Ch.3.17:魔術師と聖少女
大公の別邸を後にした魔術師タース・リディルプスは、人目を避けるために夜を待ち、闇を縫うように首都南東へと向かった。
鎮守の森として古来守り続けられてきた森の奥へと入って行く。周辺で暮らす人々が森を育むために出入りする道筋が細く続いているが、聖域とされる中心部に近づくと途絶える。
侵入を拒む心理的結界の一つであり、しかるべき茂みを抜けると、その先には獣道のような小径がさらに奥へと続いている。
タースは微風が吹き抜けるような静けさで、森の中心部へと向かう。
不意に、首筋に伸びてきた剣に気づいた。
気配はなかった。
「私だ。神の代弁者である」
「これは失礼致しました聖導師エクァープ・レオッグ様。気配を殺して闇夜に近付く怪しげな賊と思いました」
剣が引き戻され、鞘に収められた。
タースは振り向き、袖口で隠し持っていた宝珠灯を取り出す。宝珠を支える台座を捻ると、薄明かりが灯る。森の外までは届かない弱い光だが、暗闇の中では眩しいと思えるほどに明るく感じられる。
薄明かりに照らし出され、剣を収めた者の姿が浮かび上がる。
白地に青い線の入った騎士服は、宝珠灯の明かりを浴びてほのかに神々しい光を放ち始める。日中は見えず、神聖なる宝珠の光を浴びて放たれる、神の加護の証とされる聖なる光である。
ウォイク聖国の聖騎士であった。
「警戒が厳重なのはいいことだ」
「しかしながら聖導師様は不用心ですな。私でなければすでに首を切り落としていたでしょう」
「やってみるがいい。その前に貴様が死に行くぞ」
タースはローブの襟元を広げて、首輪を見せる。
防御と反撃の魔術が込められた魔石が嵌め込められているのが分かる。ウォイク聖国では、守護宝珠と呼ばれている。
「さすがは聖導師様」
「世辞は要らぬ。隊長のもとへ案内しろ」
「どうぞこちらへ」
聖騎士の案内で森の奥へと更に進むと、火を焚かずに潜む一団があった。彼等は気配を殺して潜んでいるが、息苦しくなるような圧迫感が森の中に満ちている。
夜行性の動物も、警戒して縄張りの主張をしないほどだった。
見える範囲に七人。微かに感じられる気配で五人。だがもっといるはずである。
御神木と言える大きな木の根元に座っていた一人が隙のない動作で立ち上がると、近づいてくる。聖騎士隊長である。
「聖務ご苦労様にございます」
「首尾はどうだ?」
「入国を認められたのは五〇騎。なかなか用心深い王です」
「仕方あるまい。聖騎士は一騎当千と過大な噂が広まっているのだ」
「過大とおっしゃいますか」
「心外か? だが否定したければ実績で示せ。そういう教えだろう?」
「いずれ真実を示す日も到来しましょう」
「すぐに来る」
「では――」
「大公の了解は得た。ヤスラギ・ユメカを討つ」
「一人の少女を殺すのに聖騎士五〇人とは、大げさすぎるようですがね」
「舐めてかかるな。あの剣が危険なのだ」
「魔剣の類いでしょう。ですが、我等聖騎士に下賜された聖剣ならば、聖なる言葉による加護があります」
「油断はするな。それと、機会は一度限りになろう。どうにかして誘い出す」
「連絡手段は?」
「【聖秘遠話】は使えぬ。宝珠で光信号を送る」
「分かりました」
「し損じるなよ」
タースは闇に紛れるようにして、去った。
「さて――」
思案顔の聖騎士隊長はすぐに部下に一人の名を告げ、呼んでくるように命じた。
**
森の奥、泉の湧く場所は仄かに明るい。
地面に膝を突き、手を組んで天を見上げ祈りを捧げている少女の姿があった。
金色の髪を編んでまとめた姿は神々しく、周囲に光の粒子が舞っている。
「シーラ・デ・エナ、隊長が呼んでるぞ」
声を聞いて、少女はゆっくりと目を開けた。
澄んだ碧い目が、輝いて見える。
