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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
471/856

467階 王都サーテルデール

リガルデル王国王都サーテルデール


高くそして頑丈そうな壁に囲まれた巨大都市


その壁の頂上には地上に向けられた固定された弩・・・それと壁の至る所に人の顔の大きさ程の空間がありそこからも矢の先が見え隠れする


このサーテルデールは東西南北の4箇所に巨大な門がありどこもそのような造りとなっていたので常に外敵を想定して造られたのだろう


大陸中央に位置するリガルデル王国故の警戒なのだろけどあまりの物々しさに外から来る者を拒絶しているように見えた


門の周りや壁の上、門番の数も他の国と比べ物にならないくらいウジャウジャいるし巨大な門は閉じられ馬車が通れるくらいの小さな門が開かれている


その小さな門の前には長蛇の列が出来ていた


その列も二列あり、一列は商品が入っていると思われる馬車を伴う商団が並ぶ列


もう一列は個人的に街に入ろうとしている人達なのか歩きだったり馬を引いて並ぶ人達の列だった


商人は馬車の中身の検分があるから時間が掛かる・・・だから身分証だけ見せれば通れる人と商人を分けているのか・・・大都市となった場合もこうやって分けてもいいかもな。その分門番の数を増やさないといけないけど


人手不足は深刻な問題だ


現在住んでいる人達はほとんどが職に就いているりなので街の中で募集しても集まるのはほんの数人・・・とてもじゃないがそれでは人が足りない


もっと給与を上げて待遇を良くするか・・・でも今の仕事を辞められては困る人達は大勢いる・・・その人達が今の仕事を辞めて来てしまったら街は機能しなくなるかもしれない


そうなると・・・やはり人を増やすしかないか・・・でもどうやって・・・


「・・・あの・・・並ばれているのですか?」


商人ではない方の列に並んで大都市計画について頭を悩ませていると後ろから声を掛けられた


普通に並んでいたのに『並んでいるのか』と尋ねられて一瞬混乱するが他の人達も僕の事をチラチラと見ていたので何となく察しがついた


王都に入るに際してさすがに普段着はまずいと思い正装してきたのだが並んでいる人達の中に正装である人はいない。外を出歩くのに適した普段着を着ている人がほとんどだ


隣の列の商人の中には動きづらそうな服を着ている人もチラホラ見えるが商人達は移動中は馬車の中にいると思われるので動きづらくても問題はないのだろう


となるとこっちの列に並び正装している僕はやけに目立つ・・・多分正装しているから身分が高い人と認識され身分が高いなら優先して通してもらえる可能性が高い


フーリシア王国の王都でも貴族専用の裏口みたいのがあったしね


「はい、並んでます」


多分裏口はある・・・だけどそこを通してもらえるかは疑問だ


あくまで僕はフーリシア王国の貴族でリガルデル王国の貴族ではない。なのでその裏口が『リガルデル王国専用』だったとしたら・・・恥ずかしい思いをすること間違いなしだ


偉そうに貴族ですからみたいな顔して裏口を通ろうとして門番に止められて列に並べと言われたら恥ずかし過ぎて並ばずにその場から立ち去りたくなるだろう


そうなるくらいなら並んだ方が百倍マシだ。なので素直に並んで待つことにしたのだが周りは気が気でないようだ


僕が動く度に周囲の人達は警戒する


それだけでこの国の貴族の大半もろくでもない奴が多いというのが手に取るように分かる



好奇な目に晒される事数十分・・・ようやく僕の番になると門番は並んでいた人達と同じような反応を示し身分証の提示を求めてきた


ここで取り出したるは新たに貰った身分証の代わりになるもの・・・フーリシア王国の公爵の証と言うより王族のみが持つ事の出来る証である金印だ


王様が持つ玉印に次ぐ証でありほぼ玉印と同じ効果を発揮するらしい


フーリシア王国国内に限って言えば出来ないことはないと言っても過言ではないくらい・・・女湯を覗こうが道行く人を殺してしまおうが免罪されるとか・・・いや、しないけどね


判子として使えばその紙はどんな内容だろうと公的に認められた事になる・・・人事権もあるからファゼンなどの侯爵家を潰したりするのもこの金印ひとつ押せば叶ってしまう訳だ


国家間の取り決めなどはさすがに玉印で行われるが国内ならほぼ全て金印で賄える・・・今までは国にお伺いを立ててた事も必要なくなるのは大きい・・・大都市計画で色々やろうとしているけど国からの許可を待ってたら時間が掛かって仕方ないしね


他の国も同じ制度である為に金印を見せればそこそこの対応をしてくれるはず・・・他国の王族が来たとしたら無下には出来ないだろうし


「これはフーリシアの・・・失礼ですが御名前を頂戴しても宜しいでしょうか?」


金印に施されている刻印を見てフーリシア王国の金印であると理解した門番が僕に尋ねる


外国からの王族の来訪なんて聞いてないだろうから驚いているのだろう


「フーリシア王国公爵ロウニール・ローグ・ハーベスだ。リガルデル王国国王陛下にお目通り願いたい。以前我が国よりお伺いする旨は伝えていると思うのだが・・・」


「か、畏まりました!ただいま確認して参ります!」


まあ行くとは伝えているとは言え勝手には通せないよな・・・僕のせいで列の後ろの人を待たせる事になって悪いと思うがこればかりは仕方ない・・・心の中で謝っておこう・・・待たせてごめんなさい


