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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
521/856

517階 親友

魔王陣営に3人の助っ人が割り込んで来たのを見てアルオンは動き始めた


総勢5万の軍勢を動かし一気に街民ごと殲滅する・・・その為の準備を始めたが予想外の報が入る



シャリファ王国軍襲来



その報に耳を疑ったアルオンは急いで軍の後方に馬を走らせ真実を確かめる


「バカな・・・5万の軍に立ち向かうと言うのか・・・シャス・クーデリ・アンキス!」


「ア、アルオン将軍・・・実は物見の話では先頭はシャスではなく正体不明の騎士だとか・・・」


物見の報告を受けた副官が追い掛けて来て伝えるとアルオンは冷静さを取り戻し顎に手を当て得た情報を整理する


「・・・正体不明という事はシャスでもなくサッズでもない?」


「はっ。どうやら見た事がない者が率いているようで・・・ただ銀色の鎧に身を包み位は高そうな雰囲気だとか・・・」


「ふむ・・・こちらが動く前で良かった・・・進軍を開始してからでは完全に背後を取られた形になってしまうところだった・・・すぐに迎え討つ準備にかかれ!」


「はっ!」


5万の兵士全てがリガルデル王国の者であったら見えてない敵に慌てる事はないのだが各国との混成軍である為にどうしても動きが遅くなる


その為にアルオンは急ぎ副官に各国の代表に伝えるよう指示するとまだ姿が見えないシャリファ王国軍がいる方向を睨みつけた


「5万に対して1万で何が出来るというのか・・・何のつもりだシャス・・・いや正体不明の騎士よ・・・」


アルオンはシャリファ王国軍が反旗を翻したとしてもまだ勇者陣営側が優勢であると考えていた



勇者の存在と魔王の不在



その差は敵が1万増えようが埋められるものではない


だが正体不明の騎士の存在が不安を掻き立てる


「・・・これでロウニールが出て来ようものなら・・・」


一抹の不安を覚えたアルオンはもしかしたら続報が入っているかもしれないとマルスの元へと走り出した


「ロウニールが復活していたとしたら勇者をロウニールに当てなくてはならない・・・そうなると今勇者と戦っている者達を誰かが負担する事に・・・そうなればシャリファ王国軍1万も脅威になる・・・決着が着くまでそのままでいてくれよ・・・ロウニール!──────」




「・・・流石にしつけぇ!」


オルシア自体ディーンを打ちのめしただけある・・・強さは一級品だ。斧は俺の大剣とどっこいの威力を持ちマナ量は俺の方が上だが器用さは向こうの方が上・・・ってな感じで五分と五分ってところか


だが問題は蛇野郎だ


名前は忘れたが常に舌をチロチロさせてる意味分からん野郎がオルシアの傷を簡単に治しちまう


魔物の気持ちが分かるってもんだな・・・こうやってもやっても治されちまったら治すヤツを狙いたくなる。魔物がヒーラーを襲うのはそういう気持ちだったんだろうな


使えねえ執事じゃなくてクルスを連れて来るんだったぜ・・・アイツ王都に残って1人で何やってんだ?


「考え事か?大剣」


「あまりにてめえの攻撃が暇過ぎてな・・・斧」


「戦斧だバカ野郎」


「グッ!」


バカ力の一閃を受けて体が宙に浮く


そこから怒涛の乱舞と来たもんだ・・・自分は治してもらえるからって防御無視かよ!


隙をついて切り刻もうがお構いなしに突っ込んで来やがる・・・こういう奴には小手先の技は効かねえ・・・そっちがその気ならこっちも!


「ふんが!」


「っ!このバカ力が!」


横に振る斧を下から思いっきりぶち当てた


さすがに斧は手放さなかったが手を上げた状態になり胴体は隙だらけに・・・俺はカチ上げた剣を引くと狙いを定めて奴の腹へと突き出した


「ぐふっ」


大剣が腹部に刺さる


初めて与えた致命傷・・・これならいくらなんでも回復には時間がかかるはずだ


んで回復している間に2人まとめてぶった斬る・・・我ながらいい作戦を・・・あん?・・・剣が・・・抜けない!?


