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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
一部
119/856

116階 風呂場の攻防

やっっっっと自由だ!なんだかんだこの1ヵ月近く何かと大変だった・・・まあいずれはやらないといけないことの前倒しだし無駄な努力にならないから良いんだけどね


結局ダンジョンは70階まで拡張して残りの時間は『シャドウ』との戦いに終始した


っていうのもこの『シャドウ』という魔物が優秀過ぎた


何故なら『シャドウ』は相手の力をコピーする能力があるからだ


そのままならぶっちゃけスライムより弱い・・・けどコピーされたら相手と同等の力を持つ事になる。それなら複数人で相手すれば簡単に倒せるのでは?と初めは思ったがそうもいかない・・・何故なら『シャドウ』はコピーした力を100%使いこなすからだ


僕もそうだけど普通は先の事を考えて力をセーブする。ダンジョンなんかは特にそうだ。目の前の魔物を倒せば終わり・・・って言うなら全力で相手するけどいつ次の魔物が出るか分からないダンジョンで全力を出せるのなんてボス部屋くらいだろう


だからコピーされるとかなり厄介な敵となる


僕も初めて戦った時は同じ力なんだから引き分け以外ありえないだろうと思ったけど、僕の全力ってこんなに強かったの!?ってびっくりしたほどだ


何度も戦っては逃げてを繰り返しようやく最初にコピーされた僕の力を上回る事が出来た・・・要はコピーされた時の自分を超えられたのだ


ずっとそれを繰り返せば確実に強くなれるだろうけど・・・正直もうやりたくない・・・


《まっ、シャドウはある一定の強さまでしかコピー出来ないからずっと出来るやり方でもないわ。それよりも70階までの公開はいつにするの?今日?明日?》


「まだ作っただけで何も手直ししていないし・・・ゆっくり公開していくつもりだよ。そんなに急ぐ必要もないでしょ?」


《何言ってるの・・・70階まで到達出来そうな人間がいるのに勿体ないじゃない》


「・・・それってシークスの事?」


《そうよ。あの人間なら70階まで到達出来る・・・1人が到達すると不思議なもんで次々に到達者が現れるのよ・・・ほら、人喰いダンジョンだと1箇所で止まると何故かずっとそのまま先に進めないっていう・・・その逆ね》


「へぇ・・・でも疲れたからしばらく休む!」


《なっ!?・・・せっかく70階まであるというのに・・・しかも攻略出来そうな人間まで・・・口惜しや・・・》


「そう落ち込むなって・・・魔物も階層もほとんど準備は出来てるんだ・・・順次開放していけばいいよ・・・とりあえず僕は寝る!おやすみ」


《ハア・・・別に良いけど・・・それより良いの?》


「何が?」


《ローグは帰還・・・けど()()()()()は行方不明のままよ?》


「・・・あっ!忘れてた!」


ヤバイどうしよう・・・前回は他の街に行ってくると言って休んだけど今回は特に何も言ってないし・・・で、でも僕を気にかけてくれる人なんて・・・


《もしかしたらアソコに行ったかもね》


「アソコ?」


《ほら、アナタってば街出身じゃない?なら行方知れずになったら真っ先に・・・》


「まさか僕の家まで?でも探す理由なんて・・・」


《アナタねえ・・・同期会とやらに毎回参加してたまに食事も誘われているのにまだそんな事言っているの?アナタが逆の立場でも気にならない?友達が何も言わずに急に居なくなったりしたら》


なる・・・気になる・・・絶対家を訪ねてしまう・・・


《しかも期間は1ヵ月以上・・・その間にアソコに確認しに行かない訳がないじゃない。別の場所に住んでいると伝えてたのならまだしも》


そう言えばどこに住んでいるか聞かれた事ないな・・・てっきり興味が無いからだと思ってたけどもしかしたら実家で普通に暮らしていると思ってたのかも・・・


《さて・・・どこ行っていたかの言い訳とどこに住んでいるか聞かれた時の対策・・・もちろんしているわよね?》


ぐっ・・・していない事を知っていて聞いてるのが丸分かりだ・・・どうしよう・・・


「外に出ていた!普段は宿屋暮らし!どう?」


《外ってどこよ?それに兵士の安月給じゃ宿屋暮らしなんて出来るわけないでしょ?》


はぅ・・・どうしよう・・・


《・・・仕方ない・・・熱血編でいくしかないわね》


はあ?・・・熱血編??──────





私はなぜあんな事に・・・


歩きにくい状態で訓練所を出て直接風呂屋に・・・そして脱ぐと自分でも驚いた・・・あれはなんなのだ?


漏らした訳ではなさそうだ・・・匂いを嗅いでもあの匂いではなかったし・・・服まで濡れなくて良かったがあのままあれを穿いて帰るのは少し・・・イヤだな


「ふぅー・・・しかし凄かった・・・」


シークスの強さにも驚いたがそれを上回るローグの強さはもはや別次元・・・更に全盛期にまだ戻っていないと言うから驚きだ


湯船に浸かりながら天井を仰ぎ、あの戦いを思い返すと・・・なんだかムズムズする


これは・・・


「どうもー!マホ&ヒーラでーす!」


!!??


