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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
331/856

327階 宿舎騒動

それから細かい説明を受けて屋敷に帰宅


結局面倒な依頼を受ける事になってしまった


面倒だと思っているのに受けた理由は頼まれて断わりづらかっただけじゃなく・・・2人がゲートの事を知っていたからだ


ハッキリと知っていると明言した訳じゃないけどあれは知っている・・・知っていて僕に頼んで来た


確かにゲートがあれば一年で5ヶ国回るのは容易い・・・下手したら1ヶ月で行けてしまうかも・・・


まあバレてもいいやって思ってたから知ってても問題ない・・・問題は断った時にどう出るかだ


絶対に受けたくない依頼ならまだしもそこまで拒絶する程ではないなら受けといた方がいいと思った・・・平穏が保てるならそれで・・・


まあ悪い話ばかりじゃない・・・大手を振ってサラと出掛けられるし今後一瞬で王都に来たとしても平気になったって事になる


偽装する手間もないし馬車は今後ナージ達専用となるだろうな


「どうされましたか?」


自室で1人物思いにふけていると執事であるサーテンと目が合った


彼もゲートを知る1人・・・そして国から派遣されて来た執事・・・


「・・・国にゲートがバレた」


「それはおめでとうございます」


「おめでとう?」


「国が知ると言う事は気兼ねなくお使いになれるのでは?」


「まあそうだけど・・・今後厄介な仕事を押し付けられそうでな」


「他の貴族様はどうにかして国から仕事をもらおうと必死と思いますが・・・」


「そうなのか?」


「侯爵という肩書きは何もせずとも安泰というわけではありません。各領地を任され成果が出なければ下に有能な貴族様が居られれば取って代わる事も・・・ただ成果と言ってもこの平和な世の中で挙げることは難しく国からの依頼など滅多にないので・・・」


「みんな今の地位にしがみつきたいから必死なのか・・・私は別に地位に拘ってないから気にしてないだけで」


「そうだと思います」


そんなにいいもんかね・・・僕にとってはしがらみだらけでもう辞めたいくらいだけど・・・ただせっかくエモーンズと2つの村を預かったんだ・・・この領地だけは他の人に関わって欲しくないとは思う


「それでどのような仕事を任されたのですか?」


「各国を周り状況確認とお話を少々・・・それと勇者を探せって感じかな」


「それはまた・・・いつから御出発されるのですか?」


「気が向いたら・・・かな?」


出来れば一年という期間をフルに使ってしまいたい・・・その間に出来る限りの準備をしないと・・・


会議室に残されて色々と説明を受けた後、僕は気になっていた事を聞いてみた


聖者聖女を撤退させる・・・その意味を


返って来た答えは『魔物の氾濫によりどこに居ても危険が伴う状況になった今、自国の民の安全を確保するのは当然の事』だった・・・建前上はそうなのかもしれない


けど僕は知っている・・・国は彼らの事を『毒』と呼んでいた・・・薬ではなく毒と・・・


フーリシア王国は魔王がもう出現しないのを知っている・・・それは他の国よりかなりのアドバンテージとなるだろう


全てが整った時・・・フーリシア王国はどう出るのだろうか


その時僕はどうすればいいのだろうか


今はまだ何も決めていない・・・とりあえず・・・サラに会いたいな──────





「これはどういう事ですか?」


しまった・・・夢中になり過ぎて気付かなかった・・・


宿舎の地下でいつものように汗を流しているとメイド長のグレア様を筆頭にメイド達がズラズラと地下に降りて来た


地下を掃除していました・・・と言うには苦しく過ぎる格好・・・これは非常にマズイ


「この宿舎を屋敷に例えると寝泊まりされているのはお客様・・・もしくは主人となります。その方々に掃除をさせておいて自らはサボるとは・・・メイド見習いとは思えない行為ですね」


