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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
328/856

324階 決着

「・・・だ、誰ですの?・・・」


ヘタレ混むカレンは僕を見てそう呟く


まあこの顔では初対面だからね・・・まさかバフコーンに仮面を割られるとは思わなかったよ・・・こんな事なら予備を持っておくべきだった


それにしても・・・


「ん、んん!・・・えっととりあえず前を隠してから話そうか」


とりあえず色々間に合ったのだろうけど・・・その格好で大股開きの状態だとまともに見る事が出来ない・・・


「へ?・・・っ!!!」


やっと気付いたか・・・てかまさかバフコーンが魔法耐性持ちとは・・・やはり事前にダンコかサキに聞いておくべきだったな


ゲートを開いて覗いた時に見たのはアンガーの魔法とカレンの爆発を弾くバフコーンの姿だった


魔物には斬撃耐性や打撃耐性など耐性持ちは数多くいるが中でもこのパーティーにとって相性が良くないのが魔法耐性だった


カレンの爆発もアンガーの魔法も通じにくい・・・そうなると攻撃の手段は無いに等しくなるからだ


ヤバいと思いつい見入っていると怒り狂ったバフコーンが僕にメイスを振り下ろし寸でで気付いてギリギリ躱したけど仮面に当たりおしゃかに・・・という訳で変身が解けてしまったという訳だ


変身している時は仮面が見えなくなるからどうなっているのか知らなかったけど見えなくなるだけで顔に付いているんだな・・・初めて知った


とまあ、そんな訳で仮面を壊された怒りをバフコーン二体に向けて倒した後は今度こそゆっくりと隣の状況を観戦する事にした


相性悪く劣勢になるだろうけど3人はまだ諦めた訳ではない


ここで僕が加勢して倒したところで彼女達は果たして納得出来るか疑問だったからだ


それに魔物の肩を持つ訳じゃないけど魔物だって必死に戦っているし、カレン達も同じく命懸けで戦っている・・・この作戦を立てた段階で一体はカレン達に任せようと思ってたんだ・・・たとえどちらが勝とうが見守るのが筋なのでは?・・・という考えに至った


という事で観戦していると劣勢を覆そうもなく倒れていく


加勢するかどうか最後まで悩んだけど・・・流石にバフコーンのやろうとしている事は許せず出て来てしまった


「え、えっと・・・どなたですの?それにバフコーンは・・・あっ!壁の向こうのロウハーは?残りのバフコーンは!?」


「質問多いな・・・僕がロウハーで壁の向こうのバフコーンは片付けた・・・で、目の前のバフコーンは停止中・・・って事でいいかな?」


「あなたがロウハー??で、でも見た目が・・・」


「格好良くなった?」


「いえ」


んの野郎・・・


「あ、いえ、その・・・あまりにも違いますので・・・」


それもそうか・・・適当にオッサン顔をイメージしていたからな・・・


「実は変身道具の仮面を被っていたんだけどバフコーンに壊されてね・・・まあカレン達も話せない事情があるように僕にもそれなりにあったって事で・・・それよりどうする?このまま続けるか終わりにするか・・・」


「え?」


「一流冒険者になりたいんだろ?自分達の手で倒したいなら僕はこれまで通りヒーラーに徹するし手は出さないでおくよ・・・まあこのままってのもあれだから2人を回復した後にだけど・・・」


「い、いえ!もう結構ですので!」


「じゃあ僕がやっても?」


「は、はい!」


「・・・分かった。動き出すからそこどいて・・・危ないよ?」


「はいぃ!」


這う這うの体でバフコーンの股下から抜け出すと身体を隠しながら遠ざかる


後ろ姿は服を着ている感じだけど・・・うーん、見なかった事にしよう


「さてと・・・{動け}」


動けるようになった途端に怒り狂ったバフコーンが鼻息荒くこちらに振り返る


邪魔された事がそんなに嫌だったのか・・・けど・・・


「ダンジョンは常に平等・・・お前が純粋に生きるか死ぬかの勝負してたらお前の勝ちだったかもな・・・けどあの行為はダメだ・・・やりたいなら惚れさせろ・・・まっ馬面じゃ無理か」


「ンモォー!!」


「だから牛かって!」


両手で僕を掴もうと襲いかかって来る


すれ違うように通り過ぎながら改めてバフコーンについて考えてみる


魔法耐性は確かに良いと思うけどメイスがなければ素手で戦うしか攻撃手段持ってなさそうだし誰が決めてるのか知らないけど・・・


「上級じゃないよな・・・どう考えても・・・せめて中級上位くらいだろ」


「ンモォー!!・・・モ?」


「それと鳴き声は『ヒヒン』だろ?同じ上級でもドラゴニュートは人間の言葉を話すのに・・・やっぱりお前は中級だな」


すれ違いざまに斬り付けられた事に気付いてなかったバフコーンは振り向き自分の身体がズレたのを見てようやく気付く


傷口を押えて必死に耐えようとしたけど傷口は徐々に広がり血を吹き出しやがて上半身が滑り落ち事切れる


「???・・・どういう事ですの!?・・・あ、ちょっと・・・どこへ?」


「どこへって・・・治さなくて良いのか?」


僕が振り返り倒れている2人を指差すとカレンは思い出したかのように目を見開き何度も頷く


ん?治さなくて良いって事・・・じゃなくて治してくれって事だよな?


