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ダンジョン都市へようこそ  作者: しう
一部
112/856

109階 協力者

ローグからその名が出ると皆の・・・特にヒーラの顔色が変わる


明らかに嫌悪感を持った表情・・・それも仕方ないだろう


「どうして・・・奴らが・・・」


絞り出すようにケンが呟くとローグはケンの方を見て静かに笑う


「使えるものは使う・・・君達を救う為ならな」


「・・・ローグ・・・手伝う条件は?」


ローグはシークス達を陽動に使い拠点に忍び込んだのだろう。ただあのシークスが厚意で手伝ってくれるわけがない


「ある権利」


「ある権利?」


「・・・少々上乗せさせられたがな・・・焦りは見せてないつもりだったがどうやら悟られてしまったようだ」


「何を・・・上乗せって・・・何を言われたの?」


「なに・・・単に決着をつけるだけだ──────」





──────ロウニール『ブラックパンサー』突入前


サラさんが攫われた


ニーニャとあの男の会話から連れ去った場所は『ブラックパンサー』が拠点としているあの建物って事までは分かったけど・・・


《会話を聞いて分かったでしょ?場所が分かってあの人間達が訓練所に居るとしても・・・待ち受けるのはアナタ以上の実力を持つ3人の人間・・・失敗するのは目に見えているわ》


「・・・でもあの男はサラさんの近くに居ない」


《だとしても!死にに行くようなものよ!1人でも厳しいのに3人よ!?》


ダンコの言わんとしていることは分かる・・・けど僕は・・・


どうすればいい・・・確かに1人で突っ込めば捕まるのは目に見えている。かと言って誰がいる?あの3人と渡り合えそうな人・・・・・・騎士団のケイン達なら・・・あの後から来た3人もかなり強いらしいし兵舎に駆け込み協力を・・・



ダメだ・・・僕が言っても聞いてくれないだろうし、ローグでも・・・ケイン達を動かすような証拠がない


『ブラックパンサー』がサラさんを攫った・・・そう言っても聞いてはくれないだろう


だとすると・・・・・・あっ


《ちょっと!どこ行く気?》


「奴らに対抗出来そうな人が居る場所に」


『ブラックパンサー』の連中は恐らくランクをわざと上げてない。多分全員Aランク並なのだろう。なら本当のAランクなら対抗出来るかもしれない・・・少なくともあの人なら・・・



ダンコの制止を振り切り、やって来たのは歓楽街


ローグの格好のまま歓楽街を突き進むと僕の歩くスピードより情報の方が早かったのか一番奥で待ち構えていた


「やあ女を抱きに来たのかい?ダンジョンナイト」


「ちょうどいいシークス・ヤグナー・・・話がある」


シークスと名前は忘れたけど後ろにいる3人・・・彼らは全員Aランク冒険者・・・彼らなら建物の中に居るであろう3人を・・・


「まさかのご指名・・・けどボクはそういう趣味はないけどね」


「・・・私もない。話というのは『ダンジョンキラー』・・・君達の力を借りたい」


「・・・は?待て・・・待て待て・・・どの口が言ってんだ?」


「この口だ」


「見えないって・・・本気か?・・・いや、正気か?」


「本気で正気だ。サラが攫われた。攫ったのは『ブラックパンサー』・・・今は拠点にしている建物の中に居ると思われる・・・なのでサラの救出に君達の手を借りたい」


「サラ・セームンが?『ブラックパンサー』に?・・・ハハッ・・・なんだお前ら揉めているのかい?しかもサラを攫ったって・・・クックッ・・・笑わせる」


「建物のどこかに幽閉されていると睨んでいる。だが場所までは分からない・・・だから君達が正面から突入して、その間に私が・・・」


「おいおいおい・・・何勝手に話を進めているんだ?ボク達ってそんなに仲良しだったっけ?」


「知らない仲ではないだろう?」


「・・・本気で言ってんのなら治療を受けた方がいいよ?それともボクが頭の中を覗いてあげようか?」


「手伝ってくれないのか?」


「・・・ダンジョンナイト」


「ローグだ」


「・・・ローグ・・・君が何を考えているのかさっぱり分からない。ボクとしてはサラ・セームンが攫われようが君が『ブラックパンサー』に殺られようが痛くも痒くもない。むしろ清々するくらいだ。それを助ける?笑いを通り越して怒りを感じるよ・・・今なら見逃してやる・・・1人で突っ込んで死んで来い」