「・・・」


「残念ながらメイド長という肩書きと言えど人事権は持っておりません。このような行為に対してクビを宣告出来ないのは非常に残念ですが代わりに罰を与えるとしましょう。これを着てこれからは仕事をしなさい」


そう言うとグレア様は一着の服を床に落とした


私はそれを拾い上げて見てみると・・・布面積の非常に少ないメイド服だった


「え?いやこれだと見えて・・・」


「だから?」


「っ!・・・」


背筋が凍るほど冷たい視線・・・まるで虫けらでも見るような・・・そんな視線をグレア様は私に浴びせる


「この宿舎にも人が増えて来ました。この服を着て掃除をすればこの宿舎の皆様は好奇な目で貴女を見るでしょう・・・それを持って貴女の罰とします」


どんな罰よ・・・って本当にこれ着るの?スカートはほぼ丈が無いし胸もかなり際どい・・・ほぼ裸じゃない!?


「嫌なら別に構いませんよ?辞めて頂いても結構です。辞めさせる事は出来ませんが辞める人を止めろとも言われてませんので」


そういう事・・・グレア様達は私を辞めさせたい・・・けど辞めさせる事は出来ないから自ら辞めるように仕向けると・・・


「・・・分かりました・・・着ます」


私が着る宣言すると驚きの表情を見せるグレア様・・・どうやら着れないで辞めると踏んでいたらしい


「っ!・・・で、では早速着替えなさい!今からその服を着て仕事をしてもらいます」


望むところよ・・・別に下着を見られたって気にならないし・・・でもみんなの前で着替えるの?・・・そっちの方が恥ずかしいような・・・


「・・・なんですかそれは・・・」


仮面に流すマナを止め、仮面を外すと普段のメイド姿に大変身・・・まあ初めて見る人は驚くわよね普通


「・・・服装を一時的に変える魔道具です・・・」


本当は顔とか性別も変えれるのだけど今は訓練の為に一時的に服装を動きやすいものに変えてただけ・・・全て答える必要はないよね?


「・・・そのような道具を使って私達を謀っていたのですね・・・忌々しい」


別に謀っていた訳では・・・あるのかな?


しかし女性だけとはいえ人前で着替えるのは恥ずかしい・・・しかも全員私の事をじっと見ているし・・・


「何をしているのです?」


メイド服を脱ぎ渡された際どいメイド服を手に取るとグレア様は私に問い掛ける・・・いや、貴女が着ろと言ったのでは?


「私はその服を着てと言ったのですよ?」


「ええ・・・ですから今から着ようと・・・」


「なぜ下着を着けたままで?」


「・・・え?」


「私は下着を着けたまま着ていいとは一言も言ってませんが?」


下着を脱げとも言ってませんよね!?


てか下着を着けずにこの際どい服を!?・・・いやいや出ちゃう出ちゃう・・・色んなものが出ちゃうから!


「嫌でしたら辞めてもらっても一向に構いません。さあどうしますか?このまま立ち去るか下着を脱ぎその服を着るか・・・」


こんの・・・グレア様の後ろでニヤニヤした顔で見ている奴らもムカつくけどグレア様・・・なんでここまで私を追い詰める?


これまで主犯だったマウロが王都に行き仕事場も宿舎ということで何も無く平穏な日々だったのに・・・


マウロが戻って来る前に私を追い出したいと思っているのかそれとも・・・実はマウロをけしかけていたのは・・・


「さあどうします?早く決めなさい・・・サラさん」


首謀者はコイツか・・・グレア・メンナス──────





「おおぉ!」


「もっと屈まないと床は拭けませんよ?サラさん」


男共が歓声を挙げる


グレアは腰に手を当て私を見下ろしながらニヤリと笑う


宿舎の広間には人集りが出来ていた・・・ここ数日でロウの私兵となるべく志願して来た者達だ


これから領地全ての警備はロウの私兵が行う事になる・・・なので一旦ムルタナとケセナにいる兵士達をエモーンズに呼び寄せ、代わりにエモーンズにいたファーネ達が2つの村を警備している


名目は教育のし直しと編成だとか言ってたな・・・なのでこの宿舎には多くの兵士達が存在していた


「サラさん?聞こえないのですか?床に膝をつきしっかり腰を入れて拭かないと・・・いけませんよ!」


ちょっと!


