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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
360/856

356階 初めての歓楽街

「お兄さんどこ出身?この街じゃないよね?あ、刀はここに置いといてね。置いたらここに座って。最初は何飲む?私も貰っていいかな?」


「え、あ・・・うん。じゃあオススメを貰おうかな・・・」


「はーい。じゃあ頼んでくるからいい子にして待っててね」


「・・・はい・・・」


なんだこの店は・・・店内に入り他の席を見てみたが男が女の店員と2人っきりで飲んで食べて触って飲んで・・・男はデレデレ、女の子は笑顔・・・いかがわしい事この上ないな


「お待たせー。オススメって言ったからラナーのごちゃ混ぜドリンク作って来たよー」


そう言って戻って来た店員、ラナーは座っていた僕の隣に座ると僕の前と自分の前に酒の入ったグラスを置いた


「ご、ごちゃ混ぜ?」


「うん。色々なお酒をね・・・ちょちょいって混ぜて作るの。配合はひ・み・つ・・・飲んだら元気になるよ・・・色々と、ね」


そう言って体を密着させると手は僕の太ももの内側を擦る


なんだこれ・・・なんだこれ!?


「アハハハハ・・・冗談冗談。この店はそういうお店じゃないよ?緊張しているみたいだったからつい、ね」


すみません・・・そういうお店ってどういうお店?具体的に教えてもらいたいが・・・やめておこう


とりあえずラナーが持って来てくれたごちゃ混ぜドリンクを一口飲んだ・・・甘い?いや酸っぱ・・・甘い?


「どう?飲みやすいでしょ?最初はそれくらいがちょうど良いかなーって・・・さあさあ飲んじゃって飲んじゃって」


確かに飲みやすいけどアルコール度数も高そうだ。一口飲んだだけで顔が熱くなり、二口目三口目と飲み進めるとその熱は身体全体に広がり気分が良くなってくる


「もう一杯作ってくるね!ラナーの分もいいかな?」


「う、うん・・・」


「ありがとー、じゃあ大人しく待っててね」


わざわざ顔を耳に近付け息を吹きかけながら言うラナー・・・酔いも手伝ってコクコクと素直に頷く僕・・・ヤバイなこのままじゃ・・・


〘ダンコ・・・僕が酔ったら・・・ってそう言えばダンコも酒が弱かったか・・・〙


〘それはサキでしょ?私は平気よウンバボ〙


・・・マズイ・・・いい感じにバグってる


ここに来た理由は決していい感じで酔う為ではない。店と揉めて自分達では対応出来ないと思わせて用心棒的な奴らを呼び出してもらう為だ。その用心棒はここを縄張りとしている奴ら・・・あの鬼化した奴の組織だったら話は早いが違くてもそいつらを脅して情報を得る事が出来る・・・だけどこのまま酔っ払ってしまったらタダの上客だ・・・でも今揉めたら店員にすら倒されてしまうかも・・・


それではダメだ・・・奴らに出て来てもらわないと意味が・・・


「お待ちー。はいオカワリ持って来たよー」


ラナーが戻って来て先程の酒が入ったグラスを僕の目の前に置く。これを飲んだら・・・もうまともに立てないかもしれない・・・


「アハハハハ!何そんな怖い顔でお酒を見つめてるの?もしかして他のお酒が良かった?言ってくれれば作り直すよ?甘かったり辛かったり・・・他には味じゃなくて飲んだら効果抜群のお酒とかもあるよ?」


「・・・効果?」


「そそ。アソコが敏感になったりアソコが敏感になったりアソコが敏感になったり・・・」


「・・・そっか・・・色々とあるんだね・・・ん?」


「アハハハハ!嘘嘘・・・それもあるけど後は身体が熱くなったりシャキッと目が覚めたり・・・強くなったり・・・」


色々とあるんだな・・・あれ?


「・・・最後のはオススメしないかな・・・それを好んで飲んでた人が常連だったのに店に来なくなっちゃうし・・・なーんかちょっと怪しいのよねそのお酒」


「・・・そのお酒の色は?」


「色?綺麗な青・・・え?もしかして知ってるの?」


「いや・・・ちょっと興味があってね・・・」


強くなるっていうのが何を指しているのか曖昧だけどもしかしたらそれって・・・『種』?


酔って思考が定まらないけどその中で必死に考える


あの瓶の中身もチラッと見たけど青かった・・・あの瓶の中身とラナーの言う酒が同じものなら客が望めば簡単にこの店で手に入れられる。アキード王国の魔人化した船乗りがどうやって『種』を埋め込まれたか疑問だったけど例えばこの店に来てその酒を飲めば・・・


「どうしたの?怖い顔して・・・ほら飲んで飲んで!」


「いや、ごめん・・・どうやらもう酔ってしまったみたいだ・・・お会計してくれるかな?」


「ええー!?弱過ぎー・・・てかもう少し度数抑えれば良かったね・・・ごめーん。今度来た時はもっと軽いやつ出すから・・・また来てね?」


僕の太ももに両手を乗せてウルウルと潤んだ目で見上げるラナー・・・ごめんな・・・もう二度と来ないしこれから・・・


ラナーは近くにいた男の店員に向けて指でバツを作ると男は頷き裏に消えて行く


そして戻って来るとテーブル前で膝をつき持っていた紙を僕の前に出した


「お会計はコチラになります」


その紙には飲み物の名前と金額が書かれている・・・『特製ドリンク250×4・・・サービス料1000・・・合計2000』・・・2000!?