不安になりながらも気絶しているダハットとアンガーにヒールを掛ける・・・さて、この後どうなる事やら・・・




「かたじけない!このダハット一生の不覚!」


床に頭を打ち付けて感謝するダハット・・・激しいな


「結局全てロウハーさんが倒してしまいましたか・・・一体でも私達で倒せていればまだ体裁も保てそうでしたが・・・完敗ですね」


まあそうなるわな


一体も倒せないとなれば完全に実力不足・・・作戦どうこうではどうにもならないレベルって事だ


もしこのパーティーに1人加えて再度挑む機会があったとしても相当実力を上げないと難しいだろう


「あ、相性が悪かっただけですわ!わたくしの攻撃やアンガーの魔法が効く相手でしたら・・・」


「みっともない言い訳するな」「よくそのような戯言を・・・やはりあの馬に一度犯された方がよろしかったのでは?」


「うぐっ・・・それよりもみなさんは気になりませんの?ロウハーのお顔が全くの別人になっていますのよ!?」


「そんな事もある」「恩人の顔に良いも悪いも別人もありません」


んなわけあるか!


とまあ、詮索しないでくれるのは助かるがカレンは納得していないご様子・・・聞きたくてウズウズしているけど他の2人が聞かないから聞けないって感じだな


「まあアレもロウハーコレもロウハーって事でいいじゃないか・・・僕も3人の事を聞くつもりはないしね。ところでどうする?」


「うぅ・・・どうするとは?」


「引き返すか進むか・・・僕は3人の本当の目的は知らないからね・・・とりあえずここを突破出来ればいいって考えているなら進めばいいし突破出来る実力をつけたいって言うなら戻ればいい・・・まあ戻る場合は21階まで戻らないといけなくなるけど・・・」


カレンはこの部屋に入った時に隅に置いておいたリュックの中に替えの服があったから服装は大丈夫として21階まで上がるとなると精神的にキツいだろうな・・・けどここで31階に降りてしまえば一生ここの30階のボスには挑まない気がする・・・


「そんなの決まってますわ!・・・下へ!!」


「・・・分かった。それじゃあ魔核を回収して戻ろう・・・あ、それと先に戻っていてくれ。このままじゃ不法侵入者と思われてしまうからね」


仮面のストックがないからこのままだと変身出来ない・・・サキに言って直してもらうか・・・それとも作り直した方が早いか?


「え、ええ・・・では先に・・・ってどうやって元の姿に戻りますの?」


「それも秘密」


「むっ・・・分かりましたわ!行きますよ2人共!」


「魔核は?」


「・・・拾って行けばいいのでしょう!・・・フン!」


なぜ怒る・・・



とりあえず3人がバフコーンの魔核を取り出し奥にある階段から下に降りるのを見届けてしばらく経った後、僕もゆっくりと後を追った


そして階段途中で適当な印を刻むとゲートを開きエモーンズのダンジョン司令室へ


「・・・ん?にゃんにゃ?珍しいにゃ」


「その猫語は聞く度に酷くなっているな・・・心も猫か」


「この姿の時は自然となるにゃ・・・で、何の用にゃ?」


「仮面が壊れたから直して欲しい・・・ダメなら作り直してくれ」


「壊れた?」


「うん、ほら」


司令室で寝転がる猫姿のサキに壊された仮面を見せると飛び上がって口にくわえ床に置いてまじまじと見つめる


「・・・魔獣とでも戦ったにゃん?」


「なんで?」


「この仮面は変身用に作ったはずにゃん。つまり壊されたのは変身していた時って事になるにゃん・・・マナの攻撃なら仮面が破壊されるはずがないにゃん」


「そうなの?」


「そうにゃん。変身すれば仮面が見えなくなるのはマナで仮面自体も含めて変身してるからにゃん。だから魔物や人間に攻撃されてもダメージは受けるけど仮面が壊される事はないにゃん。けど魔力で攻撃されると変身自体が破壊されてしまうにゃん・・・マナと魔力は反発するからぶつかり合った時に変身用に使ったマナと攻撃用に使用した魔力じゃ後者の方が強いから負けてしまうにゃん」


「へえ・・・でも魔物だったけど」


「にゃん!?」


「まあ多分・・・亜種だけどね」


「亜種・・・ああ、魔物に魔力を注入した紛い物にゃん」


「紛い物・・・」


「中途半端に魔力が使えるだけの紛い物にゃんあんなの。小賢しいサキュバスが考えそうな事にゃん」


「なんか凄い偏見のような・・・ちなみに魔物はバフコーンって馬面の魔物だった」


「にゃ!?最悪にゃ!バフコーンにゃんて女を性欲処理の道具としか思ってないクズ魔物にゃ!亜種だけならまだしもバフコーンまで使うにゃんて・・・そのダンジョンにまた行く機会があったら言って欲しいにゃ!『亜種とかバフコーンとか使ってんじゃねえよ腐れ〇〇〇』って!」


「その仮面が直ったら行くから言っとくよ」


「じゃあさっさと行くにゃ」


「へ?もう直したの?」


「当たり前にゃ!私を誰だと思っているにゃ!どこかの腐れ〇〇〇と一緒にしないで欲しいにゃ!」


「分かった分かった・・・じゃあ行ってくる」


「必ず言うにゃん!この怒りをせめてその言葉に乗せてぶつけるにゃん!」


「はいはい」


サキから直った仮面を受け取ると被って再びロウハーに変身しアジートのダンジョンへ


先程刻んだ印の場所に戻って来た僕はゲート近くまで降りるとどこを見て言ったらいいか分からずとりあえず天井を見上げてサキからの伝言を伝える


「えっと・・・亜種とかバフコーンとか使ってんじゃねえよ腐れ〇〇〇・・・らしいぞ?」


一応伝える事は伝えたのでゲートを潜り1階のゲート部屋へ


そこにはカレン達の姿はなく既に街へと戻っているであろうと僕もダンジョンを出て街へと向かった──────






・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・


・・・いと・・・かた・・・アナ・・・めに──────

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