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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
二部
309/856

305階 四面楚歌

熱いお湯が身体の芯まで温める


汗の臭いを消し去り肌についた汚れが洗い流される


控え目に言って極上・・・やはりお風呂は人類が考え出した中で最も偉大な発明だな


「あの・・・サラさん?本当によろしいのですか?」


マーノが私に近付き恐る恐る尋ねる


「よろしいって・・・何がだ?」


「いえ・・・その・・・私のようなメイドがせ、聖女様と同じお風呂に入るなど・・・」


そう・・・冒険を終えて馬車に戻った私達はお風呂に入る為にここ王都にあるロウの屋敷を訪れた


本当は食事の後に・・・と予定していたのだがセシーヌ様たっての希望で食事前にお風呂に入る事に・・・そう言えば汗だくのセシーヌ様とエミリを見た時のゲッセンの反応はは見物だったな・・・2人を見て何を想像したのだか・・・


そういう訳でお風呂に行きたい者をひとつの天幕に集めてゲートで屋敷へ


それらしい別れをしたばかりのマーノとクリナが驚く中でセシーヌ様の提案でメイドのみんなを含めた全員でお風呂に入る事になった


初めは緊張していたみんなだが・・・


「ちょっとヒース!いつもとお湯が違う!なんか神々しいような・・・多分聖女様のエキスが・・・」


「いつもと同じよチル」


緊張も解けてか普段通りだ・・・て言うかエキスってなんだエキスって


「やはりお風呂は良いですね。それとこんなに大勢の方と入るのは初めてです・・・いつもは侍女達もお風呂場にはいるのですが湯船には私1人しか入らないので・・・」


「私も何人かで入った事はありますがここまでの人数は初めてです」


近寄って来たセシーヌ様に返事を返すとお風呂場を見渡した


私、セシーヌ様、エミリ、そしてメイドの4人にファーネ、ハーニア、エリンまで・・・総勢11人がひしめくお風呂場はなかなか壮観だな


「皆様とは王都から出発する際に一度お会いしてますね?」


「は、はい!聖女様!お、お見苦しい格好で申し訳ありません!」


「お見苦しいなんてそんな・・・私と同じく裸ではありませんか」


「せ、聖女様と同じなんて・・・」


「同じです・・・それにあまり特別扱いされるのは好きではないので気軽にお話して頂ければ・・・確かマーノと言いましたね?」


「は、はい!」


「ではマーノ・・・公式の場ではさすがに難しいと思いますがこの場では私の事をセシーヌとお呼びください」


「そ、そんな・・・恐れ多い・・・」


「え!?それって私もいいんですか?」


「もちろんですチル」


「じゃあ親しみを込めてセシちゃんと・・・ゲグッ!」


「チル・・・距離感を間違えないように・・・私達はロウニール辺境伯様のメイド・・・私達の愚行はご主人様の恥に繋がりますよ」


「・・・分かってるよ・・・だからって頭にチョップはないでしょチョップは!」


チルはすぐに調子に乗る・・・それを止めるのはいつもヒースだ。なんだかんだ言っていいコンビだな2人は


「ふふっ、セシちゃんでもセシーヌでもお好きなように・・・皆様が羨ましいです・・・いつもロウニール様のお傍に居られて・・・」


「え?ご主人様の?」


「ええ」


「そんな事ないですよ?ご主人様の本拠地は遠く離れたエモーンズという街ですし最近は王都にいらっしゃいましたけどなかなか来て下さらなくて・・・」


「なかなか会えないのは私も同じです。ですが皆様はロウニール様のメイド・・・このお屋敷もロウニール様の・・・つまりロウニール様が帰られる場所に皆様は居られるのです・・・私など気まぐれに立ち寄ってもらえる日をただ待つだけ・・・」


「聖女様・・・いえセシちゃんはそこまでご主人様を・・・」


「ええ、お慕い申しております」


なんだか話の流れが良くない方向に・・・


「・・・そうだったのですね・・・聖女様まで・・・」


「ご主人様の爵位は辺境伯・・・確かに聖女であるセシちゃんとも釣り合いが取れている・・・」


「でもほら・・・ご主人様は・・・」


ヒースがそう言いかけた瞬間に全員の視線が私に集まる


「・・・なんだ?」


「ハア・・・そりゃあ確かに男性は好きですもんね・・・」


どこを見て言っているんだチルは


「やはり・・・私とサラ様の差はそこでしょうか・・・」


雲行きが限りなく怪しい・・・全員の視線が一点に集まる・・・このままでは・・・


「でも私もそれなりですよ?聖女様」


「いや、ほらファーネさんはなんか違うと言うか・・・まあエロいはエロいけど・・・」


「うん・・・サラさんとは違うよね。なんと言うか透明感がないと言うか・・・」


「ちょっとハーニアにエリン!私のどこが穢らわしいと!?」


ファーネ・・・2人はそこまで言ってない・・・


「ねえでもちょっと待って・・・ご主人様は辺境伯・・・普通爵位が上がるほど世継ぎの数も増やすべきなんじゃなかったっけ?」


「チルの言う通りね。一部の貴族様を除いて貴族様は世襲制・・・もし子が途切れれば家督を継ぐ方がいなくなり断絶も・・・それを防ぐ為に正妻の他に第二第三夫人に妾まで居るのが普通・・・」


「そうよね・・・さすがに第二第三夫人は無理としても妾となるのはご主人様の為・・・今までお情けを頂こうとしていたけどそうではなくご主人様への忠義・・・」


チルの訳の分からない気付きから話が変な方向に・・・


「そ、それでしたら私も・・・ご主人様と・・・」


「ええ・・・可能性はあるわ」


チル!ないから・・・可能性なんてないから!


