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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
383/856

379階 機密事項

「こっちが冷気耐性を付与したメイド服にこっちが同じく冷気耐性を付与したマントにゃ」


「・・・本当にメイド服なんだ・・・」


「おお!このマント足元まであるしすっぽり体が収まるぞ!」


波乱の朝食が終わった後に訪ねたのは司令室


有能なサキの事だから作り終わっているだろうと思って来てみたら本当に作り終えていた


注文通り僕には大きめのマントをサラには冷気耐性が付与されたメイド服を・・・これで露出が下がらず寒さ対策万全だ


「さあ着替えていざシャリファ王国へ!」


「テンション高いわね・・・ハア・・・着替えるからあっち向いてて」


「分かった!」


ふっ・・・残念だったな。後ろを向いても目を閉じたらホラメイドの生着替えが・・・


「・・・覗いたら潰す・・・確実に潰す・・・」


何を!?


身の毛もよだつような言葉をブツブツと呟きながら着替えるサラ・・・バレる訳が無い・・・なのに僕は覗くのを止めて大人しく着替えが終わるのを待つことにした


「お待たせ・・・覗かなかった?」


高速で首を縦に振ると少し疑っていたが信じてくれた


てか、何を潰すつもりだったのだろう・・・目か?それとも・・・




「え?サキ行かないのか?」


「寒いのは嫌いにゃ・・・と言うのは冗談でかなりの数のストックがあった魔物がいつの間にか少なくなってしまってるにゃ・・・しばらく安定供給出来るまで旅はお預けにゃ」


「ええ・・・嘘でしょ・・・」


そっか・・・サキは付いて来ないのか・・・何故かその事にかなりショックを受けているサラ・・・そんなに僕との2人旅は嫌か・・・


「気をしっかり持つにゃ!危なくなったら蹴ってでも逃げるにゃ!」


「う、うん・・・まだ孕むのは早いし・・・頑張ってみる!」


おい!何の話だ何の!



普段2人はどんな会話をしているのだろうと気になったけど話してくれないだろうな・・・悪口でないことを祈りつつ着替え終わったので前に印を付けていた場所にゲートで移動した


ゲートを通り抜けた途端に寒さを感じるかと少し身構えたが全く寒くない・・・サラを見ると彼女も寒くないと感じたのか僕の方を見て頷いた


「不思議・・・この前は肌寒かったのに全然・・・これってもっと寒くなっても同じって事よね?」


「だと思う。けど見た目的にもっと寒くなったら何か羽織った方がいいかもね」


下手したら見ているだけで寒くなりそうだ・・・特に胸元


「・・・だったら初めっから・・・もういいわ。とりあえずシャリファ王国に入りましょう」


「そうだね」


何か言いたげだったけど諦めたようだ


って事で寒さへの対策も終わったので国境に向けて歩き始める。屋敷に戻る時に人気のない所まで移動した為に国境まで少し距離がありその道中で他愛もない話しをして盛り上がっているとサラがとつぜん神妙な顔をして僕に尋ねる


「ねえ・・・マウロの事どう思う?」


「マウロ?・・・ああ、メイドの・・・別にあれくらいの意見はいいと思うよ?逆に言わずに鬱憤を溜めるよりは・・・」


ちょっとサラに対して風当たりが強いような気もしたけど・・・


「そうじゃなくて・・・女性としてよ」


「女性として?・・・・・・・・・うーん・・・」


改めて聞かれると返答に困るな


正直メイドの子達はみんな綺麗な子や可愛い子ばかりだ。だけどあくまでメイドとしてしか見ておらず女性として見た事がない・・・と言うか見ないようにしている。サラと付き合う前ならもしかしたら・・・って思うけど付き合った後はそういう対象で見ないよう心掛けるようになった


なぜなら・・・僕が嫌だからだ


サラがもし僕以外の人を男として見てたら?・・・とりあえずそいつはこの世から消し去りたくなるだろう・・・うん


「女性としては綺麗な人だと思う・・・多分」


「もし私が許せば抱きたいと考える程に?」


「あのねえ・・・僕が浮気すると思う?」


「浮気じゃない・・・貴族が何人も娶ったりメイドに手を出すのは何も快楽だけが目的じゃない・・・確実に子孫を残す為でもあるの。それも優秀な子孫をね。自分の子供なら誰でも良いって訳じゃないしより優秀な子の方が治める領地に住む人達も安心でしょ?だから決して悪い事じゃなく・・・むしろ領地の人達の事を考えた良い事とも言えるわ」


どうしたんだ急に・・・誰かに入れ知恵でもされたのか?


「・・・優秀な子が産まれるまでサラが産みまくるとかは?」


「どんだけ産ませる気よ・・・それに自分の子に優劣は付けたくないし出来れば自由に生きて欲しい・・・貴族の子に生まれたからと言って貴族にならないといけないなんて可哀想じゃない?」


まあそれは言えているかも・・・冒険者になりたくても僕とサラの間に1人しか子供がいなかったら強制的に跡継ぎになるしかないか・・・


「例えば子供が1人しかいなくて冒険者になるって言ったらローグ辺境伯は廃止にするとかは?別に脈々と続いてくれって思ってないし」


「・・・それもそうね・・・無責任に思えるかもしれないけど引き継ぐ相手を見極めれば・・・」


「うん。今でも貴族なんてやめても良いって思ってるしね。だからいっぱい子供を作らなきゃと考えないでいいと思う」


「・・・なら私が子供を産めない体だったら?」


「?何か問題が?」


「・・・何でもない・・・」


サラとの子供は欲しいけどそれは自然な事であり出来ないのもまた自然な事だと思う。だからと言ってサラに対しての感情が揺らぐ事もなければ他の女性と子供を作ろうとも思わない・・・変かな?


