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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
468/856

464階 十二傑前編

リガルデル王国ケミートの街


リガルデル王国の王都へ向かう途中で休憩がてら何気なく立ち寄った街なんだけど・・・デカイ!王都かってくらいデカイ!


脇目も振らずここまで来たけどもしかして他の街も?ここはフーリシア王国とリガルデル王国の王都のちょうど中間くらいの位置にある街・・・普通は王都に近付くにつれ発展していると思ったけどまだ王都までだいぶ距離がある・・・なのにここまで発展しているとは・・・リガルデル王国恐るべし!


塵一つない道路に人と馬車が行き交い、お洒落と思われる服を着こなす紳士&淑女・・・冒険者らしき人達も見かけるがまるで買ったばかりのように見える防具に身を包み道路を塞がずスタイリッシュに歩いている。商人と思わしき人も呼び込みなどせず笑顔を振りまき応対もスマートだ


まさに上品な街!


居心地悪くないのか?少しでも汚したら悪者扱いされそうなこの雰囲気・・・フーリシア王国の王都もそうだが息が詰まると言うか気を遣うと言うか・・・今度の計画している街が完成したら適度に汚しておこう・・・うん


そんなこんなで憩いの場を探すこと一時間余り・・・ようやく見つけたのは少し汚れた店構えの酒場だった


少し暗くなり始めたとはいえまだ完全に日も暮れてないのに飲み始め大きい声を出してバカ騒ぎする店内・・・何故か家に帰って来たような安心感を感じつつ中に入ると1人だった為にテーブルではなくカウンターに案内された


適当につまめるものと飲み物を頼むと店内に流れる心地いい音に耳を傾ける


「おい聞いたか?ウェッツの店で買った武器がまた折れたって・・・あの店高いくせに粗悪品ばっかだよな」「ボッタクられた・・・俺は絶対もうあの店に行かない!」「ブルベの奴浮気してるって?何回目だよ!」「・・・ミルリンちゃん・・・」


・・・うーん、よく分からんがゲスい・・・しかし心地いい!


「・・・どうなっちまうんだろうな・・・これから・・・」


店内で飛び交う会話を適当に聞いていると近くのテーブルに座る1人の男が顔を伏せ呟いた


すると同じテーブルの男が半笑いで落ち込んでいる男の肩に手を置き語り出す


「おいおいまた悪い酒が入ったか?噂でよくもそこまで落ち込めるよな・・・フーリシアに大軍で乗り込んで負けて帰ったって?笑えねえしくだらねえ冗談だよそんなの」


「でもその事を話してた奴が捕まったって・・・」


「そりゃー嘘を撒き散らしたら・・・ほら、何とかの流布とかで混乱させたとか・・・まあそんな感じで捕まるだろ?前に歓楽街の一番人気のミルリンが性病だって噂流した奴が捕まったように・・・」


「ミルリンちゃんは性病じゃない!」


別のテーブルから『ミルリン』と言う名前に反応して急に立ち上がり叫ぶ男が1人・・・だがその叫びを無視して近くのテーブルに座る男達は会話を続けた


「噂じゃ10万だかそこらで攻め込んで半分にされて逃げたって話だろ?しかも率いるのはあの『猛獅子』・・・ありえるか?んな事」


「・・・まあ・・・そうだよな・・・けど軍が動いてたってのは事実だし行きと帰りで人数が違ってたって・・・」


「ハッ、その言ってたヤツが数えたってか?行きは10万帰りは5万を?随分と暇なヤツだなそいつは。それに分かれて帰ってるかもしれねえし事情があるかもしれねえだろ?そいつは聞いたのか?フーリシアにやられたんですか?って」


「いや・・・聞いてないと思うけど・・・」


「だろ?お前は気にしすぎなんだよ・・・ここをどこだと思ってるんだ?覇王国リガルデルだぞ?戦争を仕掛けてくる国もなけりゃ脅かす国もない・・・大陸の盟主なんだよこの国は」


「・・・だな・・・そうだよな・・・」


「そうそう・・・それに今はそんなありえねえ話より面白ぇ話があるだろ?」


「あ、ああ・・・勇者と十二傑・・・」


勇者と十二傑??


そう言えば勇者を探すのすっかり忘れてた・・・もしかしてこの国にいるのかな?


それと・・・十二傑ってなんだ?


「そうそれ!魔物が外を出歩いてるって事は魔王が復活する日も近い・・・けどそんな中で人類の希望となる勇者も現れるはずだ。いつどこから・・・なんて話はとりとめのない話になるからさておいて、今熱いのは誰が勇者パーティーになるかって話!そこで欠かせないのが十二傑だ!」


「・・・お前好きだなその話・・・」


「あったり前だろ!?俺も一時期冒険者を目指してた・・・そりゃーまあ才能なくって親父の跡を継いだけどよぉ・・・やっぱ強い奴の話を聞くと今でも胸がワクワクするってもんよ!」


「はいはい・・・それで勇者パーティーには誰が入ると思うんだ?」


「こんにゃろ・・・まあいい。そうだな・・・魔王の城には6人しか入れねえって話だ・・・となると勇者を除いた5人が勇者パーティーのメンバーになる。勇者を別枠として考えるとパーティーメンバーは近接アタッカーにタンカー、それにスカウトと魔法使いとヒーラーの5人・・・俺の予想じゃ十二傑から最低4人は選ばれると思う」