「私もこの際妾でも・・・」


「いやいやさすがに聖女であるセシちゃんが妾って事はないかと・・・まあ正妻は・・・」


また私に視線が・・・なぜこうなる!?


「第二もしくは第三夫人・・・でもやはりお胸で・・・」


またその話しに戻るし!


「何言っているのですかセシちゃん!超がつくほどの美少女にその透き通った肌!胸の大きさは・・・まあ人それぞれの好みは違えど色!艶!形!どれをとっても完璧なセシちゃんの胸を嫌いな人なんていないと思います!」


「・・・チル・・・」


「もしかしたらご主人様は見た事ないのでは?その素晴らしい裸体を!私達だってセシちゃんには敵わないまでもまでもそこそこは・・・」


「見た事・・・そうですね・・・もし見てもらえればアレよりも好きになってもらえるかも・・・」


人の胸をアレ言うな


「是非そうしましょう!今からでもご主人様に入って来てもらって・・・」


「ちょちょちょチル!?ハーニアはともかく私は彼氏が・・・」


「ちょっと!私はともかくって何よ!さすがに辺境伯になったとは言えあのロウニールよ?裸を見られるのもイヤだし妾とかそういうのも興味ないって!」


「だったら2人は出れば?どうせ2人の裸なんて見たってロウニール様はピクリとも反応しないわよ」


「なっ!?ファーネさん・・・それは聞き捨てならないわ・・・私だってマグに褒められたりするんだからね!」


「わ、私だって!・・・ロウニールくらい簡単に落とせるわよ・・・」


「じゃあ決まりね。これからロウニール様を呼んで誰が一番良い身体か選んでもらおう」


「ちょっと待てファーネ!何を勝手に・・・」


「あらなーに?もしかして自信がないのかしら?」


「・・・煽っても無駄だ。それにみんながみんな望んでいると思わない事だ。この中には見られる事を望まない人もいる・・・そうでしょう?エミリ殿」


先程から発言していないのはクリナとエミリの2人・・・クリナはまあ・・・多分望んでいる方になると思うがエミリは・・・


「・・・私も別に・・・やぶさかではないですけど・・・」


エミリィ!貴様もか!


「くっ・・・メイドとして・・・か、彼女として・・・彼は私が守る!」


「だからロウニール様にとってもプラスになるんだって・・・みんなでいっぱい子供を産みましょうよ・・・私もロウニール様のテクを味わってみたいし」


「やはり本音はそこか・・・行かせぬぞ!ファーネ!」


「サラ・・・貴女ごときが私に勝てるとでも?貴女に教えてない技はいくつもある・・・その中でも絶技を超える『超絶技』・・・はたしてそれを味わって立っていられるかしらね」


ファーネは本気だ・・・10対1・・・それでも私は彼を守る!


「かかって来い・・・Sランク冒険者の実力を見せてやろう──────」




「・・・平和だな」


「そうですね」


「・・・風呂長くない?」


「そうですね」


「お腹空いたんだけど・・・」


「それでは少し様子を見に行かれては?ご主人様なら文句は言われないと思いますが・・・」


「僕を殺す気か?そりゃあまあメイド達は怒らないかも知れないけどファーネやエミリ・・・ハーニアとエリンには確実に殺される・・・」


「そうでしょうか?ご主人様であれば平気かと」


「平気なものか・・・ハア・・・腹減った・・・」


やはり汗臭くても夕飯を食べてから風呂にしようと言えば良かった・・・僕だってそれなりに汗臭いから早く風呂に入りたいけど我慢しているのに・・・


「おや?音が鳴り止みましたね」


「音?何も聞こえなかったけど・・・風呂でワイワイ騒いでいる音が消えたのか?」


「はい」


「どんな音だ?まさかのぼせて誰か倒れた音とかじゃないよな?」


「そうですね・・・音と言うよりは声・・・でしょうか」


「へえ・・・話し声?」


「いえ・・・口に出すのは憚られる声・・・とだけ申し上げておきます」


「どんな声だよ・・・にしてもよく聞こえるな・・・全く聞こえなかったぞ?」


「執事ですから」


「なんだそれ・・・執事なら何でも出来るって事か?」


「ご主人様がお望みでしたら」


「じゃあサーテンがみんなを呼んできてくれよ。ご主人様がお腹を空かして待ってるぞって」


「構いませんが有能な執事を1人失う事になりますよ?」


「・・・やっぱり殺されるんじゃないか・・・よくもそんな場に僕を行かせようとしたな?」


「ですからご主人様でしたら平気かと」


サーテンのこの妙な自信はなんなんだ?


ハア・・・口に出すのも憚られる声も気になるし腹も減るし・・・風呂場にゲートを繋いで声だけ届けるか?・・・でも見てないって言っても信じてもらえるかどうか・・・


風呂場だし全員裸・・・だよな?・・・見たら絶対殺される・・・・・・仕方ない・・・出るまで辛抱強く待つか・・・



風呂場で何が起きているかこの時は知る由もなかった・・・まさかあんな事が行われていたなんて・・・


恐るべし女子風呂──────

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