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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
466/856

462階 大都市計画

要望は通り僕はフーリシア王国にとって王族と繋がりのない唯一の公爵となった


そこで疑問に思った・・・王様も世継ぎの事を考えて子供を沢山作るみたいだがそうなると公爵がかなり増えるのでは?と


早速物知りサーテンに聞いてみて初めて貴族とやらの難しさを知る事になる


確かに王族が公爵となる・・・つまり第一王子が王様になれば第二王子が公爵になれる


第二王子が公爵となれば世継ぎさえいれば公爵家として脈々と・・・と思いきやそうでもないらしいのだ


爵位が上がるほど国に対する功績が必要になってくる。国に納める税金やそれに準ずる活躍・・・戦争でもあれば活躍も可能だがなければ活躍などで功績を得るのは難しいので結局は金が必要となる


過去に王とならずに公爵となった王子は数知れず・・・けど結局は税金を納められず没落してしまうのだとか


維持が難しいので公爵になれるがならずに男子に恵まれず女子しか生まれなかった貴族の婿になったりするのだとか


まあいきなり王族として城にて税金で生活していたのに公爵となり多額の税金を納めよと言われても難しいだろう。何せ領地も何も無いのだから


今フーリシア王国に存在する公爵は2人・・・それに僕が加わって3人しか公爵はいない


2人の公爵はどうやって継続しているのかサーテンも知らないらしい・・・相当努力したか裏技でも使ったか・・・


それとこれはちょっとビックリしたのだがどうやら公爵には王位継承権もあるらしい


勿論王様の子供より低いのだがそれでも王になる可能性があると言うのは驚きだ


辺境伯と公爵の違いは主に①王位継承権②ビックリするくらいの納税の義務③国王に次ぐ権力だ


つまり僕は王子達と同じ発言権を持つ事になる


宰相のクルスは爵位が侯爵の為にクルスよりも上であり、貴族同士の喧嘩は暗黙の了解みたいなところがあったけど公爵に喧嘩をふっかける事は国に対する叛意と見なされるためにそれもなくなる。ナージにとってそこはマイナスだろうな


それと納税の義務だが・・・何ともまあ3年間の免除と辺境伯の時と変わらぬ納税額で良いらしい。理由は多大な功績によるもの・・・辺境伯の時と同じなら余裕で払えるし3年間の免除はその期間にもっと余裕を持って払えるように出来るチャンスだ


金はまあぶっちゃけ作ればいいのだが・・・禁じ手として封印しているからなるべく頑張ってまともに払えるようになろう


てな訳で公爵となった僕・・・屋敷には連日連夜客が訪れるようになった


男爵から侯爵までありとあらゆる貴族達が押し寄せいつも以上に疲れた


その中にはカレンの父でもあるファゼンの姿も・・・僕にダンジョンを潰され娘まで取られそうになった哀れな侯爵に喜ぶプレゼントを用意した


『税金の一部免除と僕の後ろ盾』


一部とはひとつの街の分・・・つまりダンジョンが無くなったアジート分の税金は免除となる。これは王様に言い必要だったと言いくるめゲットしたものだ


次に僕の後ろ盾とは『ローグ公爵』の名前を使っていいという許可証みたいなもの。悪い事に使わなきゃ何に使ってもいい・・・そして使ってもまだ逆らうようなら僕が出て行くという代物だ


既に公爵となった時点で国境付近で起こった事は周知の事実となり僕が公爵になった理由も明らかになっている


リガルデル王国軍を追い払った貴族に逆らう者がいるかどうか・・・その質問の答えがファゼンの喜びように現れていた


あまりに目の余る使い方をしたら取り上げるが・・・まあ少しくらいは大目に見ようと思う



何せ娘との・・・カレンとの婚約破棄を承諾してくれたのだから



自分でも直接言わないのは卑怯だとは思っている・・・けどあの涙をもう一度見るのは・・・かと言って受け入れる事は出来ない・・・なのでファゼンに口約束自体がなかったことにして欲しいと頼んだ