グレアは強引に私を床に膝をつかせる


何とか手でスカートを掴んで無理矢理隠してるけど・・・このままだと本当に見え・・・


「ああ、そうそう・・・これは独り言なのですが・・・彼女はメイド見習い・・・正式なメイドにはなっていません。つまり辺境伯様の物ではまだない・・・」


まさかそこまでする?・・・兵士達を煽って・・・私を・・・


私がここの兵士達に負ける事はないだろう・・・けどやらせようとしている事が問題だ


それに気絶させようにも・・・その・・・見られてしまうし・・・


「・・・それは本当ですか?」


その時1人の男が今のグレアの話を聞いて前に出る


本当だったらどうするつもりだ?まさか本気で襲うつもりか?


「ええ・・・ですから何をしてもお咎めはないかと・・・興味おありですか?」


「とても」


何が『とても』だ・・・決めた・・・この男を皮切りに襲って来た全員の息の根を・・・


「そうですか・・・ですが私達がこの場から去ってからでお願いします」


「・・・なるほど。よく分かりました。まさかメイド長がメイド見習いを兵士にあてがうとは・・・」


「あてがうだなんて・・・私はただ『ご主人様の物では無い』と申し上げただけです」


「ふむ・・・だがメイド見習いでもメイドでも主人の物では無いと思うが・・・」


「?・・・おかしな事を仰いますね。メイドはご主人様の物です。ですのでこのメイド見習いを見て興奮し何をしても構いませんが私達に指一本でも触れたら・・・キャッ!」


え?・・・さっきからグレアと話している男が・・・グレアを叩いた!?


「な、何をするのです!!」


「ん?メイド長は違うのか?」


「何がですか!!」


「メイドは私の物なのだろう?メイド長になると私の物ではなくなるのか?と聞いている」


「一体何を・・・」


ああ・・・またそうやって・・・


「『ゲート』」


彼はそう言うとゲートを開き奥から何かを取り出すと私に掛けてくれた


これはローグの時につけていた・・・マント・・・


「なかなか面白い催しだったから少し見させてもらったが流石にこれ以上は見るに堪えない。それにしてもメイド長がこんな事をしているとは・・・残念だ」


「残念ですって?あなた一体何様のつもりで・・・」


「まだ分からないのか?察しが悪いを通り越して間抜けだぞ?グレア・メンナス」


「だから何を・・・・・・・・・そんな・・・嘘・・・」


仮面を外してその姿を見せるとようやく理解したグレアは震えながら後退る


そのタイミングで私がマントで体を隠しながら立ち上がると彼は私を強引に引き寄せた


「全員聞け!私の名はロウニール・ローグ・ハーベス!お前達の主人だ!だからと言ってお前達を物などと思っていない・・・共にこの領地を良くして行く仲間だと思っている!ただしこのサラ・セームンに関しては別だ!彼女は私のモノ・・・今日見た事は全て忘れろ・・・でなければ食卓にお前達の目をくり抜き並べて食わしてやる!」


声に魔力を乗せているのか単なる脅しじゃなくなってる


ふと見るとマッド達の姿が見えたけど可哀想なくらい震えていた


「・・・さてメイド長・・・詳しい話は屋敷で聞くとしようか・・・知らなかったとはいえ私のモノを他の男に襲わせようとしたのだ・・・それ相応の覚悟を持って話せ」


以前は誰かの物とかそう言う話を周りから聞いてもくだらないとか思ってたけど・・・実際に言われてみると嬉しいものだな


それにしても彼はなんで変装して宿舎に?


・・・まっいっか・・・こうして来てくれただけで私は──────

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