すっと立ち上がり振り向くと、呼びに来た聖騎士の方を振り向いた。
息を飲み瞬きもせずに見つめられているのが分かると、少女は微笑んだ。
「ナス・アンジョ殿、お手間をお掛けしました」
少女の声は鈴のように凜とした声は小鳥のさえずりのように響く。
白地に青い縁取り線の入った服は、光を帯びて少女の顔を美しく照らしている。
一歩、足を踏み出しただけで輝きが舞い、光の粒子が散って虚空に消えて行く。
「相変わらずエナは、聖霊に愛されているな」
「ナス・アンジョ殿を始めとした皆様のご指導のお陰です」
「謙遜しないでくれ。こちらが恥ずかしくなる」
「なぜです?」
聖騎士の少女は不思議そうに青年聖騎士を見た。
「七振りある聖剣の中で、最も神の力に近いとされる【真言如実の剣】を、入隊して三年とはいえ、十六歳のエナに授けられたのだ。嫉妬したくもなる」
「嫉妬など、神様の御心の前では虚しいもの。わたしが聖剣を与えられたのも先達のご指導のたまものです。それに、わたしの行いはすべて神様の功績なのです」
「そうだとしても、いつも聖霊に包まれているエナを見ていると、自分の無力さを教えられる」
「神様がナス・アンジョ殿に道をお示しになり、練達なさろうとされているのです。神様の愛は、等しく与えられていますのですから」
「私もいずれ、七色聖剣を託される聖騎士になれるだろうか」
「神様に祈り、御心のままに日々研鑽を重ねれば、必ずや神様から祝福されます」
「私もあの場所で神に祈りを捧げてもいいかな?」
「はい。清涼な泉の湧く静謐に満ちた聖なる場所は、神様の物です。神様を求める誰もが祈りを捧げていいのです」
「そうだな。悪いが、隊長のところへは一人で戻ってくれ。私はしばらく、神に祈りを捧げ、嫉妬などと言う悪しき感情が芽生えた私の罪を懺悔してくる」
「はい。そうなされば、神様もお喜びになるでしょう」
聖騎士の少女は一人隊長の元へと戻った。
そして、一つの命令を受けたのだった。
翌朝。
聖騎士の少女は隊長の命令に従い、アデュオイの城下町へ向かう道を歩いていた。
手紙を礼拝所に届ける任務である。
公式訪問ではないので、目立つ聖騎士服を隠すため、白のマントに身を包んでいる。
炎天下であるが、神様の加護によって涼風が熱気を払ってくれるため、暑くはない。
だが、頭は無防備だった。
ジリジリと刺すような陽射しを受け、額から汗が滴る。
「ああ、これも神様がわたしにくださる試練。悪魔が放つという煉獄の炎の熱に耐えられるようにと、未熟なわたしを練達してくださっているのですね」
背後から馬蹄の音が近づいてきたので、聖騎士の少女は左に寄った。
早足で駆ける白馬が通り過ぎてゆく。
その背には、白い服を着て腰に長大な剣を下げた人物が乗っていた。
「このような異国の異教徒の地にも、あのような立派な騎士がいるのですね」
市街地に近づくにつれ、道を行く人の姿が多くなる。
聖騎士の少女は、行き交う人々から向けられる視線に気づいた。
彼等にも神様の祝福があるようにと祈り、微笑んで顔を向けると視線を逸らされる。
内なる声に耳を傾ければ、理由はすぐに分かった。
いつも共に歩んでくださる目には見えない神様の存在を、異教徒の彼等も感じているのだ。神様の愛は等しくすべての人に注がれている。だが、悪魔の教えを受け入れた人々は神様から離れていったのだ。そのため、神の不在によって満たされない心が残されている。
「無意識に人は、神様を求めているのですね」
離れていった人々の心にも神様は常に語りかけてくれるので、彼等は共に歩む神様を求めて視線を向けてくるのだ。ただ、神様を裏切った無意識の羞恥心があるので、向けた眼差しに気後れして逸らしてしまうのだろう。
