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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
355/856

351階 お風呂に入りたい

全然忍んでいない忍者の登場で場が凍りつく


「・・・忍者・・・」


サラは心当たりがあるのか忍者と呟いた。気になって聞こうとしたがその前に忍者が再び喚き散らし始めた


「やいやいどっちにするんだい?それともこっちで決めてもいいってことかい?」


「・・・決めるも何もこの国は野盗に襲われても無抵抗でいろって法があるのか?」


「なに野盗だと?・・・何処にいるんだ?」


「目の前にいるでしょうよ・・・今貴方が吹き飛ばした4人とこの10人は歩いている僕達の前に突然現れ金と女を寄越せと言ってきた・・・それで抵抗したら成敗されるなんて・・・どうなっているんだ?この国は」


「・・・本当か?」


野盗に聞くな野盗に


「・・・チッ!コイツらまとめてやっちまえ!」


野盗も野盗で馬鹿なのか?しらばっくれればこの忍者を騙せたかもしれないしコイツら程度じゃこの忍者には到底敵わない事がなぜ分からない・・・



結局10人いた野盗達は僕達に向かって来る事無く全員あえなく忍者に吹き飛ばされてしまった。風牙龍扇の『暴風』より『竜巻』に近いその風はかなり強力で大の大人が10人まとめて吹っ飛んでいく姿は圧巻だった・・・凄いな風遁の術・・・まあ風魔法だけど


「・・・すまなかったな・・・危うく勘違いで吹き飛ばしちまうところだった」


「いや、助けてくれてありがとう。4人を撃退したはいいけど林からゾロゾロと出て来てどうしようかと思っていたんだ」


まあサラなら風牙龍扇を出す事もなく瞬殺だっただろうけど・・・


「そうか・・・ならヨシ!では俺っちは仕事があるのでこの辺で・・・サラバだ!」


そう言うと忍者は名も告げずバタバタと来た道を帰って行った・・・忍者とは一体・・・


「ねえご主人様・・・確かシークスの仲間のヤットが忍者って名乗っていたけど・・・」


シークスの仲間のヤット?・・・ああ、そう言えばそんな奴もいたような・・・


「もしかしたらこの国の出身なのかしら?」


「うん・・・そうかも。でも2人とも忍ぶ者には程遠いような・・・」


「ええ・・・今の人は実力者だけなら相当強いかも知れないけど・・・忍んではないわね」


2人して頭を傾げるが考えても仕方ないので再び街に向かって歩き出した


程なくして街、ラウンノに到着するとすぐに宿屋を探して部屋を借りる。だが・・・


「マジか・・・部屋の中まで・・・」


スカットがセシーヌを覗いていたようにやっているのか不明だが窓があるとはいえ壁に囲まれた室内でも相変わらず感じる視線・・・これはちょっと予想外だな


「このままじゃゲートも使えないわね・・・いっそうのこと捕まえる?」


「うーん・・・開けた場所ならまだしも街中だと厳しいかもね・・・かなり遠くまで探ってみたけど上手く周りの人と同化しているのか特定が難しい」


「ならずっとこのまま?これじゃあ着替えもまともに出来ないわ」


「だよね・・・風呂に入る事も出来ないし・・・」


「え?・・・お風呂に・・・入れ・・・ない?」


「いやいやいや、なぜ着替えが出来ない事よりショックを受けているんだよ!風呂なんて毎日入れなくても・・・」


「イヤよ!仕方なく入れないならまだしも誰かに見られているってだけで入れないなんて・・・どうせ見られても減るもんじゃないし見たけりゃ見ればいい!」


「早まるなぁ!サラがよくても僕が嫌だし!」


「・・・なら監視している奴らを殺すしか方法が・・・」


「我慢するって選択肢はないのか!・・・明日までに風呂に入れる方法を考えておくから今日は我慢して」


「ヤダ」


「サラ・・・じゃあメイドのサラに主人として命令する。今日はもう寝なさい!以上!」


「ううっ・・・ズルい・・・職権濫用だ・・・」


ふぅ・・・危なくラズン王国で動機が風呂に入りたいという殺人事件が起きるところだった・・・


それにしてもまさか部屋の中まで監視を続けるとは・・・どうせゲートで屋敷に戻るからと一人部屋を借りたのは失敗だったな・・・ゲートが使えないからこの部屋で朝まで過ごすしかないけど・・・


ベッドはなく部屋の中央に布団が一組敷かれているだけ・・・となると一組の布団で2人が一緒に・・・


「・・・ご主人様はお布団をお使い下さい。私は床で十分なので」


「彼女を床で寝かす訳にはいかない・・・サラが使ってよ」


「彼女?私はメイドです。それに監視の目があるのにメイドが布団でご主人様が床なのはおかしいのでは?」


さっきの仕返しのつもりか?