最初は渋った・・・けど根気よく頼み込みようやく首を縦に振ってもらえた


〘へえ・・・人間の世界では脅しと頼むは同じ意味なんだ・・・知らなかったわ〙


〘まだまだ勉強不足だなダンコ〙


〘・・・今のロウはとっても人間らしいわ〙


〘褒め言葉として受け取っとくよ〙


晴れやかな空なのに心は何故か晴れてないな・・・ザーザー降りの雨でも降ってるかのようだ


一時の安らぎを得る為にエモーンズに戻って来たと言うのに・・・


「公爵様、準備が整いました」


「分かったすぐ行く」


部屋で窓の外を眺めているとお呼びがかかる


今日は『大都市計画』について話をする為に領主と村長に来てもらっていた


「そう言えば名前を聞いてなかったな・・・えっと・・・」


「シツジです」


「・・・なるほど執事になるべくしてなったのだな・・・紛らわしいからヒツジに改名したらどうだ?」


「如何様にも」


「冗談だ・・・仕事は慣れたか?シツジ」


「程々に・・・ちなみに今の『しつじ』はどちらの『しつじ』でしょうか?」


「・・・どっちでもいいだろ・・・」


新しく雇った執事のシツジと共に領主達の待つ応接室へ


部屋に入ると緊張した様子の3人が立ち上がり立ったまま頭が床に着くくらい頭を下げて挨拶をしてくれた


「ロ・・・ローグ公爵様にご挨拶申し上げます!」


さっきゲートで連れて来た時に会っただろうに・・・まあその時は公爵になった事は知らなかっただろうけどさ


辺境の地の田舎者がたまたま力を得て魔王討伐に貢献して爵位を得た僕と前代未聞の王族と無関係で公爵になった僕・・・彼らの目にはかなり違うものに見えるらしい


「かけてくれ。早速話をしよう・・・『大都市計画』について──────」




「公爵様の三つの領地を一つに・・・」


「ああ、かなり大きな街・・・大都市となるだろう。セイム絵を」


「はい」


応接室に置いてあるテーブルに大工に頼んで描いてもらった計画を絵にしたものを広げてもらう


領主達は自分が住む事に・・・そして治める事になるかもしれない絵を食い入るように見て三者三様の表情を浮かべる


「これは・・・また・・・」


「素晴らしい!もしや王都より広いのでは?」


「・・・」


広大な敷地に色々なものを詰め込んだ感じだ。でも家畜の放牧が出来る牧場や食物を作る畑なども敷地内に入っている為にごちゃごちゃした感じはない


王都は建物がギッチリ詰まっている状態だがこの絵はまるで・・・


「ひとつの国をこの中に凝縮した感じですな・・・この大都市の中に全てが詰まっている・・・そんな印象を受けます」


「その通り。魔物が外を普通に歩いている状態の昨今、家畜を殺されたり畑を荒らされたりするのを防ぐには街の中に全てを入れた方が安全は確保出来ると考えている。余計な出費を抑えて警備は軍に任せる・・・安全に仕事が出来安全に生活出来る空間・・・それを目指すには全てを街の中に詰め込むしかなかった」


「外観より安全性を考えた故なのですね・・・しかし・・・」


「しかし?」


「その・・・大変申し上げにくいのですがやはり窮屈に感じる者もいるかと・・・私共の村は変化を望まない者が多数おりまして・・・」


そう言ったのはケセナの村長だ


当然そういう意見も出るとは思っていた


セイムにどうにか出来ないか相談していたがこればっかりは・・・


「公爵閣下は強制はしないとの事です。この広大な敷地もさすがにムルタナやケセナには届きません・・・つまり残りたい者は以前と変わらぬ場所で生活する事が出来るのです」


セイムの説明に顔を顰める村長・・・歩み寄った提案に見えてそうでも無い事にすぐ気付いたようだ


村長が感じのはおそらく疎外感・・・大都市に入らないのであれば後は知らない勝手にやってくれと言われたようなもんだからな


だが・・・


「大都市に入らなければ変わらない・・・つまり残った者には何もない・・・という事でしょうか?」


「そうです」


セイムは村長に言い切った。当然と言わんばかりに


「しかしそれでは・・・」


「公爵閣下は領民の事を第一に考えてこの構想に至りました。ですがこの計画に賛同しない者も居ることは百も承知です。なので強制せず自由にして良いと言っているのにそれ以上何を望むのですか?」


「・・・」


「変化を望まないのは構いません。が、望まないのに恩恵だけを受けようとするのはどうかと・・・もちろん後で考えが変わって大都市に入るのは拒否致しません」


変化を望まない者にも快適な暮らしを提供したい・・・そう思って色々と考えたがどうしてもそうなると無理が生じる


それを解決しようと試行錯誤したが大都市に住んでくれるかもしれない人達にも負担がかかるような考えしか浮かばなかった・・・どうしても村での生活を再現しようとすると村優遇となってしまう


街と村では物に対してかかる税が違って来る・・・それを解消するには大都市村に住む者は税金を割引したりとか考えたけど大都市街に住む者から不平不満が出るだろう


ならいっその事切り捨てるとまで言わないまでも僕の意見に賛同しない者は勝手にやってくれと・・・ただ最低限の支援はするつもりだ。大都市に比べると差は歴然となるだろうけど


「・・・この計画はもう決まった事なのでしょうか?」


「はい。もう既に国には承認されております。後は様々な意見を聞きより良い計画に煮詰め着工に入る予定です。魔物の出現もありますので都市の周りの囲いは仮で作る予定ですので移住したい方は囲いが出来たらいつでも・・・ちなみに移住に際しての家屋の提供はこちらでさせていただきます。ただ今住んでいる家と同等になりますので大きくしたい場合は別途費用がかかります」


「住む場所は自由なのでしょうか?」


「一応家を建てる場所としての区画を設けようと思っております。その中なら自由なので早いもの順になるかと・・・農業を営む者は畑の近く、家畜を飼うつもりでしたら牧場の近くに建てられる予定にしてます」


今なら計画の段階だからある程度の変更は利くので乗り気であるエモーンズとムルタナの領主は前のめりになって話を聞いていた


しかしやはりケセナの村長は難色を示しているようだ


村に残る者がいるのは確かなのだろうけど人数が減るだけで存続が危ぶまれる可能性もある。人の流出を避けるには大都市計画自体がない方がいいという考えなのだろう


ケセナの村長には悪いがセイムが答えた通りこれは決定事項だ


誰かの思いを汲み取り過ぎて足踏みするのはもうやめた・・・欲張らず先ずは自分が出来る範囲から始めよう


今の僕なら辺境の地であるこの一帯を上手く治められるはずだ・・・多分──────

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― 新着の感想 ―
[良い点] 手の届く範囲は幸せにしたいロウの信念 [一言] アッハーちゃんが可哀想 静かな受付幼馴染や聖女など包囲網が広がりつつあるなかどうなるのか楽しみ
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