「あー悪いなオッサン・・・ぶっ刺さったまんま回復しちまったよ」


「気にするな・・・よくある事だ」


よくねえよ!


まさかこれを狙ってわざと刺された?だとしたら頭おかしいだろ!?コイツら!


「痛みってもんがねえのかよ・・・だが俺の大剣を咥えこんじまったのが運の尽き・・・俺がなぜ『大剣』と呼ばれているか知ってからやるべきだったな!」


取り込まれちまったのは仕方ねえ・・・けどコイツらは知らない・・・この剣は小さくも出来るが大きくも出来るって事をな!


「腹で咥えたまんま真っ二つになりやがれ!・・・れ!・・・れ!?」


巨大化しねえし小型化もしねえ!てか・・・抜けねえ!


「魔道具の扱いも俺の方が上のようだな」


コイツ!刺された状態で剣にマナを流して俺から奪っただと!?


「このっ!返せこの野郎!」


「返してやるよ」


と言いつつ斧を振って来やがった!なんで奴だ


飛び退き躱したはいいものの剣は完全に手から離れオルシアの腹にぶっ刺さったままの状態に・・・こりゃあちぃとまずい事になったぞ・・・


「おいこれはずっとこのままなのか?」


「まさか・・・そのまま引き抜いてもいいぜ旦那・・・怖いならオレが抜いてやろうか?」


「ぬかせ・・・フン!」


腹に刺さった剣を思いっきり引き抜くと大量の血が辺りに飛び散る・・・が、瞬時に蛇野郎がその傷口を塞いじまった


単純に状況は剣を失った俺と俺の剣を持ったオルシアの対決に・・・いくら斬っても回復されちまうのにその上で剣まで失っちまったら打つ手がねえ・・・


「・・・そこで見てるだけの執事・・・ちぃと手伝え」


「・・・なんでしょう?コーヒーでも煎れますか?」


「いや俺の剣を取り戻して来い・・・主人の命令は絶対だろ?執事」


「そんな立て掛けてある剣を取って来いみたいに言われても・・・」


「つべこべ言わず取り戻して来い!」


「・・・畏まりました・・・」


ったく・・・さっさと行けばいいものを・・・


とりあえず遊んでいる間に目的を達成出来ればと思っていたがそうもいかねえみたいだし相手も2人だから文句もねえだろう


にしてもまだかよ・・・いい加減鬱憤が溜まって来たぞ?いつまでこうしてればいいんだ?


そもそもこの作戦に乗った形とはいえどうなんだって話だよな・・・やるならやるで・・・


「お待たせ致しました」


「あん?」


俺が考え事をしていると目の前の男は微笑みながら剣を差し出す


何が起こったのか慌てて見ると仰向けに倒れたオルシアとその横で回復魔法を使う蛇野郎の姿が・・・


「・・・殺してねえだろうな?」


「死んでなければ」


当たり前の事を平然と返す男にブチ切れそうになりながら俺はそいつから剣を奪うように受け取った


「お前・・・作戦の趣旨分かってんのか?」


「はい?何の事でしょうか?」


忘れてた・・・コイツは元々こういう性格だった・・・


見た目とか言動から冷静沈着だと周囲からは思われているけど全然違う・・・ぶっちゃけ俺よりぶっ飛んだ性格の持ち主・・・こうと決めたら頑として人の話なんざ聞かないし意にそぐわない事なら誰に対しても文句を言う・・・たとえそれが国王だったとしても・・・


「くっ!・・・調子に乗るな!まさかその執事・・・魔法使いとはな!油断したわ!だがもう貴様らに勝機はない!ただ二対一が二対二になっただけ・・・しかもこちらは十二傑の二人だ!そこの大剣使いは十二傑に選ばれていたみたいだが何処の馬の骨とも知らぬ貴様が加わったところで・・・」