早く真実の教えを広め、人々を神様の御許に呼び戻さなければならないと改めて使命感が滾ってくる。
「ああ、神様。気付きを与えてくださり、感謝致します」
前方から馬蹄の音が近づいてきた。
視線を向けると、先程通り過ぎた白騎士だった。
あの人は真実に気付き、神様の御許に戻ってきたのだと聖騎士の少女は期待した。
馬は速度を落とし、並ぶように止まった。
だが、神様の存在を忘れた人に、いきなり真実を告げてはいけないと言われている。真実を受け入れる準備ができていないからである。そのため、相手を知り心の奥底にある神様を求める声を聞き分け、少しずつ真実に導かなくてはならない。だから、相手が無意識に発する神様を求める声を待たなければならない。
「失礼、お嬢さん」
「なんでしょうか、迷える御方」
聖騎士の少女は見上げる。
太陽が眩しい。
鞍上の白騎士の頭の向こうに、太陽がある。
顔は良く見えなかった。
「この炎天下、直射日光を浴びては体に毒。どうぞこれをお受け取りください」
唐突に、頭の上に白い鐔広帽子が乗せられた。
不意の攻撃にも対処できるように修練を積んでいただけに、聖騎士の少女は驚いた。
体が全く反応しなかったのだ。
悪意を感じなかったからだろう。
いつもなら、相手の攻撃が来る前に、神様の声が教えてくれるのだ。
「では失礼」
白騎士は馬主を返すと、再び城下の方へと馬を駆って戻っていく。
頭が涼しくなったようだった。
少しぼうっとしたまま、聖騎士の少女は白騎士を見送った。
道を行く白騎士が林の陰に入って見えなくなり、ようやく彼女は気づいた。
「ああ、これこそ神様がわたしを祝福してくださっている御印。わたしが陽射しの暑さに倒れぬようにと、神様はあの方の心を動かしてこれをくださったのですね。感謝致します」
手を組んで天に祈りを捧げると、聖騎士の少女は少し体が軽くなった気がして、足取り軽く、市内への道を歩んだ。
アデュオイ・シティは開放的な街だった。
周囲を囲む堅牢な壁などなく、柵も関所もなかった。
「これだけ無防備ですと、悪魔の侵入も容易でしょうに」
だから人々に向けた神様の声が、悪魔に阻まれて届かないのだ。
悪魔祓いをしなければと思いながら、聖騎士の少女は外町の中心部へ向かう。
途中、享楽の気配を避けて、表通りを逸れた。
複雑な路地を曲がり、礼拝所へと向かう。
聖言教の草の根活動拠点である。
隊長から教えられた道順だが、それを知らなくても何となく、方向が分かる。
神様が導いてくれるからである。
礼拝所は、古く崩れそうな建物だった。
大地を突き刺す剣の形をしたシンボルが目印である。
その剣の柄に付けられた環が、聖なる光である神を表している。
ドアを叩くと、のぞき窓が開き、何者かの目が見えた。
「何か?」
「今日はいい日ですね」
「お陰様で、毎日がいい日だよ」
「それは、天がお恵みくださるからです」
「どうして天は恵んでくださるのかな?」
「わたしたちが慎ましく手を合わせているからです」
「誰がそうしてもいいのかな?」
「厚く信じる心を持たなければなりません」
「何を信じればいいのかな?」
「真実を語られる主です」
「どこにいる主か?」
「天の中軸にある御座におられます」
「あなたが祝福されますよう」
「神様の祝福は等しく与えられます」
「ではどうぞ、中へ」
「失礼します」
ドアが開き、聖騎士の少女は薄暗い室内に入った。
粗末な服を着た男が立っていた。
奥へ行くように促され、聖騎士の少女は歩を進める。
暖炉の前に置かれたテーブルの前に、男が一人座っていた。
帽子を取り、マントを背に払いのける。
左足を一歩引き、右手を胸の前に掲げ、左手を背に回し、腰を落として頭を下げる。
「聖騎士シーラ・デ・エナと申します」