風呂に入れないのがよっぽど堪えたようにみえる・・・ならば・・・


僕は布団をめくりその中に滑り込むとポンポンと敷布団を叩いた


「さあおいで・・・これは命令だ」


「そ、そんなのズルい!」


「僕が床で寝るのもダメでサラも床に寝かしたくないからこうするしかないだろう?さあ早く」


「・・・エッチな事はダメだからね!それと近付くのも禁止!お風呂に入ってないんだから・・・」


とブツブツ言いながらも素直に布団に入るサラ・・・近付くの禁止と言われても1人用の布団だと密着するなと言うのが無理な訳で・・・


「あっコラ!変な所触らない!」


「大丈夫・・・布団の中までは監視されてないから」


「全然大丈夫じゃ・・・あん・・・んぐ」


思わず喘いでしまい慌てて口を手で覆い我慢する。ラズン王国の宿屋の壁が薄い事をまだ気にしているんだな・・・その仕草が可愛くて悪戯心に火がついた


背を向けるサラの背後から服の中に両手を忍ばせて胸を鷲掴み揉みながら先端の突起に向けて指を動かし軽めにつねる。すると身体をビクンと震わし抗議の視線を向けようとするがそれを躱し片方の手を下腹部へと滑らせる


その手を掴み必死に抵抗するが旨を更に弄ると掴んだ手の力が抜けその隙に僕の手は下腹部へと到達した


「ちょっロウ!いい加減に・・・あっちょっとそこは・・・~~~!!」


サラの弱い所は既に把握済み・・・後はここをちょいちょとすれば・・・ふむ・・・準備は万全のようだ


布団の中で服を脱がすのは至難の業・・・しかも着物ならともかく今はメイド服・・・となればあの技を試してみるしかない


「え?ちょっと嘘でしょ?まさかこのまま・・・んん!」


よし成功だ!


この技の名は『ズラし』


服をズラし下着までもズラしてそのまま行為に及ぶ荒業だ


サラも予想していなかったのか不意打ちを食らい為す術ない状態・・・このまま一気に──────




「ロ~ウ」


「あ、いや・・・何となく・・・ね?」


「『ね?』じゃない!・・・ったく・・・しかも中に・・・お風呂に入れないって言うのに・・・」


この状況で外に出すのは難しく・・・にしてもまた風呂って言ってるし・・・ん?


「そうだ・・・風呂に入りたい?」


「当たり前でしょ!なんなら着替えもしたいわよ!」


「なら行ってくる?」


「どうやって?監視はまだ続いているしさすがにラズン王国にまでゲートがバレたら・・・」


「うん。だからほら・・・布団の中に入ってしまえば監視の目は欺ける」


「布団の中にゲートを開くってこと?・・・そうね・・・それならバレないかも・・・」


部屋の中を覗いていると言っても窓から覗くような感じだし近寄ってはこないみたいだから布団の中は見られない。ちょっと狭いけど小さくゲートを開いてそこから出入りすれば分からないはずだ


「ほら、布団の中に潜って。準備が出来たら屋敷にゲートを開くから思う存分風呂に入って来ていいよ」


「・・・ロウは行かないの?」


「僕は・・・いいや。さすがに2人とも布団の中に潜ったら怪しむだろうし」


「・・・分かった。じゃあちょっと待ってて」


そう言うとサラは布団の中に潜り込み何故か僕のアソコを握ると・・・


「サ、サラ!?何やって・・・」


「フォフロイハイファライララヒィレイニシナキャヘショ?」


『お風呂に入らないなら綺麗にしなきゃでしょ?』・・・だからって口でそんな・・・ダ──────




なんで私はあんな事を・・・そりゃあお風呂に入れるって分かればテンションも上がるし彼がお風呂に入らないって言うから綺麗にしてあげたいなって思ったのは確かだけど・・・それでも他にやりようがあったような・・・例えば布で拭くとか・・・


布団の中からゲートでエモーンズの屋敷に戻った私は彼の自室から出て1階に向かった


まだ夜も深くないしお風呂は湧いている時間のはず・・・一応私の立場はこの屋敷の主人の恋人ってなっているから勝手にお風呂に入っても大丈夫・・・よね?