ムズムズする場所に手を伸ばそうとした時、ドアが開け放たれ裸のマホとヒーラが入って来た


なぜここに?ダンジョンに行ったのでは・・・いや、そもそもここは個室のはずだが・・・


「すみません、混んでて空きがなくて・・・店員さんが以前私達がサラさんがのぼせてしまった時に立ち会ったのを覚えてまして・・・」


「混んでて?私が入る時はガラガラだったぞ??それに私の承諾なしに知り合いだからといって勝手に相部屋にするのはどうなんだ?」


「まあまあ・・・そんな事よりサラさん・・・なんでこんな時間からお風呂に?」


うぐっ・・・話をはぐらかすだけにしてはなかなかヘビーな質問をしてきおって・・・


「その・・・アレだ・・・昨日入れなかったからな・・・その分だ。・・・それにそっちこそ風呂に入りに来ているではないか」


「あー、私達は・・・ねえ?ヒーラ」


「はい・・・さっきのローグさんの戦いを見て・・・そのままダンジョンに向かおうとしたのですがこの状態では難しいと判断してここに来ました」


待て・・・『戦いを見て』の続きはなんだ?なぜそのままダンジョンに行けなかったんだ?気になる・・・もしかしたら私と同じ状態に・・・


聞くべきか・・・いやでももし違ったら・・・


「まったくヒーラったら・・・どうして戦いを見てそうなるのよ?」


ふ、普通はならないのか?


「そうですか?・・・あの戦いを見て昂らない方がおかしいと思いますけど?」


昂り・・・昂るとそうなるのか?いや、どうなったんだ?ヒーラは・・・


いつの間にかちゃっかり湯船に入って来た2人・・・こう見るとやはり肌が綺麗だ・・・私など至る所に傷痕があり2人より張りもないような気がする・・・1つしか違わないのにこの差って・・・


「そんなジロジロ見ないで下さいよサラさん。そんなに見られると・・・」


そう言ってマホは私の背後に回り込む


湯船に浸かっているのに・・・速い!


「この立派なお胸を揉んじゃいますよ?」


「ひゃう!・・・!?」


なんだ今のは!?まるで電気が走ったような感覚・・・ただ胸を触られただけなのに・・・


「あらー?サラさんその反応・・・」


「まるで準備万端って感じですね・・・まさかお一人で?」


何を言っているのだこの2人は・・・そ、そんな事より今はマホから離れないと・・・このままでは・・・


「あら?どこに行くのですサラさん」


しまった・・・挟み撃ちか


前門の虎に後門の狼・・・身動きが・・・取れん!


「しかしいつ見ても羨ましい限りです・・・これ程までに美しい体を求めない男性はいないでしょうね」


なんだ?何を企んでいる


「そうね。張りも艶も大きさも・・・女の私ですら惚れ惚れしちゃう」


「何を・・・私の方こそ2人の綺麗な肌を見て羨ましいと・・・」


「肌を褒めるって他に褒める所がない時の常套手段ですよね・・・まあ分かってはいましたけど」


何となく乗ってみたがやはりこれは・・・舌戦


しかも貶したり主義主張で戦うのではなく『褒め殺し』


勝てるのか・・・私はこの2人に・・・


「・・・肌が綺麗なだけではない・・・私は性格が男っぽいとよく言われるがマホとヒーラは実に女性らしい・・・羨ましい限りだ」


あまり褒め慣れてないからな・・・ここは作戦を変えて『自分を下げて相手を上げる』事にした。自分の悪い所はよく分かっているからな・・・これなら褒め慣れていない私でも出来る


「でも男って凛としたサラさんみたいな性格好きよね」


「そうですね。男性の輪の中に入って話せるのは凄いと思います。そういったところに男性は惹かれるのでしょうね」


「お、男は女らしい方が好きなはずだ。それに話せるというのは意識していない・・・つまり同性のような感覚で話せるという意味であって・・・」


「うーん、私も最初はそう思ってたんですけどね・・・距離を縮めるにはやっぱり話さないとって最近思うようになったんですよ」


「うんうん、距離が縮まらないと先に進めませんし話せるって大事ですよね」


そうなのか!?・・・いや、騙されるな・・・これが2人の手口!


「そんな事はないと思うぞ、うん。その・・・あれだ・・・」


言葉が出て来ない・・・褒めれば良いのか自分を下げればいいのか・・・


「そう言えばサラさん最近ボーッとしてましたけど、何か悩み事でもあるんですか?」


「そうでしたね。そう確かあれは1ヵ月前くらいから・・・」


「べ、別に何も無い。ただ最近は組合の事で色々あって考える事が多かったからそう見えたのだろう」


「そうでしたか・・・心ここに在らずって感じで心配してたんですよ?・・・今は大丈夫みたいですけど・・・」


「色々目処がついてきたからな・・・気も楽になって・・・」


「へぇそうなんですね。てっきり私は・・・」


・・・てっきりなんだと思ったのだ!?


「あれ?これって今日貰った通信道具ですよね?なんで風呂場まで?」


しまった!いつものクセでつい・・・


「しかもひとつだけですね・・・どっちの通信道具でしょう・・・確かサラさんはふたつ持ってましたよね?ケンと・・・ローグさんに繋がる通信道具」


「それは・・・」


「ちょっと気になったんですけど訓練所から出る時歩き方がぎこちなかったですよね?どうかしたんですか?」


「あ、いや・・・」


「私も同じような感じでしたのでもしかして・・・」


やはりヒーラも!?


あれが何なのか聞きたいが今はそれどころではない・・・どうにかして切り抜けなくては・・・


・・・切り抜け・・・あれ・・・なんだおかしいぞ?・・・2人の声が遠くに聞こえ・・・あマズイ・・・これは・・・



「ヤバッ!やり過ぎちゃった!どうしよう!?」


「のぼせちゃいましたね・・・大丈夫です、少し体を冷やして回復魔法をかければもう少し・・・」


「続ける気!?鬼か!」



何を続ける・・・つもりなんだ?


一体彼女達は・・・何の目的で──────

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