一気に酔いが覚めた・・・ドリンク代もさることながらサービス料1000って!あれか?太ももお触り代か?触られた方なのだが・・・


「お支払いを」


ごめんな・・・ラナー


「あー、ごめんごめん・・・金忘れたわ」


その言葉を聞いた瞬間に男の眉間に皺が寄る


「お客様ご冗談を・・・」


「冗談じゃない・・・そもそもサービス料1000ゴールドってなんだ?ふざけてんのか?」


ナージから問題を起こすなら無銭飲食が一番と教えられた。散々飲んで楽しんだ後で揉められてお得感があると言っていたが・・・ちょっと罪悪感


さて・・・店員の男の表情が既に敵を見るそれになっている。このまますんなり用心棒的な奴を呼んでくれればいいのだが・・・


「・・・お客様・・・後悔することになりますよ?今なければ後日でも構いません・・・ただし担保は置いて行って貰いますが・・・」


意外と辛抱強いな・・・担保はもしかしたら置いた刀か?


「断る・・・と言ったら?」


「後悔することになる・・・と言いましたが?」


「なら後悔させてみろ!」


テーブルを足で勢いよく押すと膝をついていた男の胸に当たりそのままひっくり返った


ラナーがそれを見て悲鳴をあげると店内にいた男達がゾロゾロと集まって来る。店の中が薄暗くてよく見えなかったが意外といるのね


「おい!もう後戻り出来ねえぞコラ!」


「分かったからさっさと後悔させてくれよ・・・まだ1ミリも後悔してねえぞ?」


「上等だコラ!」


男達は特にマナを使ってないようだ。これならこっちも本気を出す必要も・・・あら?


殴りかかって来たので軽く躱して一撃食らわせてやろうかと思ったが突然足に力が入らなくなり体が沈む


そのせいで躱す事が出来ずに殴られると集まっていた男達が僕を取り囲み殴る蹴るを繰り返す


ちょ、まっ・・・痛い痛い・・・一杯しか飲んでないのにそんなに酔っていたのか?普段飲まないからよく分からないが飲むと体が思うように動かないのか・・・もう飲むのはよそう


体を丸めて何とか急所を守るが僕が動かないのをいい事に男達は容赦なく蹴り続ける


「この雑魚が!」「身の程を知れ!」「ぶっ殺してやる!」


罵詈雑言を浴びせられながら蹴られ踏みつけられ棒のような物で叩かれる


ここまでやられた事があっただろうか・・・いやない


こんなマナも使えないような奴らに・・・


「皆様お騒がせして申し訳ありません。今いるお客様にはサービスでドリンクを一杯お付け致しますのでご容赦下さい。おい、コイツを裏に連れて行くぞ。これ以上は他のお客様に迷惑ダッ!?」


攻撃の手が止まったのを見計らい床に手をついて呑気に喋っていた男の顎を蹴り上げる


その勢いで立ち上がると店内全てに響き渡るように大きな声で叫んだ


「これからもっと暴れるぞ!巻き添えを喰らいたくなかったらすぐに逃げるんだな!」


「こ・・・のっやろう!!・・・ブガッ!」


ようやく体も自由に動けるようになってきた・・・向かって来た奴を軽く殴り飛ばすと首を鳴らしもう一度叫ぶ


「残っているって事はいいんだな?殴らても後から文句言うなよ──────」




「おーおーこりゃあひでえな」


薄暗い店内に横たわる男達・・・その中には客もいるかもしれないが忠告はしたし向かって来る奴だけ倒したから自業自得・・・って事にしとこう


で、そんな店に新たな来客が・・・と思ったけどどうやら待ち人が来たようだ


「兄さん・・・もしかしてテリトー派か?」


「・・・テリトー・・・派?」


「とぼけているのかマジで関係ないのか・・・まあいいこれだけ暴れたんだ・・・タダで帰れると思うなよ?」


ゾロゾロとまあ・・・ん?アイツ確か海に落とされた1人じゃ・・・となるとこの店は奴らの縄張りって事か?運がいいな・・・日頃の行いのせいかな?


「本来店の中じゃ『気』を使うのは厳禁だがそうも言ってられねえ・・・全員『気』を使う事を許可する・・・ここでコイツを逃がせばダーザン一家の面目は丸潰れだ・・・絶対に逃がすな!」


「おお!!」


『気』?それを使うとどうなるんだ?・・・てか逃げるつもりは更々ないのになぜコイツは僕が逃げる前提で話を進めているんだ?


「かかれ!」


ようやく仕掛けて来たと思ったら店員の男達と違いマナを使い襲って来た


刀に纏う者や身体強化に使う者・・・ほとんどがその2種類だがまだマナを見せてない奴もいる


「死ねぇ!」


「バカ殺すな!生かして損害を回収しない・・・と・・・」


もう店内はグチャグチャだ・・・客同士が見えないように立てられていた衝立もソファーもテーブルも散らばっている。そのお陰で僕の周りはそこそこの空間が出来ているがそれを利用して周りを取り囲み一斉に仕掛けて来た


相手は3人・・・左右と正面から向かって来る相手に僕は冷静に対処する


相手がマナを使おうがコチラは必要ないくらい弱い・・・三方向から迫る刀を躱すと一撃で意識を刈り取っていく


「このっ・・・全員で当たれ!コイツ・・・強いぞ!」


今更かよ・・・最初から全員でかかってくれば・・・まあそれでも無駄か


最近戦闘はサラに任せっきりだったからな・・・久しぶりに暴れてやる──────

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