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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
403/856

399階 城前攻防戦

かなり本気で殴ったはずなんだけどな・・・耐えるかよ


それでも僕の拳を受けたシャスは拳を防いだ盾ごと吹き飛び僕を囲んでいた自らの盾をぶち破りかなり後方まで飛んで行く


すると全ての盾は消え去りようやく視界が良好に


その時


城の上の方から気配を感じた


サラと女王が見つけたか・・・ベルゼブブを


「始まったか・・・」


「何が始まったか知らねえが終わりだ」


「しつこい奴だな・・・ギリス!」


盾の囲いが解けた途端に飛び込んで来たギリス。拳を受止めお返しに食らわせてやろうとすると風切り音と共に矢が飛んで来る


「っんの!」


姿も見せずに遠くから邪魔しやがって・・・飛び退き矢が飛んで来た方向を見ると光が矢に反射したのか一瞬遠くの木の上が光った


あそこに・・・


「あー!邪魔くせえ!盾野郎も矢の奴も俺様の邪魔をしやがって・・・ぶっ殺してやる!」


おお・・・ギリスにしては妙案だ


「おいギリス」


「なんだロウニ!!」


「そんなにムカつくなら殴り倒して来い・・・応援するぞ?」


「・・・てめえよりムカつく奴はこの世にいねえ・・・まずはてめえをぶっ殺してからだ!!」


気の利かない奴だ・・・まあいいや


「ちゃんと倒して来るんだぞ?そしたらカミキリマルは返してやる・・・本当は貰ったのだけど」


「あん?何を言ってやがる!死ね!!」


「死ぬかよ・・・ゲート」


僕は向かって来るギリスに向けてゲートを開いた


行先は──────



「ぇぇぇ!・・・あん?どこだここは・・・ロウニは・・・っ!」


気付けば誰もいない林の中


ギリスは気配を探ると頭の上から気配を感じた


「誰だ!!」


「な、なんでアンタがここにいるんだい?さっきまであそこで・・・」


ギリスが見上げると弓を持つ女性が狼狽えていた


その言葉から女性が誰なのか察するとギリスは拳を握り女性がいる木に思いっ切りその拳を叩きつける


「きゃあ!!」


木は倒れ女性はバランスを崩し地面に落ちる。その女性にギリスは近付くと・・・


「てめえか俺様の邪魔をしてやがったのは・・・覚悟は出来てんだろうな・・・」


片目を前髪で隠した女性『雷弓』のケティナは驚異する


目の前の男がなぜか下半身のモノを出しそそり立たせていたから


「へ、変態!一体何を・・・」


「躾がなってない女にはコイツでお仕置って相場が決まってるだろ?木の葉っぱの数でも数えてな・・・数え終わる頃には終わってんよ」


「お、多過ぎだ!!」



2人の戦いが始まる──────




「さて・・・」


これで邪魔者が2人減った・・・あとは・・・おおっ!?


バウムを見ると何やら目を瞑ってブツブツ言っていた。何をしているかと思えば・・・こらこら・・・洒落にならないぞ?


