞ・・・大丈夫か?この2人・・・


それはともかくデザートの件はさておきシーリスの奴勘違いしてないか?


「てか妹よ」


「何よ!」


「・・・それのどこにアバドンが関係しているんだ?」


俺が王侯貴族関係なく裁けるのはアバドンが関係している時だけと言ったはずなのに・・・


「・・・デザートの名前がアバドンだった・・・」


「嘘つけ!どんなデザートよ!」


「うるさいわね!アバドンっぽかったの!見た目が!」


見た目がアバドンっぽいってどんなデザートだよ


しばらくギャーギャー言い合う2人を放っておいて俺はそっとテーブルに手紙を二通置いてその場を離れた


その手紙の内容は・・・結婚式の招待状だ


まだサラのお腹も目立たないしこれからファミリシア王国に潜入したらいつ結婚式を挙げれるか分からないので行く前に挙げようって話になった


近親者だけに声を掛けようと思ってたけどナージ達から出来るだけ呼べと言われて・・・それでも厳選した方なんだけどかなりの人数になってしまった


とりあえず実の妹であるシーリスとフーリシア王国新国王であるスウ・・・それからシャリファ王国はフレシアとシャスと・・・


「何それ?」「手紙?」


げっ、見つかった


「と、とりあえず当日迎えに行くから!参加出来ない場合はその時言えばいいから!」


喧嘩の途中で俺が置いた招待状に気付く2人・・・またあーだこーだ言われると思い招待状を置いてさっさとエモーンズへと逃げた


これから結婚式の準備かその後はファミリシア王国・・・・休まる暇もないな──────




結婚式の期日は招待状を出した1ヶ月後


その前から準備はしていたが予想通り休める暇などなかった


屋敷で式を行うのも味気ないので教会を使おうと考えたが呼んだ人数を考えると収まり切らない為に新たな教会を建て、料理も美味しいものを食べてもらおうと各地に飛び食材を調達・・・それから俺とサラが着る服を準備したりどんな結婚式にするか打ち合わせたり・・・時間がなく急ピッチで進んでいくから本気で目を回したほどだ


その準備の甲斐あってか結婚式は大成功だったと言える


実際は色々あったけど・・・サラが喜んでくれたみたいだしヨシとしよう


なんだかんだでサラが喜んでいる顔を見ているのが一番幸せな時間なのかも・・・って事は結婚式の日が人生最良の日だったかもしれないな・・・ずっと笑顔だったし


「何を考えているの?」


「ん?・・・ああ、明日からファミリシア王国に行くけど準備は万全かなって・・・」


さすがに恥ずかしくて言えないな・・・結婚式を思い返していたなんて


ちょくちょく帰って来る気ではいるけどずっと一緒に過ごせるのは調査を終えてから・・・どれくらい掛かるか分からない・・・一日で終わるかもしれないし一年・・・もしくはそれ以上・・・


「息子か娘よ!パパは頑張って来るぞガッ!」


「だからまだ聞こえてないから・・・お腹に喋りかけるのやめてって言ったでしょ?」


だからって肘はないだよ肘は


「・・・聞こえているかもしれないだろ?」


「はいはい・・・ったく・・・どうせすぐ戻って来るんでしょ?下手したら毎日」


「下手しなくても毎日戻ってきたいと思ってるよ・・・我が妻と子に会いに」


「そんな感じで大丈夫なの?動き出したら止まらないんでしょ?そのアバドンって魔族は」


一度魔力が溜まれば後は簡単に魔力が手に入る・・・何せ『破壊』のアバドンだ・・・手当り次第破壊しまくれば自ずと負の感情は高まり魔力が蔓延するだろう


「何とかなるさ・・・いや、何とかしてみせる」


動き出したら止まらないなら動かないようにすればいい・・・ファミリシア王国には王会合で決まった事を手紙に記して丁寧に教えてあげている。事を起こそうとするならその手紙を受け取った直後・・・つまり明日からだ


結婚式が終わった直後に届くよう手配したのはその為だ


「何もなければいいけど・・・あるんでしょうねきっと」


「エメンケがアバドンを知り更に勇者ジークという魔王討伐後も欠かせない存在を消そうとした・・・勇者を利用しようとするならともかく消そうとしたって事は・・・あるんだろうね」


自殺願望がある国には思えなかったけどな・・・のほほんとしていい雰囲気の国だったのに・・・変な奴らはいたけど


「・・・まさか1人で行くなんて言わないわよね?」


「最初は1人で行こうかと考えてたけどやっぱりやめた。と言ってもあんまり目立ちたくないから少人数で行くけどね」


「へぇ・・・誰と行くの?」


「ベルと師匠のハクシ・・・それと・・・」


ベルは調査に役立つし師匠はファミリシア王国出身だからという理由・・・最後の1人は・・・


「可哀想・・・せっかく・・・」


これも罰の一環だ


俺もサラと会えないのだからその苦しみを味わえ・・・という訳で選んだ訳では無い。うん──────




次の日の朝


ファミリシア王国に行く面子が屋敷の中庭に揃う


やっと帰る事になった勇者ジークとラナ


2人にはアバドンの事は知らないフリをするように言ってある


たとえジークが強くてもファミリシア王国が何を仕掛けてくるか分からない不気味さがあるからだ


なので知らないフリをして利用されないように気を付けるようきつく言ってある。万が一の時の為に2人にはエモーンズの屋敷に繋がっている簡易ゲートは渡してあるから大丈夫だろうけど


次に魔族『探求』のベルフェゴールことベル


調査に関しては右に出る者はいないベルは外せないだろう


後は師匠のハクシ


生まれ故郷であるファミリシア王国について俺と別れた後で色々と見て回ったみたいだから知り合いの中でファミリシア王国について一番詳しい


そろそろファミリシア王国に帰ろうとしてたから帰郷の意味もあって付いて来てもらうことになった


そして最後は・・・


「・・・なんで俺が・・・」


「ジャックに色々学んだんだろ?それを役立てる時だ・・・ケン」


最後の一人はケン・・・シルとイチャイチャさせ・・・ではなく俺を刺した罰として同行させることにした。もちろん罰としてだけで連れて行く訳ではない。ジャックに習ったのは殺気を消すだけと言っていたが殺気を消せるだけで調査にはかなり役に立つと思う・・・多分


この3人と共に暴いてみせる・・・ファミリシア王国の陰謀を!


「これはロウニールの陰謀だ!俺をシルから引き離す為に企てた陰謀だ!」


「・・・黙らないと首と胴体を引き離しますよ?」


怖いわベル!・・・まあお陰でケンは静かになったけども!


とにかく出発だ!待ってろよファミリシア王国!絶対にアバドンとの関係を暴いてやる!──────

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