「お待たせしました公爵閣下。お通り下さい。なお王都内の案内役を用意しておりますのでその者に城まで案内させます」


門番の上役と思われる男が現れ金印を僕に返すとそう告げた


案内役を付けるって事は勝手に色々な場所に行くなって事かな?それとも迷子にならないよう好意出付けてくれたのか・・・まあどっちでもいいか


「分かった。ご苦労」


「っ!?公爵閣下!」


と、偉そうに言ってそのまま歩いて小さな門に向かって歩き出すと止められてしまう


「・・・なに?」


「あの・・・馬車は・・・」


ああ、またそのくだりか・・・貴族が全て馬車に乗って来ると思ったら大間違いだぞ


「歩いて来た。何か問題が?」


「い、いえ!それでしたらこちらで馬車を御用意到ます。しばらくお待ち頂くことになりますが・・・」


「いやいい・・・別に歩いてもそんな距離はないだろ?」


「し、しかし!・・・その・・・公爵閣下を歩かせたとなれば私が処罰されてしまいます!どうかお願い致します!」


頭を下げられて馬車に乗ってくれと言われたのは初めてだな。処罰されると言っているがこの焦りようから軽い処罰ではなさそうだ・・・無理に歩いて行く理由もないし待つしかないか・・・



門を潜り少し待つと遠くから金ピカに輝き装飾がもりもりの恥ずかしい馬車が5人の護衛らしき馬に乗る者達と共にこちらに向かって来た


まあ十中八九アレだろうと半ば呆れながら待っていると予想通り僕の前で止まり5人の護衛が馬から降りて来て頭を下げる


「ローグ公爵閣下にご挨拶申し上げます。私は近衛騎士第三分隊隊長のモード・ナジル・ソキンスと申します。王城までご案内させていただきます」


「近衛騎士・・・そんなにリガルデル王国の王都は危険なのか?」


「いえ!ですが万が一が御座いますと・・・」


と言いつつ僕の監視が目的だろう。勝手な行動をしないように


「そうか。案内感謝する」


そう言って馬車に向かい進むと騎士の1人が馬車の扉を開けてくれてそのままド派手な馬車に乗り込んだ


馬車の中もこれまた派手な装飾とフカフカの椅子、そして椅子と椅子の間にテーブルがあり飲み物が入った瓶とグラスが置かれていた


これを飲んでもいいって事か?


でも何が入ってるか分からないし飲むのはやめておこう


「では参ります」


声と共に馬車は動き出し一瞬瓶が揺れで倒れるかと心配になったが瓶の置かれている部分とグラスの置かれている部分が少し凹んでおり揺れても倒れないよう工夫がされていた


テーブルには他にもくぼみがありグラスが倒れないようになっている・・・貴族達はこの馬車に乗り飲み物を飲みながら優雅な旅でもするのだろうか


何が入っているか分からない怪しい飲み物には手を付けずに小窓から程の様子を伺うと至って普通の街の光景・・・つい先日に戦争を仕掛けて負けた国の様子とは思えない


笑顔溢れる平和な街・・・レッキ達と同様にフーリシア王国に攻める事も敗走した事も聞いていないのだろう


大軍が出て行ったのは知っているがどこで何をしているのか知らないし興味もないのだろう


代わり映えのない街並みを眺めながらしばらくすると馬車が止まり扉が開いた


「公爵閣下、到着致しました」


言われて立ち上がり馬車から降りると目の前にでんと構える城を見上げた


実はゲートを使い上空から王都全体を眺めたのだけど間近で見ると迫力が桁違いだ


間近で見た城の迫力に若干圧倒されながらそのままモードに案内され城の中へ


豪華絢爛な城内に圧巻され頭を下げ僕が通り過ぎるまでそのままの姿勢を保つメイドや執事達に申し訳なく思いながらも案内されるがまま謁見の間へと向かった


謁見の間と思われる扉の前で『規則上必要』と言われてあちこち触られた・・・武器を隠し持っていないかの検査だがかなり徹底的にやられた・・・これでゲートがあればいつでも取り出せると言ったら入室自体断られそうだな


武器を持っていないかの確認が終わると騎士の2人が同時に謁見の間の扉を開き部屋の中が伺えた


床には玉座まで伸びる赤い絨毯が敷かれ、その玉座には偉そうに座るリガルデル王国の王様と思わしき白髪の爺さん


その左右両隣に騎士が立ち玉座の後ろには王様と同じくらいの歳の老人が僕を目を細めて見つめていた


とりあえず中に入ると左右の壁には騎士が並び槍を手に持ち警戒していた


その中を真っ直ぐ玉座に向かい進むとちょうど中央付近で玉座に座る王様が軽く手を上げる


多分そこで止まれという意味だと理解して立ち止まり片膝をついて頭を下げた


「お初目にかかります。フーリシア王国公爵ロウニール・ローグ・ハーベスと申します」


「・・・面を上げよ。朕がリガルデル王国国王フォーデム・サーザント・リーブルだ」


・・・『ちん』?──────

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