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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
362/856

358階 テリトー一家

「おはよ・・・ええ!?」


朝一番でサラの元に訪れるとそこに居たのは鎖に繋がれた猛獣だった


その瞳には殺気が込められ身体は湯気が出そうなほど熱を帯び部屋は獣臭で充満して・・・いるような気がする


「・・・えっと・・・サラさん?」


「・・・もう・・・ダメ・・・下着を・・・脱がして・・・」


ええ!?まさか朝から盛って!?それともまさかここにいる連中に何かされたとか・・・それなら国ごと滅ぼす勢いだけど・・・


「早く・・・」


「わ、分かった。とりあえず脱がして挿入すればいい?」


「んなわけないでしょ!・・・はう・・・大声出すと・・・早く・・・」


「わ、分かった」


とりあえず言われた通りに下着を下ろす


するとサラは続けてこう言った


「ゲート・・・誰も居そうにない所に・・・ゲート・・・」


その言葉で全てを察した


僕はすぐさま要望通りの場所にゲートを繋ぐ・・・彼女の真下に


「どうぞ!」


「どうぞじゃない!あっち向いて!振り返ったら本気で怒るわよ!」


「は、はい!」


せっかくのシーンを見逃す事になるが怖かったので後ろを向いた


「耳!」


「え?」


「耳を手で覆って!早く!」


「はい!」


と言いつつ少し間を空けて耳を塞いでいるように見せかける。逆にそうする事により耳は余計に澄まされ聞く事が出来た・・・シャーからチョロチョロまで


「終わっ・・・」


「まだ!いいって言うまで振り向いちゃダメだからね!」


ふむ・・・音はもうしないのに何故だろう・・・


僕がする時は・・・ああ、終わった後の残りを・・・でも僕のは振ればいいけどサラはどうやって?まさか腰を振って残りを?・・・見たい・・・その光景を是非とも見たい


「・・・いいわよ・・・」


無念・・・どうやら怒られる覚悟に振り向こうとしたが時すでに遅し・・・今度見せてもらうか・・・いや、殺されるな


「下着を上げて・・・見たらどうなるか分かっているわよね?」


「・・・てか我慢するくらいなら僕を呼べばっ!」


頭突き!


近寄った瞬間に頭突き・・・鼻がツーンと・・・あ、鼻血・・・


「誰のせいでこうなったと思ってるの?」


「え?」


「ジャナが反応しないんだけど?」


あ・・・昨日の夜、おやすみモードに入れたままだった・・・


「えっと・・・どれくらい耐えてたの?」


「一晩中!・・・もうちょっとでこれまで耐えてたのが無駄になるところだったわ・・・」


「ごめん・・・すっかり忘れて・・・あれ?この下着・・・がっ!」


頭突き!


下着を上げようと覗き込んだ時に下着の中に汚れが見えたのでそれを言おうとしたら今度は後頭部に・・・


「見るなって言ったわよね?そもそも誰の汚れだと思ってるの?お風呂も入れない下着も替えれないのに・・・」


「・・・替えを持って来る?」


「もういいわよ!・・・別に汚いものとは思ってないし・・・」


「サ、サラ・・・」


「だからって欲情しない!いい?お風呂に入るまで絶対しないからね!もし昨日みたいに襲って来たら・・・知らないからね!」


「・・・はい・・・」


今回はさすがに海より深く反省しております


まさかジャナの事をすっかり忘れてしまうなんて・・・もしオシッコじゃなくてサラが本当に窮地に陥っていたとしたらと考えるとゾッとする・・・


「言っとくけどあなたが考えるより大変だったんだからね・・・」


うっ・・・心を読まれている・・・


「とにかく間に合って良かったわ・・・もうダメかと・・・」


「出しても濡れるだけじゃ・・・」


「死にたいの?」


「生きたいです」


そっか・・・僕なら迷わず出てたな・・・サラが特殊なのか女性がそうなのかはたまた僕がおかしいのか・・・


「さっ、この話はおしまい!それで?ご飯を届けに来たの?」


「それもあるけど呼ばれたから緊急時以外は連絡出来ないって伝えとこうと思ってね」


「呼ばれた?」


「うん・・・ダーザン一家にね──────」




朝早くからエイムに渡していた石と対になる石が輝いていた


何事かと思ったらどうやら僕を頭領に紹介したいとのこと


ゼナス・ダーザンだったか・・・魔族にいいように操られている一家の頭領なんてさして興味なかったけど助っ人をすると約束したのだから顔合わせくらいはしてもいいかと承諾しサラの所に寄った後で待ち合わせの場所まで向かった


「よく来てくれた!さあ入ってくれ」


若頭・・・一家の中では2番目に偉いらしい。ゆくゆくは頭領になる者が若頭になるらしいのだがエイムで大丈夫なのだろうか・・・小物感満載なんだけど


そのエイムに案内されて一家のアジトである家の中へ・・・すると奥の一室に片膝を立てて座る白髪の男性がこちらを睨みつけていた


本当にエイムと血縁関係あるのか?迫力が段違いだ・・・エイムがあの年齢になったとしても到底出せないくらいの・・・


「そいつか?ウチのもんを食らわしてくれたのは」


「親父!そういう言い方は・・・」


「てめえは聞かれた事に答えりゃいいんだ!」


「・・・ああ、この人だ」


「箸にも棒にもかからねえ面しやがって・・・とても信じられねえな」


偉そうに人を値踏みして・・・さてどうするか・・・コイツが魔族でないのは見れば分かる。エイムを口止めしているのはコイツじゃなくて魔族だろう・・・コイツはただの中継役か身代わりか・・・まあ単なる操り人形に他ならない


