表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
一部
26/856

23階 スラミの成長

「実は私・・・施設暮らしで結婚がどういうものか分かってないんだ・・・その・・・男女の関係も・・・」


「え?」


私の発言で衝撃を受けたケン達は料理が運ばれて来てようやく落ち着いた。そして食べている時になぜ求婚などと言ったか話そうと思い口を開く


「私の両親も冒険者だったらしくてな・・・家に幼い私を残しダンジョンに行き・・・帰らぬ人となった。両親を待っていた私を迎えに来たのは街のギルド職員・・・どうやら両親は自分が戻らなかった時に私を施設に預けてくれとお願いしていたらしい。施設は孤児に食事と寝る所を提供するだけの場所・・・学校に通うまでただ食事をし寝るだけの日々を過ごした。それから学校に通い冒険者を目指してがむしゃらに鍛えて・・・晴れて冒険者になったという訳だ・・・その間にその・・・恋愛経験などもなくてな・・・興味もなかったし・・・」


「・・・じゃあなぜ求婚なんて・・・」


「前にパーティーを組んだ時に教わったんだ。『女は結婚したら男に尽くすべきだ』と・・・その場ではそういうものかと納得して・・・どうやら違うのだな・・・」


「全然違うわよ!ある意味男が女に尽くすべき!」


「マホ・・・それもどうかと・・・」


マホの結婚観も違うみたいだが・・・私の聞いたのもどうやらデタラメらしい・・・ガゾス達にしてやられた・・・


ウブな私をからかって言っていたのだな。そう言えばその話の時は全員笑ってたような・・・


「とにかく好きでもない相手に求婚なんて・・・ましてや性奴隷になるなんて絶対に言ったらダメ!男なんてそれを聞いて何するか・・・」


そう言ってマホはケンとスカットを見た


2人はマホからの視線を居心地悪そうに外すからマホの言ってる事はあながち間違いではないのだろう。しかし男とはそういうものなのか・・・確かにラウル達は私を・・・


「でも・・・サラさんはあのローグという人になぜそこまで尽くそうと?確かに命を助けられたのは事実かも知れませんけど求婚なんて一生をかけて尽くすというのはやり過ぎのような・・・」


「そうよね・・・ローグが助けに来なかったらサラさんは死んでたかもしれない・・・けどちょっと行き過ぎよね・・・」


うっ・・・ヒーラとマホにまるで尋問されているみたいに問い詰められる


言えるわけない・・・チラッと後ろ姿を見ただけなのに・・・惚れてしまったなんて


いや、惚れてしまったかどうか分からない・・・全く知らないけどローグ様の事を考えると胸がドキドキする・・・一時的なものかも知れないが・・・この気持ちを確かめたい・・・会って話してみたい・・・ローグ様・・・


「サラさん?聞いてる?」


「ん、あ、ああ・・・まあなんだ・・・少し混乱してたようだ・・・とりあえず会えたらお礼だけでもしないとな・・・あと正体も気になるし・・・」


「あーそれは気になるかも!ギルドであんな人見た事ないし・・・まさか不法入場者?」


「それはなくないか?入口にはギルド職員か兵士が立ってるし・・・」


「分からないわよ?入口がひとつとは限らないでしょ?それに彼って6階に居たのよね?ソロっぽい感じだし仮面だし・・・とにかく謎だらけよね・・・ちょっと私も興味湧いたかも」


え?


「正体不明のソロ冒険者・・・か。いいね、俺も気になる」


ええ?


「未だ消息不明のサラさんの元パーティーの人達も気になりますが・・・確かに興味深いですね」


えええ?