運良く誰にも会わずに来れたので脱衣所で素早くメイド服を脱いでお風呂場へ


するとどうやら先客がいたみたいで一瞬身構えるがその先客の正体は・・・


「・・・サ、サラ・・・様・・・」


湯船から出たばかりのメイド長グレア様だった


あの宿舎事件の時以来まともに喋っていない・・・久しぶりの再会がまさかお風呂場になるなんて・・・しかも互いに裸だし・・・


「『様』はやめて下さいグレア様・・・私は彼・・・ご主人様の専属メイドになったとはいえメイド長はグレア様ですから・・・」


「そちらこそ『様』はおやめ下さい。専属メイドとはただの肩書きでありご主人様の恋人であるのは周知の事実です。どうか私をグレアと呼びサラ様とお呼びする事をお許し下さい」


そう言って頭を下げたグレア様・・・グレアはある一点を見つめ寂しそうに微笑む


何を見たのだろうと視線を追うと私の太ももの内側に垂れてきていた彼の・・・


「あっこれは・・・」


「注がれたのですね・・・羨ましい・・・」


「う、羨ましいって・・・ちょっと待って下さい!」


慌てて湯船の近くに行き桶で湯をすくい身体を流す。別に汚いものではないけど見られたらちょっと・・・かなり恥ずかしいし・・・


「綺麗な肌・・・それに艶・・・ご主人様がお選びになったのも頷けます」


いつの間にか私の背後に立ち顔を近付けて呟く・・・ゾッとしたが悪意がある感じではないので反射的に蹴りが出そうになったけどグッと堪えた


「あ、あの・・・湯船に浸かっても?」


「もちろんです・・・御一緒しても宜しいでしょうか?」


「え、ええ・・・」



気まずい・・・お風呂は相変わらず気持ちいいけどグレアと並んで入る事になるなんて・・・


「ご主人様は今どちらに?」


「ラズン王国のラウンノという街です。そこの宿に・・・」


「そうですか・・・そこで・・・」


「え?・・・あ・・・まあ・・・はい」


「私も後5年・・・いや10年若ければ・・・いえ、それでもご主人様はサラ様だけを・・・」


そう言えばさっき羨ましいと言っていたけど・・・なぜそこまでロウに拘るのだろうか・・・主だから?


「・・・メイドは皆そうなのですか?」


「『そう』とは?」


「えっと・・・ご主人様に・・・その・・・」


「メイドは精を注がれて半人前・・・子を孕んで一人前と教わってきました。なので私はメイド長でありながら半人前にも満たないのです」


「そんなの!・・・そんなのあんまりです・・・そんな教えなんて・・・」


「私達メイドはそう教わりました。そしてもし何も成さずに帰れば酷い現実が待っています」


「酷い現実?」


「遙か昔・・・戦争が起きていた時代では出戻りメイドは戦場での性処理道具として・・・今現在は訓練の遠征先や城内の兵士の慰み者として・・・」


「なっ!?」


「主に捨てられた時点で使えぬ者と罵られ使い古しと扱われるのです・・・だから皆必死になりご主人様に取り入ろうとする・・・捨てられないよう必死なのです」


チル達はそこまで言ってなかった・・・でももしかしたらグレアの言っている事が本当に起きているのかもしれない・・・そんな事が実際に・・・だとしたら・・・


「・・・許せない・・・」


「『許せない』ですか・・・そう思って下さるのでしたらご主人様を説得して私達も抱いてくれるよう言ってくれませんか?」


「それは・・・」


「メイドの教えの中に『主に恋をせよ』とあります。それは心を込めて尽くす為の極意のようなものです。私達はそう教わり実際に恋をしました・・・もし私達を思い『許せない』という気持ちがあるというのであれば・・・私達にご主人様の子を孕む機会を与えて下さい」


「・・・」


「もしご主人様がそれでも拒絶するのであれば私達の魅力がなかったと思い甘んじて罰を受けましょう・・・それがとてつもなく屈辱的な事であれ・・・」


私はグレアに何も言えなかった


任せてくれなんてとても言えない・・・そもそもロウにこの事を話す事すら出来ないかも・・・もし話をして彼が彼女達を抱いてしまったら・・・でも彼女達はそれを望む・・・


グレアが先にお風呂から出た後も私はずっと頭の中でグルグルと考えてしまった・・・のぼせる寸前までずっと──────

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