「なるほど・・・『ダンジョンキラー』はエモーンズダンジョンを諦めた・・・そういう事か?」


「・・・なぜそうなる?」


「私が死ねばエモーンズダンジョンには入れなくなる・・・一生な。『ダンジョンキラー』はダンジョンに入れなくてもダンジョンを消滅させることが出来るとでも?」


「諦めた・・・今キッパリとね。これで納得したかな?」


「・・・そうか・・・どうやら『ダンジョンキラー』は『ブラックパンサー』が怖いとみえる・・・邪魔したな」


「挑発のつもりだろうけどお門違いだね。ボクらはただ君に協力する気がないだけさ」


「協力すればダンジョンに入れるようになる・・・と言っても?」


「・・・へえ・・・それなら一晩くらい考えてやってもいいかな・・・」


「今すぐだ」


「そうだよね・・・時間が経てば命は無事でも汚れていく・・・女は特に、ね。平静を装っているけど仮面の下は冷や汗ダラダラかな?少し立場を弁えた方が良いんじゃないの?」


「と言うと?」


「分からないかい?仮面を取り土下座して頼めよ!そうすりゃ考えてやっても良いって言ってんだよ・・・サラが大事なら簡単だろ?なあダンジョンナイト!」


「・・・どうやら無駄足だったようだ・・・ここで静かに暮らせダンジョンキラー」


すんなりといくとは思わなかったけどここまで話にならないとは・・・くそっやぱりケイン達を騙してでも・・・


「・・・ちょっと待てよ」


「なんだ?」


「・・・つまらない奴だな・・・交渉の仕方も知らないし・・・もっとボクを楽しませろよ」


楽しませろ?まだ交渉の余地はあるって事か?


ダンジョンキラーの目的はダンジョンを破壊すること・・・でもそれは無理。なら僕は彼に何を与えられる?魔道具で釣るか?しかしそれだと今後もっと厄介になる・・・・・・そう言えばシークス達はなぜエモーンズに残った?そう言えばこの前僕を誘き出すとか言ってたような・・・


「1ヶ月後・・・場所はダンジョンの訓練所・・・」


「ん?」


「1体1で勝負・・・これでどうだ?」


「あのねぇ・・・なんでボクが好き好んで君と・・・」


「ダンジョンは出入り出来るようにする。それに安心しろ・・・()()()()()()()()


最後の言葉を聞いてシークスの目の色が変わった


初めてシークスと対峙したのはダンジョンでサラさん達を彼らが襲っている時だった・・・その時の僕はシークスに勝てなかった・・・だから戦わずしてシークス達を落としたんだ


