四、絶海の孤島
翌日。
2人はしっかりと生きるという目的を掲げ、夜明けとともに雄太の誘いで、2人は砂浜を歩いている。
雄太も加奈も結局、一睡もしておらずハイテンションだった。
「夜明け、すごかったね」
何も遮るもののない地平線の彼方から、光を覗かせると、海が黄金色に輝き、とてつもなく巨大な太陽が昇る。
2人は息を飲んで見つめ続けた。
加奈は思いだしていた2000年の大晦日に、家族と一緒に初日の出を見たことを、あの時は大勢の人で賑わう中の夜明け、背の高いおじさんのせいで、あまりよく見えなかったのを覚えている。
それと比べると、この日の出のなんと素晴らしいことか、ただ家族のことを思いだし感傷的な気持ちが起きるのを、首を振って振り払う。
いろんなことを考えだすと、一歩も動けなくなるのを彼女は知っている。
雄太のように極端な前向きにはなれないけど、出来る限り前を向うと加奈は思っている。
「ああ、そうだね」
雄太は頷くと立ち止まった。
「どうしたの?」
「ここで一周したよ」
砂浜を歩く前に、何気に砂浜に、彼が書いたらくがきが目の前に見えた。
「ということは・・・」
「そう、島だね」
「無人島?」
「どうだろう。島の奥は調べてないからね。でも、歩いている時は全く人の気配はなかったよね・・・そうかもしれない・・・さてと」
雄太は砂浜にしゃがみ込んだ。
「歩いてから、どれくらいかかったと思う」
加奈の腕時計はすでに水没してしまった時に壊れてしまっている。
「・・・そうね。30分くらいかしら」
体内時計で判断した。
「俺もそのくらいだと思う」
「小さな島だね」
「うん、そうだね。およそ毎時5㎞のペースで歩いたとして30分とすると・・・」
「えっと、きのしたのじっちゃんばっちゃんで、・・・・・・2.5㎞くらいね」
「周囲2.5・・・ずいぶん小さな島だな・・・」
雄太は腕組みをして、思案する。
「じゃあ・・・次は」
「次は?」
加奈は次の行動を雄太に尋ねた。それは、少しでも動くことにより不安を消したいという願望でもあった。
「どうしようか?」
彼から彼女へ返ってきた言葉は逆質問だった。
「どうしようかって・・・そんな」
表情を曇らせる加奈。
「君が決めてよ」
彼女に委ねる雄太。
「えっ・・・私が・・・苦手なんだけども」
と、戸惑う加奈。
「そうだよ。俺ばっかりじゃ、押しつけみたいになっちゃうだろう。それじゃ、つまんないし・・・俺は波戸さんの考えも聞きたいよ」
彼は出来るだけソフトな物言いで、彼女を促した。
しばらく黙ったまま考え込む加奈だったが、
「・・・わかった。お腹空いたし、朝ごはん。それから寝床の確保かな」
「よしっ!ありがとう。そういや、俺たちあの時から、なんも食べてないんだよね」
そう言った途端、雄太のお腹の音がぐるっ~と鳴った。
それを横目で見た加奈は、声をあげて笑った。