「私は宣教師アルエイバ。ようこそ同志よ」
「手紙を預かって参りました」
聖騎士の少女が手紙を差し出すと、宣教師は受け取って開封し、目を通した。
すぐに人を呼びに行かせると、しばらくして見覚えがある男が入ってきた。
「ん? エナか?」
「はい。エナにございます」
「他人行儀だな、見忘れたか? エティナイ・ヴァンだ」
「青の聖騎士様?」
「そうだ。覚えてないのも仕方ないか。一度儀式の際に会っただけだからな」
「失礼しました。騎士服をお召しに成られておりませんでしたもので。似ているとは想っていたのですが」
「あんなもん、ここで着ていては目立ちすぎる」
「おっしゃる通り。わたしも隊長の指示でマントを着て、隠して参りましたから」
「とはいうがなあ――」
「どうか致しましたか?」
「いや、だが、そんな小洒落た帽子も、隊長の指示か?」
「神様の恵みを頂いたのです」
「天から降ってきたとでもいうのか?」
「違います。男の方がくださったのです」
「べっぴんさんは得だねえ」
「すべては神様のお導きです」
七色の聖剣の一つ、青光の聖剣を与えられし聖騎士エティナイ・ヴァンは苦笑したようだが、すぐに表情を改めた。
「場所を変えよう。こっちだ」
青の聖騎士に付いていくと、建物の裏手に出た。
建物に囲まれた中庭で、周囲からは見えない。
未明と夜にはここで剣の修練をして腕が鈍らないようにしているという。
中庭を抜けて別の建物に入る。
間取りは狭いが、ベッドと机のある部屋だった。
青の聖騎士は、水をカップに注いで出してくれた。
一口だけ飲むつもりで口を付けたが、体に染み入るように一気に飲んでしまった。
生き返ったような心地がして、神様に感謝する。
なんの聖水かと尋ねたが、ただの井戸水だという。
きっと祝福されて特別な水になったのだと思い、神様に感謝した。
「聖導師様から指示があったので誰か来ると思っていたが、まさか聖騎士隊にエナがいるとは」
「先月、教皇様が神様からの御言葉を授かったと司教様に言われ、配属されました」
「うむ。神様は偉大だ」
「はい」
「だが、エナを連絡要員に使うとはな」
「隊長が、異国の首都を見ておくようにと」
「なるほど。だが、次は隊長が来るべきだろうな」
「わたしでは力不足でしたか?」
「逆だ」
「役不足と自惚れていないつもりでしたが、至りませんでしたか?」
「エナは目立つ」
「神様の祝福があるからですか」
「この国では、金髪が珍しすぎるからだよ。じろじろ見られなかったか?」
「わたしと共に在る神様を感じているのだと思っていましたが、違ったのですか」
聖騎士の少女は肩を落とした。
「――帽子を頂いてから通りすがる人からの視線が減ったのは、そういうことだったのですか。わたしは未熟者です」
「謙虚になるのはいいことだが、その帽子をくれたのは、どんな奴だった?」
「太陽を浴びて輝くような純白の服を着ていらっしゃいました。背が高く、肩幅も広く、腰に大きな剣を下げていたので、剣士か騎士かと思います」
「まったく、妙な御仁だ」
「知っている方なのですか?」
「おそらくな。私も声を掛けられた」
「どういうことでしょう」
「その男から『最近この辺りで怪しい奴を見かけたから、注意してくれ』と言われた。つまり警告だ」
「その方は悪なのでしょうか」
「神を信奉しないのだ。当然悪だろうな。だが借りはできた」
「借りとは?」
「その帽子だ。その金髪が目立たないようにしてくれた。そうでなければ今頃エナは、拘束されていただろう」
「悪の施しは受けません。返してきます」
「止めておけ。おそらくそいつは、白の騎士イーブ・ウィギャだ。仮に返しに行けば、彼にも迷惑がかかる」