恐らく彼の中でまだその時の続きが残っているんだ・・・それでダンジョンに入れなくなってもエモーンズに残り虎視眈々と・・・僕と戦う機会を待っていた・・・はず


「君と戦う事が協力の対価?君にそれ程の価値があるとは・・・」


「私に勝ったらエモーンズダンジョンのダンジョンコアの在処を教えよう」


《ちょっとロウ!!??》


「っ!・・・その言葉に偽りはないね?」


「ない。ただし私に勝てたらの話だがな」


すまんダンコ・・・僕が思い付く最大限の譲歩がこれだったんだ


これは賭け・・・1ヶ月後に戦うと言った時、ダンコは何も言わなかった・・・つまり1ヶ月後ならシークスに勝てると判断したから・・・だと思う


これで動かなければ1人で行くかケインに嘘をつくか・・・ただケインに嘘をつく場合、嘘だとバレたら僕は拘束されサラさんは・・・


「・・・何をすればいい?」


「シークス!?」「おいマジか!」「乗るのかよ!」


「黙れ・・・正直いつか始末してやろうと思ってたんだ・・・人のシマを荒らした上に仲間になれって?舐めるのも大概にしろって感じだよね」


え?シークスと『ブラックパンサー』は接触してたのか?しかも仲間になれって・・・もしシークスがその勧誘を受けていたとしたら・・・ぞっとしないな


「で?早くした方が良いんじゃないの?時間が経てば経つほど人質の価値は下がっていくよ?」


「覚えてないのか?君達は正面から突入してくれればいい・・・後は私がやる」


「内容を聞いても?」


「簡単だ。騒ぎを聞きつけた奴らが1階に集まる・・・その隙に私は2階と3階を調べるだけ・・・単純だろ?」


「その格好で?目立つにも程があると思うんだけど」


「もちろん仮面とマントは外す・・・それに・・・」


「おまっ・・・その顔・・・」


僕はシークス達に仮面の下を見せた


もちろん本当の顔じゃなく・・・ドラゴニュートの魔核を使って作ったネックレスの能力・・・『変身』能力を使ってある人物に化けて


「シークス・・・お前双子だったのか?」


「ヤット喋るな・・・ローグ・・・ひとつ確認したい・・・お前は『タートル』か?」


「質問の意味が分からないが・・・私は『ダンジョンナイト』だ」


なぜシークスは僕に『タートル』と聞いたんだ?


変身したから?変身・・・そうか・・・あの男もそうだったな・・・


「・・・いけ好かねえ野郎共だね・・・次にボクの顔に化けたら殺すよ?」


「なら1ヶ月後はこの顔で戦うとしよう」


「なんでそうなんだか・・・もういいさっさと行くよ・・・サラはダンジョンナイトの次にムカつく奴だし『ブラックパンサー』にやられるには惜しいからね」


「シークス」


「なに?」


「もう一度言う・・・私はローグだ──────」




「はええ・・・ドラゴニュートの魔核って変身能力が・・・てか、シークスに頼むって発想がヤバイッスね」


ケンが言うのはもっともだ。私も頭に過ぎることさえないだろう


「そうか?実力的にはもっとも役に立ちそうだと思うが・・・まあ性格はアレだがな。そしてシークス達と拠点に向かい突入し、どさくさに紛れて2階へと上がった。その時に適当な奴に変身したがそいつが誰だかは知らない・・・まあ見たこともない冒険者だったよ。で、2階を調べてもサラが居なかったので上がろうとしたら慌てて3階に上がる奴がいて・・・2階で身を隠し3階に上がると誰も居ない・・・不思議に思い調べていると出て来たのだ・・・隠し部屋からオードがな」


そっか・・・あの時伝令が来てオードが上がって行ったタイミングがそれなんだ・・・


「危なく鉢合わせるところだったが身を隠しているとオードは気付かず1階へ向かった。それで私はオードに変身し下に降りて・・・後は皆の知るところだな」


だからまだ1階が騒がしく・・・となると・・・


「もしかしたらシークス達は・・・」


「多分兵士に捕まるはずだ」


「え?」


「あれだけ派手に暴れればイヤでも兵士が押し寄せるだろう・・・現段階では無実の『ブラックパンサー』の拠点に乗り込んだ無法者扱い・・・それがシークス達だ」


そうよね・・・『ブラックパンサー』の悪行は知られていないし・・・


「じゃあ『ブラックパンサー』は・・・」


「無論このままにしておくつもりはない。後で兵舎に行き事実を伝える・・・まああの地下を見て何も無いと思うほど兵士達は無能ではあるまい・・・む・・・」


「どうしたの?」


「サラ・・・それにケン・・・通信道具は持っているか?」


え?


私は慌てて懐を探るが・・・ない


ケンも入れていた場所になくて顔を青ざめさせる


「となると()()は・・・どうやら兵士達とぶつかる事は無くなったようだ」


「どういう事?」


「どうやら上手く活用しているみたいだな・・・ニーニャとあの男はダンジョンから出て行った──────」

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