「・・・性奴隷、か・・・」


・・・


全員?ローグ様に興味を持ってしまったようだ・・・なんか複雑な気持ち・・・


食事を終えるとギルドに行き、私の分の入場料を払うといざダンジョンへ


ラウル達に会うかもしれないという緊張感とローグ様に会えるかもしれないという期待感で複雑になりながらケン達が通れるゲート・・・3階のゲートへと向かった




「ん?」


《どうしたの?》


司令室でダンジョンの中を覗いているとサラさん達を見つけた


サラさんを見るとどうしてもあのワードが頭をよぎる



性奴隷



なんて卑猥な響きだ・・・いや、決して望んでる訳じゃないが・・・


「べ、別に・・・それよりマナ結構溜まったからそろそろ7階を作っても良さそうじゃない?」


《・・・そうね。訓練してる魔物を配置すればいいし十分足りそう・・・なんなら8階も作れるわよ?》


「おお・・・ダンジョンってこんなペースで増えてくの?」


《まさか・・・オープンから日が浅いから珍しがって来る人間の数と何より大きいのは魔物の訓練ね。他のダンジョンコアは魔物を鍛えようとは考えないもの》


コストが低い魔物を鍛えて配置する・・・その効果はかなり大きいみたいだ。確かに下の階層になれば魔物を強くする必要があるのを抑えられるのは大きいよな


「じゃあ早速・・・」


《待った待った!出来れば人の少ない夜に増やした方がいいわ。ただ増やすだけじゃなくて魔物も配置して実際に増やした階に行ってちゃんと出来てるかチェックも必要でしょ?昼間は冒険者が多いから仮面を外してチェックするのはリスクが高いのよ》


「仮面を付けたまま・・・は、ダメか。魔物を配置した後だと魔物に襲われるし・・・」


《そういう事。まあそれまでの階と繋げないでとりあえず作ってチェックが終わってから繋げてもいいけど、ダンジョン変動が起こったら階が増えたと思って下りて来る人間も居るから・・・念には念を入れておいた方がいいわ》


そっか・・・ダンジョンが揺れで増えた事が分かるから増えた階を目指す冒険者も居るだろう・・・まだ6階まで来てるのはサラさんだけだけど今後は増えるかもしれないし階を増やすのは夜に限定した方が良さそうだな


《それにいくらマナがあるからと言ってすぐに使うのは得策じゃないわ。特に私達は、ね》


「どうして?」


《アナタ・・・マナなしで戦えるの?》


「あっ・・・無理です」


そっか・・・僕のマナ=ダンジョンのマナ・・・ギリギリまで使ってしまえばラウル達みたいな奴らに対処出来なくなってしまう・・・まああんな奴らがしょっちゅう出て来るとは思えないけど・・・


《それに訓練するんでしょ?強くなりたいんじゃないの?・・・私は強くなる必要ないと思うけど・・・ダンジョンを拡げれば自然に強くなるのだし・・・》


「いや・・・強くなっても力の使い方が分からないとダメだ。ラウル達と戦ってそれが分かった・・・」


多分ラウル達はそこまで強くない・・・けど僕は戦い方を知らないから大量のマナを消費した・・・もしラウル達よりも強い人が悪い事をしたら・・・僕には止める術がない


《危険を感じたら無理しないのよ?》


「分かってる・・・ダンコの命でもあるしな」


《・・・分かってればよろしい。それじゃあ今から訓練する?どうせ夜まで時間あるし・・・》


「いや・・・少しダンジョンの様子を見ようかと・・・」


《・・・性奴隷・・・》


「え?いや別にサラさんを見るつもりじゃ・・・」


《ペギーちゃんはどこへやら・・・エロガキ》


「違うって!別に・・・って聞いてます?ダンコさん?」


正直・・・その・・・興味はある!