「ではいずれ、お礼を兼ねて、神様の御許に導いてみせましょう」
「気負うなよ」
「はい。それではわたしの用件は済みましたので、失礼させて頂きます」
「いいや、まだだ」
「ですが――」
「手紙に書いてある。私の指示に従えと」
青の聖騎士は、体長の手紙を差し出して見せた。
聖騎士の少女はそこに、礼拝所の聖騎士の命令に従うように書かれているのを確かめた。
「ではご命令を」
「しばらく待ちだ。王宮に潜入している信者に、聖導師様の指示を伝えてある。条件が整えば連絡が来る手はずだ」
「何をするのでしょう」
「悪の手先、ヤスラギ・ユメカを討つ」
「何者ですか?」
「悪魔因子を持つ赤毛の少女だ。預言の書に記されている通りだった」
「分かりました。神様の代理執行者として、悪は滅ぼしてみせます」
「ダメだ。エナは戦うな」
「どうしてです?」
「経験不足だ。それに、聖騎士隊で討ち漏らすようなら、どのみち勝てぬ」
「でしたら尚更、わたしの【真言如実の剣】を使うべきです」
「預言の書にあるように、【真言如実の剣】が認めた者は最も神の加護が厚く、悪を滅ぼす力を授かる。だがエナは、その真実の力のすべてを解放できていない」
「ですが、目の前の悪を見逃すというのですか」
「悪魔は狡猾だ。乱れた心の隙を狙ってくる。だからこそ、慎重にならなくてはいけない。神様はエナに戦えと語りかけているのかい?」
「いいえ」
「ならば、経験を積み生き残るのが、エナに与えられた使命だよ」
「神様の御心のままに」
不満と感じた心を懺悔しながら、聖騎士の少女は待った。
城内から合図があったのは、翌日の未明のことだった――。
解説しましょう。
突然ですが、みなさんお待ちかねのミトー・マヤです。
さあ、みなさん、これからの私は自分で仕事を取りに行かなきゃ行けないので、ガンガン攻めの姿勢になって、前のめりで行きますよ。
実は聖騎士の少女、シーラ・デ・エナのものすっごい勘違いがあったんです。
みなさん、お気づきでしょうか。
炎天下に帽子を被らず、しかもマントを羽織って熱が籠もる状態で歩いていたため、すこし熱中症になりかかっていたんです。
道行く人も、金髪碧眼の彼女の顔色が悪いので心配げに見ていたのです。なのに彼女は笑顔を向けるので、勘違いだったかと、顔色が悪いのも元からなのかと思ってしまったのですね。ただ金髪碧眼は珍しいから、やっぱり注目を集めてしまうのです。
偶然通りかかったイーブが、通り過ぎる際に熱中症で倒れそうだと気付き、また、金髪碧眼だと市内に入れば外人だと噂が広まり、然るべき人が知れば聖騎士シーラ・デ・エナだと気づいてしまうと考え、帽子を買ってプレゼントしに戻ったのです。
彼女は熱中症になりかけで頭がぼーっとしていたので、イーブに帽子を被せられるまで反応できなかったという訳です。
あと、青の聖騎士は話を聞いて、そうした事情を察して、イーブに借りができたと理解したんです。
ちなみに、アマタイカ王国内での聖言教の布教は禁止されていて、武装集団である聖騎士隊は魔王軍討伐のために入国が認められたとは言え、首都近郊への立ち入りは禁止されていたのです。
それでも、密偵のように動き回っているのにイーブは気づいていて、馬で出かけていたのも、南東の森に聖騎士が集まっているらしいと知って、確認しに行った訳です。
イーブは気づいていながら、見逃していたのですね。
というのも、魔王軍との戦争で必要な戦力となるため、怪しい行動と思っても、明確な証拠が無い限り、穏当に治めなければならないからです。
どうです?
本筋にはなかなか現れない裏事情、これからも私、ミトー・マヤが取材を敢行してバンバン明らかにしていきますよ。
ではでは。
ミトー・マヤの解説コーナーでした。