「十二傑・・・民が選んだように見せ掛けた政治の道具がそんなに誉れ高いのですか?」


「・・・なに?」


「御自分で仰ってたではありませんか・・・『十二傑など所詮政治に利用する為のものだ』と」


「・・・そんな事を言った覚えは・・・・・・いや、言ったな・・・あれは確か・・・っ!?まさか貴様・・・」


「どうやら思い出して下さったようですね。リガルデル王国王城内・・・リガルデルの王に貴方が軍の指揮を取ると聞き、ご挨拶にお伺いした時に私が言った世辞に対する答え・・・それが先程の言葉でした。なかなか身の程が分かってらっしゃる方だとその時は思いましたがまさかたった一人に10万の兵を敗走に導くほど無能だったとは・・・あの時は謙遜ではなく本音だったのですね・・・お飾り将軍」


「・・・そうか・・・確か変装の名人とも聞いていたがそこまで見事に化けるとはな・・・反逆者レオン・ジャクス!!」


「変装ではなく変身です・・・まあそんな事はどうでもいいですが・・・それよりも貴方が失敗したせいでこちらまで影響を受けましたのでその罰を受けてもらいましょう」


「罰だと?・・・てか貴様なぜロウニール側にいやがる!奴が貴様を止めて・・・いやそもそも奴に殺されたと・・・」


「お話がしたいのならテーブルでも囲んでティータイムでも致しますか?」


「っこのっ!」


とうとうバラしちまいやがった・・・そのまま黙ってぶっ殺しちまえばいいものを・・・


「・・・いいのか?」


「何がですか?」


「・・・その気持ち悪い言葉遣いはやめろ・・・バラしちまったらロウニールが叩かれることになるんじゃ・・・上にはお前の事を殺したって報告してんだろ?ロウニールの奴」


「別にその上とやらが彼を裏切ったのだからバレても問題ないだろ?君はバカか?」


「~~~っ!やっぱり執事でいやがれ!クソレオン!」


「相変わらず言葉に品がないな。人の親になったとはいえ所詮キースはキースか」


「うるせぇ!・・・で、どっちだ?」


「・・・長い間ストレスが溜まる職場にいたからな・・・潰し甲斐のある方で」


「へえ・・・って俺の執事がそんなにストレスか!?」


「当然だ。しかも私と知っていて知らぬ振りをしているから尚のことタチが悪い・・・いつから気付いていた?」


「初めて会った時からだ」


「・・・また『ニオイ』か?」


「そういう事だ」


「この獣が・・・ぬかるなよ?アレも相当やるぞ?」


「そんくらい分かってんよ・・・お前こそ執事をしていたから負けた・・・なんてダサい言い訳するなよ?」


「それはいいな・・・負けた時の言い訳にさせてもらおう」


「おい」


久しぶりだなこの感覚は・・・あの広場で共に戦った時以来か?


何の因果か知らないが今度は立場が逆とはな・・・だがまあ・・・


「勇者側だからって正義とは限らねえし魔王と呼ばれてたって悪とは限らねえ・・・とりあえずそんな事は関係なく邪魔する奴はぶん殴る!俺の家族を脅かす奴はぶち殺す!それだけだ!死にたくなけりゃしっぽ巻いて逃げやがれ蛇野郎!」


「・・・おいおいどう考えてもミスマッチだろ・・・」



「たまにはいい事言う・・・話はシンプルが一番だ・・・敵か味方か邪魔か否か・・・敵で邪魔な貴方には私の物語から退場願おう・・・オルシア・ブークド・ダナトル将軍」


「・・・ハア・・・一度負けてからどうも俺を舐めている奴が多くて困る・・・しかもその原因を作った奴が目の前にとくれば余計な力も入るってもんだ・・・良かったなレオン・・・本当は苦しめて殺したいが一瞬で痛みを感じることなく死ねそうだぞ?何せキレちまって力の加減が出来ねえからな・・・ありがたく思え!」



キースVSダンテ、レオンVSオルシア・・・開戦──────

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