味方になっていずれ魔族が接触して来るのを待ってもいいが時間がどれだけ掛かるやら・・・それならいっそう・・・


「テリトー一家も大した事なさそうだな。こんなチンケな奴らに苦戦しているようじゃ」


「お、おい兄さん!」


「・・・へえ?俺を目の前にして言ってくれるじゃねえか・・・吐いた唾は飲めねえぞ小僧!」


「なんだそれ・・・とにかく助っ人してやるからありがたがっとけ・・・じゃあ行くぞエイム」


「え?ちょっと・・・何処へ?」


「決まってるだろ?証明してやるよ・・・どちらも大した事ないってな──────」




長年縄張り争いをしてれば相手の拠点なんて知って当然・・・それでもそこを攻めないのは戦力が拮抗していて互いに無事では済まないからだ


もし第3勢力がそのタイミングで訪れたら?その勢力は労せずダーザン一家とテリトー一家の縄張りを手に入れられる事になる。それを警戒してなかなか総力戦には踏み切れていないのだろう


「あ、挨拶だけだよな?たった2人でこんな所で喧嘩売ったら・・・」


「安心しろ・・・1人だ」


「へ?」


拠点だけあって守りはしっかりしているっぽい


見張り役が目を光らせている中、僕はエイムの背中を思いっきり押してそいつらの目の前に放り込む


「よっ!ダーザン一家の若頭!」


適当に盛り上げれば食いつくだろうと思ったら予想以上の食いつきにビックリだ。動揺するエイムを見て見張りが何か叫ぶと拠点の建物から何人中に居たんだよってツッコミたくなるくらい人が出て来た


「あ・・・え・・・」


「おや?これはこれはダーザン一家の若頭のエイム・ダーザンさんじゃないですか・・・何用で?まさか散歩・・・なんて言わないですよね?」


丁寧な口調とは裏腹に慌てふためくエイムを嘲笑する性格のひねくれた奴・・・エイムと同じ若頭か何かかな?


「・・・くっ・・・別に・・・」


「『別に』・・・何が『別に』ですか?教えて下さいよエイムさん・・・貴方の顔を見る度に貴方にやられた傷が痛む者も沢山いるのです・・・そんな貴方がノコノコと我が一家の前にいる理由を・・・教えて下さいよ」


「いや・・・違くて・・・その・・・」


「はっきり喋れ!」「あの時の威勢はどうした?」「声が小さくて聞こえねえぞ?」


うーん、テリトー一家に囲まれてすっかり縮こまっているな。図体はデカい方なのに小さく見える


たとえ勝てなくてもタンカを切って暴れる姿を見せてくれれば見直したのに・・・まっ、こんなもんか


「あー、すみませんすみません・・・俺がエイムに街の案内を頼んだばっかりに・・・」


囲まれるエイムの元に行きさっきから偉そうに喋る男に頭を下げた。すると男は目を細めて僕を見た後で鼻で笑う


「街の案内?ダーザン一家は観光業にでも手を出したのですか?そう言えば縄張り内で争いがあり店がひとつ潰れたとか・・・喧嘩も収められないのならその縄張り下さいよ・・・我が一家がちゃんと治めて差し上げますから」


「くっ・・・」


「そうか収めてくれるのか・・・大した自信だな」


「・・・さっきから何ですかあなたは・・・私は今エイムさんと・・・」


「昨日店を潰したのは俺だ」


「・・・なに?」


「だからテリトー一家なら本当に収められたか試してやるよ・・・収められてから大口叩くんだな」


「・・・冗談じゃ済みませんよ?」


「いいからかかって来い・・・殺さない程度にボコボコにしてやる──────」




「か、頭ぁ!」


「なんでぃ騒がしい!」


「そ、それが・・・テリトー一家・・・」


「あん?テリトー一家がどうした?まさか攻めて来やがったのか?」


「いえ・・・逆・・・」


「逆ぅ?シャキッとしろぃ!何があった!」


「てやんでぃ!」


「ギャン!」


部屋の前で邪魔だったのでラズン王国の奴らがよく言う言葉を言いながら蹴り飛ばし頭領の部屋に入る。テリトー一家の頭領の首(胴体付き)を持って


「そ、そいつぁ・・・」


「なっ言ったろ?大した事ないって」


本当は首だけ持って帰った方が軽くて楽なんだけどサラにあんまり人を殺すなと言われているから生きたまま持って帰って来た。そして・・・


「ほら言え」


「・・・我々テリトー一家は解散する・・・ケッペリはお前達のものだ・・・ダーザンの」


「マジで言ってんのか?テリトーの」


この『〜の』ってよく分からんな。その後に言葉が続くのかと思ったら続かなくて肩透かしを食らってしまう。ワグナも僕の事を『フーリシアの』とか呼んでたし・・・フーリシアの何なんだよ!ってツッコミたくて仕方なかったのはいい思い出だ


それにしてもゼナスの顔・・・せっかくケッペリを手に入れたっていうのに苦虫を噛み潰したような顔している。それもそのはずだ・・・エイムはあまり理解してなかったが伝手からの要望は街を手に入れる事ではなく縄張り争いをする事だからだ。街を手に入れてしまえば争いはなくなり街は平和を取り戻してしまう


それが分かっているからあのような顔をしている


僕のせいで意図せぬ結果となった縄張り争い・・・果たして魔族はどう出るか・・・楽しみに待つとしよう──────

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