上空を見上げると巨大な岩が太陽の光を隠すように存在していた


間違いなくバウムが魔法で作ったもの・・・これが落ちて来たら・・・


「おい!女王はどこだ!」


「なんだよ今それどころじゃ・・・」


「てめえは女王を守ってる・・・そうだろ?」


「・・・だったらどうだってんだモーレン」


「ウォーレンだ!・・・てめえが抜かれても俺が女王を守る・・・俺を女王の元に行かせろ」


「・・・それを信用しろと?」


「ババアの・・・アネッサ婆さんの名にかけて守ってみせる」


そういやコイツ・・・女王に庇ってもらったんだっけ?確か貴族に手を出して・・・


確かそこそこ強いってアネッサが言ってたよな・・・少しくらい役に立つか?まあもし裏切ってもサラがいるし・・・


それにコイツは来たはいいけど手出はしなかった・・・ギリスと来たのが気になるしガシャ達に手を出したのは気に食わないがそれは後で償わせるとして・・・


「行け・・・下手な真似したら殺す」


「はっ、今すぐ死にそうな奴に言われたくねえな・・・行くぞお前ら!」


「ひ、ひぃ!」


あれは確か・・・エイ


「ぬあああ!!」「ぎょえ!」「うあああ!!」


「・・・てめえ・・・何しやがる!」


「邪魔になるだけだから堀に突き落とした・・・お前も落とされたくなかったらさっさと行け・・・それとも今までの戦いを見ても俺に敵うと?」


「・・・チッ!・・・覚えてろ!」


「そりゃあこっちのセリフだ・・・行け」


橋を渡った第1号がウォーレンか・・・抜かれた訳じゃないがなんか癪だな


それよりも頭上の岩だ


どんどん大きくなってるし・・・これ落とされたらここら一帯ぺしゃんこになるんじゃないか?・・・ん?


「・・・アネッサ・・・だと?」


ブツブツ呟いていたバウムがいつの間にか目を開き僕を見つめていた


そう言えばダカンの父って事はアネッサの・・・って事だよな?


「アネッサがどうした!まだ彼女は・・・あの女王を・・・」


「救おうとしているさ。ここにいるきっかけはアネッサさんだし・・・」


「まだそんな世迷言を・・・女王はダカンの仇だと言うのに・・・」


「信じたんだろ?」


「あの女王の何を信じると言うのだ!私達の息子を殺し実の両親まで手にかけたあの女を!」


「違うって・・・信じたのはダカンだろ?」


「なに?」


「ダカンが愛した人だから・・・信じて救いたいんだろ?」


「くっ!・・・ダカンは騙されていたのだ・・・あの女に・・・」


「ならそう思っとけよ・・・お前はダカンも妻だったアネッサさんも信じないで勝手に女王のせいにして生きてろ・・・お前の二つ名の『地仙』の『地』が『知』じゃなくて良かったよ・・・そっちだったら全力で否定していたところだ」


「ぬぅぅ!・・・貴様に何が分かる!!」


「何も分からないよ・・・けどアネッサさんに言われたんだ・・・俺とサラっていう美女となダカンと女王が似てるって」


「・・・貴様とダカンは似ても似つかぬ・・・」


「どうだかな・・・会ったことないから俺も知らないけど・・・それはそうとあれはやめてくれないか?みんな死ぬぞ?」


「黙れ!女王諸共全員死ね!ダカンの・・・息子の弔いだ!!」


おい


両手を巨大な岩に向けてかざすと喚き散らしながら振り下ろした


すると巨大な岩はゴゴゴと音を立て落ち始める


うーん、近付くと更に大きく見えるな・・・もしかして城より大きい?


「ち、血迷ったかバウム!退け!退避だ!!」


ラドリックが慌てて兵士達を下がらせる・・・まあ兵士達のせいで自分が逃げれないからだろうけど


さて・・・どうするか・・・地面に落ちれば衝撃でどこまで破壊されるか分からないしかと言ってどうする事も出来ない・・・うーん・・・


〘ゲートで逃げればいいじゃない〙


「アホ言うな・・・僕が生き残ってもサラが・・・ついでに女王も死ぬ」


〘どうでもいいじゃない・・・まあどうしてもって言うなら教えてあげなくもないけど?〙


「どうしても」


〘・・・魔力を集めて打ち込みなさい〙


「んなもんで壊れるか?それに壊れたとしても破片が・・・」


〘壊れるまで打ち込むの・・・破片は出ないわ・・・アレより大きい魔力を打ち込めば、ね〙


アレより大きく!?