「・・・じゃあ・・・私がもし先に死んだら?」


「その質問には答えられないな」


「・・・なんで?」


「想像したくないから・・・その『もし』は」


「・・・そっ・・・」


「サラはどうなの?僕が先に死んだらどうする?」


「・・・そうね・・・その時はその時で考えようかしら」


なぬ!?


見ると微笑を浮かべるサラ・・・これは本気か嘘か分からないぞ?・・・いや、僕が死んでずっと1人で居てくれとは言えないし仕方ないのかも知れないけど・・・ぐぬぬぬぬ


こりゃあ何があっても死ねないな・・・てか死んでも死にきれん




話している間に国境にある関所に着くとシャリファ王国に入る為の列が出来ていたので2人で並んだ


並んでいる人達は殆どが商人らしく馬車を引き連れている・・・と言うか徒歩なのは僕達くらいじゃないか?


「次・・・身分証の提示を」


少し待つとようやく僕達の番となり慣れた感じで身分証の提示を求めてきた


「はい」


「・・・これは失礼致しました。ご本人で在られますか?」


「そうだけど?」


「そうですか。ご同行者様の人数と馬車の数をお教え下さい。大変恐縮ですが馬車の中身は改めさせて頂きます」


馬車?・・・あー、後ろの馬車を僕のと勘違いしているのか


「同行者は1人、隣にいるメイドだけだ。馬車はない」


「・・・申し訳ありません規則ですので・・・」


「???」


「ご主人様、おそらくこの方は無理を通そうとしていると勘違いされているのかと・・・」


無理を通そうとしている?・・・ああ、馬車を見なかった事にしろと言ってると勘違いしているのか


「後ろの馬車は本当に私のではない。この身分証で通すのは私とメイドの2人だけで構わない」


「・・・道中はどのようにして来られたのですか?まさか徒歩などと・・・」


「機密事項だ」


「え?機密・・・ですか?」


「フーリシア王国の機密事項・・・それを言えと言うのだな?」


「い、いえ!そうとは知らずに・・・申し訳ございません!」


「知らなかったのだろう?なら構わない。で、行っていいか?」


「はい!・・・あ、あの・・・最近魔物がダンジョンから出て来ると聞いております。お2人という事なのですが護衛などは・・・」


「機密事項だ」


「・・・お通り下さい・・・」


機密事項でも何でもないけどこの言葉は効くな・・・貴族の・・・しかも他国の貴族に機密事項を根掘り葉掘りに聞く訳にもいかないだろう


関所を通り抜けると風が吹いてきてマントをなびかせる


よく見ると関所を通った商人らしき人達は厚着をしているにも関わらず寒そうに体を丸めていた


「・・・どうやら寒いみたいだね」


「そうですね。そのせいで私は奇異な目で見られています」


多分かなり寒いのだろう・・・普段から美人が故に目立つサラだが今回は好奇な目ではなく怪訝な表情を浮かべて彼女を見ていた


「ゴホン!」


わざとらしく咳払いをすると一斉に目を背ける商人達・・・メイドを連れている人間なんて貴族くらいなものだから関わるのは危険と判断したのだろう


しかし商人達はその辺賢く行動するが街に入ったらどうだろうか・・・前に僕の家を勝手に使ってた連中なんかそういう事を全く気にする様子もなかったしトラブルの元になるかも・・・よし


「街に入る時はマントを付けよう」


「・・・普通逆では?」


「それだと旅の楽しみがひとつ減る」


「景色を見て下さい景色を」


何を言っているのだか・・・異国の地を2人で歩きながらフーリシア王国にはない景色を堪能しつつ隣で揺れる果実も堪能する・・・これこそが旅の醍醐味なのに


「・・・もし」


「ん?もし?」


「もし私の胸が小さかったら・・・ご主人様はどうしていましたか?」


「・・・・・・・・・」


「悩むな!」


怒られた



そりゃあ胸の大きさなんて関係ないとは思っているよ?でも大きい胸についつい目が行ってしまうのは確かだ


大きい胸に惚れた訳ではないけど惚れた一つの理由になっているのは間違いな・・・


「そう言えばペギーも胸・・・大きいよね?」


んぐっ・・・痛いところを突かれた・・・


「た、確かにそうだけどそれはたまたまで・・・」


「・・・」


サラは無言で収納ゲートを開くと仮面を取り出した


何をするかと思いきや普通にかぶって変身・・・あれ?サラのままだ・・・いや!胸が・・・ない!


「ほら!あからさまにガッカリしたでしょ!」


「してな・・・・・・・・・」


サラが少し前屈みになって僕の顔を指す・・・どうやら顔に出ていたみたいだ・・・けど今はそんなのどうでもいい。胸が大きい状態から小さい状態に変身したサラ・・・服のサイズがそのままだったようで前屈みになるとお胸が・・・


「っ!?ちょ・・・変態!」


「アリ・・・だな」


胸が小さいサラを想像出来なかったけど実際見たら・・・いい


なんかアンバランスな感じでそそられる


「サラ・・・今夜は・・・」


「絶っ対イヤ!」


残念ながらサラに拒否権はない・・・大貴族の権力とやらを今夜見せてやる──────

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