もしサラさんの前に出て行ったら・・・なんて考えもする


だけどそれは叶わないからせめて見るだけでもと思ったんだけど・・・いや、ダメだ!僕にはペギーちゃんが・・・でもそのペギーちゃんとは・・・


「・・・あ、やっぱり訓練に行こうかなー・・・あははは・・・」


無言のダンコのプレッシャーに負けて僕はサラさん達を見るのを諦め訓練所へのゲートを開いた


ちょっと・・・見たかったなぁ・・・




訓練所に着くと魔物達は戦いを止めてこちらを伺う


まるで教室で騒いでたのに先生が入って来た瞬間に黙る生徒達みたいだ


「続けてくれ・・・あ、後もう強くなれないと感じたら止めていいからね。上限があるみたいだし」


そう声をかけると魔物達は一斉に頷いた


と言っても僕が止めないとずっと戦い続けるのだが・・・休まず何日もずっと・・・


魔物は強くなると言っても底なしに強くなる訳ではない。スライムなんてどんなに頑張っても中級未満の強さにしかならない・・・魔族になれば話は別だけど


「・・・また大きくなった?スラミ・・・」


魔物達に混じって訓練をしていたスラミ。今訓練所にいるのは低階層の魔物のみだからいくら強くなっても魔族であるスラミには敵わない。僕よりも・・・多分強い・・・


「はい」


「そっか・・・訓練付き合ってもらえる?」


「はい」


僕が構えるとスラミは微妙に揺れる。多分頷いた・・・のかな?


「スラミが人型なら対人間の訓練にもなるんだけどな」


やはりいくら強くても人間の動きとスライムの動きは違う・・・かと言ってゴブリンやコボルトは弱いし・・・そんな事を考えているとスラミが左右・・・そして上下に揺れ始め・・・


「・・・へ?」


人型のスライムになった


「はい」


「いや『はい』じゃなくて!・・・ええ!?」


《なによ・・・アナタが言ったんでしょ?人型ならって》


「いや言ったけど・・・ええ・・・」


頭から足の先までバッチリ人型だ。しかも・・・何故かお胸が・・・


《アナタの好みを熟知してるわね・・・大きい胸だこと》


「好みって!・・・いやまあ・・・好きだけども・・・」


《眷族とは常に繋がってるからね。アナタの趣味趣向はバレバレよ?》


「そ、そうなの?・・・ねえ・・・眷族はどこまで出来るの?」


《うん?どういう意味?・・・まさかヤラシイ事を・・・》


「違う違う!そうじゃなくて・・・ほら?僕はダンジョンマスターで、スラミはその僕の眷族なんでしょ?ならもしかしたらと思って」


《・・・なるほどね。『代行者』・・・そうね・・・うん》


「代行者?」


《私達ダンジョンコアは動けない・・・だから『代行者』と呼ばれる魔物を使う時があるの。その場に行かないといけない用事もたまにあるからね・・・そういった場合に『代行者』に権限を・・・そうね・・・魔物を創ったりダンジョンを増やしたりは出来ないけど魔物の配置や簡単な事なら出来るわ》


魔物の配置が出来る・・・それを聞いて閃いた


「じゃあ昼間はスラミに管理してもらえば・・・」


《アナタの負担はかなり減らす事が出来るわね。それに命令次第じゃこれまで以上にマナを増やす事も・・・》


「え?そうなの?」


《私・・・つまりダンジョンコアの思考ってどうも機械的なのよね・・・決められた時間に決められた魔物を配置する。そうなると最初に入った人間に倒された場所は時間が来るまで魔物なし状態になるわ。けどスラミなら・・・》


「倒された後にすぐ配置出来て次の冒険者にも・・・って事か」


《そうよ。たまに居るのよね・・・運良く魔物に出会わずに次の階に行けちゃう人間が》


「・・・まるで見て来たような言い方だね・・・そんな人いたっけ?」


《言われてみればそうね・・・何故かしら?》


とぼけている訳ではなく本当に分からない感じだ。そう言えばダンコの知識とかもどこで得たんだろう・・・不思議だ・・・


「ま、いっか。とりあえずスラミ・・・相手になってくれ!」


「はい」


スラミの可能性はさておき、今は訓練に集中しよう。せっかく人型になってくれたんだ・・・今後の為にも・・・強くなる!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