集中するのではなく広く疼くって感じか?でもそうなると威力が弱くなるような・・・


〘あの魔法に込められているマナが切れればアナタの勝ち・・・その前に力尽きたらアナタの負け・・・単純でしょ?〙


「簡単に言ってくれる・・・成功する確率は?」


〘私なら100パーセントよ〙


「ケッ・・・それなら僕は・・・120パーセントだ!!」


両手を突き出しイメージする


あの巨大な岩より大きく強力な魔力の塊を


「食らえ!魔力岩砕き!!」


〘・・・ネーミング・・・〙


もうどうにでもなれだ


降ってくる岩よりも大きくなれとイメージしながら魔力を放つとなぜか体の力がガクンと抜ける


〘調整!イメージより魔力の放出量が多いわ!もっと外から集めるイメージをして!じゃないと魔力不足で押し負けるわよ!〙


あれは魔力が抜けた感覚なのか・・・クソッ想像よりかなりキツイぞ・・・


〘大気中の魔力だけ!それだけを使うの・・・一気に破壊しようとすると足りなくなる・・・ゆっくりと徐々に・・・まだアナタは魔力の扱いに完全に慣れてない・・・それでもこれまで使ってきたはず・・・急がなくていい・・・ゆっくりと・・・深呼吸するように・・・〙


魔力を・・・大気中から集めて・・・もっと・・・もっと・・・


〘慌てないで・・・魔力は無限よ?特に今は魔力が濃くなっている・・・不安、不満、怒り、悲しみ・・・魔力の元がこれだけあるならアナタは負けない〙


ははっ・・・何を糧に力を出しているんだ僕は・・・けど今は・・・利用させてもらう!


「砕けろオラ!!」


〘だから力まない!〙


ダンコは頭の中で叫ぶが見てみろ・・・やってやったぞこんちくしょう!


魔力の塊は岩を飲み込み完全に消滅させる・・・二次災害もないし完璧に・・・


「あ、れ・・・体に力が入らないぞ?」


〘だからあれほど・・・あの魔法が消せたら全てが終わるならまだしも・・・バカ〙


両手を膝につき顔を上げると消えた岩を見上げる万の軍勢・・・それに対するのは精も根も尽き果てた僕・・・


〘魔力は無限・・・けどそれを使う人間に負担が何も無い訳じゃない。大気から集め放つには精神力に体力も消耗する・・・流れに任せていればそうでもないけど・・・〙


力めば力むだけ体力は削られる・・・か


もっと早く教えてくれよ・・・


〘知らないわよ・・・死なないでね・・・ロウ・・・出来れば逃げて欲しいけど・・・〙


「逃げる訳ないだろ?・・・僕の背後にはサラと・・・この国の未来がいる」


〘なら歯を食いしばって頑張りなさい・・・私の為に〙


「アホか・・・僕の為だ」



「き、危機は去った!相手は既に死に体だ!全軍今より城へ攻め入るぞ!女王の悪政をここで断ち切るのだ!!」


ラドリックの言葉に応じる兵士達・・・誰の為にこんなに苦労したと思ってんだ・・・破片くらい落としてやれば良かったか?


「終わりだ・・・ロウニール・ローグ・ハーベス辺境伯」


「フルネームで言うなよ・・・バレるじゃないか・・・」


って今更か・・・もう仮面は邪魔なだけだな・・・


仮面を外し素顔を晒すとゲートを開き外した仮面をしまう


そして代わりに取り出したのは・・・カミキリマルではなく刃を潰した剣


〘アナタこの期に及んで・・・〙


「女王が守って来た命だ・・・散らすのは気が引ける・・・ここまで来たんだ・・・もう少し頑張らせてくれ・・・」


「何を1人でブツブツと・・・ええいかかれかかれ!首級を挙げた者には望みの地位を約束するぞ!目の前の敵を捻り殺せ!!」


人の気持ちも知らないで・・・言ってくれるな大将軍!


「殺さないまでも本気で叩くぞ?痛いが恨むんなら仕組んだベルゼブブを恨みな!・・・んじゃまあ・・・かかって来い!──────」

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