「4人?5人じゃなくて?」


「ヒーラーは十二傑に入ってない可能性が高いからな・・・だからヒーラーを抜いた4人だ」


「・・・そっか・・・あれ?でもヒーラーも十二傑に居なかったっけ?えっと確か・・・」


「『居なかったけ』?『確か』?・・・お前俺が何度・・・もういい!おさらいするぞ!」


「いやいいって!もう何度も聞いたし・・・」


「うるせぇ!覚えてないなら聞いてないも同然!いいかよく聞け?十二傑は大陸にある六の国から最も優れた2人を選出した計12人の猛者達の事だ!直接対決はないから序列はない・・・けど俺は信じてる・・・その中に最強がいると!」


「勇者が最強なんじゃ?」


「勇者を除いてだ!いいか?よく聞けよ・・・」


ほう・・・興味あるなその話題


十二傑か・・・もしかしたらフーリシア王国は僕とサラ・・・ってそんな訳はないか


「先ずはもちろん我が国である覇王国リガルデル!ご存知『猛獅子』ことオルシア将軍にSランク冒険者・・・いや、SSランク冒険者とも言える『不死者』ダンテ!」


「オルシア将軍は分かるけど・・・てかSSランクってなんだよ・・・」


「スーパーなSランクって意味だ!オルシア将軍については誰もが知ってるが俺は十二傑最強は『不死者』ダンテじゃないかと睨んでる・・・何せ死なないんだからな」


「確か不可能と言われた欠損部の再生まで可能なんだっけ?・・・あー、ヒーラー枠!」


「ま、まあ勇者パーティーのヒーラー枠になる可能性があるのはダンテだけだろうな・・・けど果たしてヒーラーと呼べるのだろうか甚だ疑問だ・・・噂によると気に入らねえ相手の腕を切り落としちゃ生やし切り落としちゃ生やしとかえげつない拷問をするとか・・・ぶっちゃけ勇者に討伐されるレベルの人だからな・・・ダンテは」


なんなんそいつ・・・怖すぎだろ!


「確かに勇者パーティーにそんなのがいたら引くな・・・」


「まあな・・・でも勇者パーティーに入って改心するかもしれないし・・・てか悪役の方が似合ってるってどんなヒーラーだよって話だが・・・・・・気を取り直して次だ次!十二傑と聞いてやっぱり外せないのは武王国ラズン!」


「いや各国だからどこも外せないんじゃ・・・」


「黙れボケナス!武王国からももちろん2人!1人はもはや勇者パーティーに当確とさえ言われているあの人!『拳豪』コゲツ!拳ひとつでなんでも解決!漢の中の漢!ただ問題は何枠なんだって話だ!」


「勢い凄いな・・・近接アタッカーじゃないのか?」


「いやそれがな・・・拳にマナを纏ってるのかマナで拳を強化しているのか判定が分かれてな・・・近接アタッカーの可能性もあるしスカウトの可能性も・・・それにだ・・・もしスカウトだったとしたら悩ませるお方がその国には1人いる!その名もアッシュ!スカウトの大本命だ!」


「あーニンジャ」


(しのび)と言え!忍の頭領、忍頭!摩訶不思議な術を使う忍の頂点にして原点!気配を断つ技はまさに神業・・・彼を見た者は存在しないと言われるほどだ」


「意味が分からない・・・それって存在してないんじゃ・・・」


「黙れクソムシが!」


「・・・クソムシ・・・」


ラズン王国で色々な人に会ったけどその2人には会ってないな・・・コゲツにアッシュか・・・


「コゲツがスカウト枠なら必然的にアッシュが弾かれる・・・いや、アッシュがスカウトでコゲツが?・・・そんなありえない話があるか?」


「知らないよ・・・で?次は?」


「お前なぁ・・・ちゃんと覚えとけよ?次でちょうど半分だ!あまり知られてない2人・・・商王国アキードの2人だ!人将バベルに陸将ソワナ・・・ぶっちゃけ情報通の俺でもこの2人に関してはほとんど知らない・・・」


「情報通だったのか・・・まあ商人の国と言われてるくらいだからな・・・武力はさほど・・・」


「舐めんなスカタン!」


「・・・スカタン・・・」


「いいかよく聞け?人将は相手の血で顔を洗うってくらい凶暴であると知られ付いた二つ名が『狂乱将軍』だ!噂では瞳が相手の血を浴びすぎて真っ赤とか何とか・・・とにかく血の気の多さじゃ十二傑一と言っても過言ではない・・・らしい!それと陸将ソワナ!槍の名手で槍を持たせりゃ大陸一・・・らしい!槍とベッドを共にするくらいの槍オタクで噂じゃ自分を慰めるのに槍を・・・」


「おい!その話題にゃまだ早い!」


「・・・っと、暴走しちまった・・・まあそんな感じだ」


どんな感じだ!槍を・・・槍をどうするって言うんだ!?


海将のネターナは知ってるけど・・・そうか・・・残りの将軍はその十二傑と呼ばれるくらい・・・


「てか知らないと言いつつ知ってるじゃないか・・・これで十二傑も6人か・・・残るは6人・・・酒が足りないな」


「おい!オヤジ!酒を追加だ!それとアンタ!」


ぼ、僕!?


突然男は話に聞き入っていた僕を指差した


「興味があるんだろ?さっきから聞いてるのは気付いてたぜ?見ねえ顔だが十二傑に興味があるのは同志の証・・・ここに来て一緒に飲まねえか?」


バレてたか・・・まあ途中から食い入るように聞いていたから・・・そりゃバレるか


僕は無言でカウンターに置かれたグラスとツマミを持ち彼らのテーブルへ移動した


「へへっ、そうこなくちゃ」


「盗み聞きしているみたいで悪かった・・・興味があってな」


「気にすんな・・・同志よ」


「・・・それで?残りの6人は誰なんだ?」


「まあ待てそうがっつくなよ・・・それは追加の酒が来てからのお楽しみってやつだ・・・楽しみにして待っていな──────」

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