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演奏開始【ミュージック オン】

 弾丸の音が世界を支配する

そんな戦場の中で異質な武器を持つ少年は

走りながら奏でる様に一切、動きに無駄が無く

倒壊した町中で敵を倒している

一人あたり二回の破裂音で戦場を制圧していく少年は

黒い髪が似合う東方の雰囲気を持つ女性の様な顔立ち

それに加え身長が低く服装も軍部の女性用のサイズしかなく

恐らく初見では確実に女性と見間違う

そこまで戦闘開始から経ってないが

大半を狩りつくし相手は集団的に少年を狙うが

当たる気配がしない

隠れる場所はあるはあるが

崩れた家屋や外壁なため、防御力はない

相手は破壊力の権化かと思わんばかりの銃弾により

隠れた場所は全て完全に粉々

それでも当たらないのは少年の機動力

小さいながら筋力は凄まじいらしく

筋肉の持続体力及び瞬発力が人と比べられるものではない

一回の跳躍で軽く五メートルは超えている

しかも、武装が銃だったり短剣だったりと

暗器の達人という訳でもない少年は

どうやって武器を変えているか

それは手に纏わり付く紐状の塊が

生物のようにうねっているのが理由

蛇を彷彿とするそれは持ち主の意思をくみ取り変化している

あるものは額を撃たれ、あるものは首から血を吹き出す

それは攻撃の瞬間の刹那にもうその形になっているため

どんな攻撃で来るかもわからず持っているものを相違させた認識を

死者にもたらす

最後の一人となり、足を止め

弾丸を一発だけ最後に放つ

全滅した部隊は総勢で十人ほどだった

仕事を終えた少年は耳についたイヤホン式の無線でオペレーターに報告する

「えっと・・・・・・ 状況終了です」

「相変わらず早いね~ あとでお姉さんが撫でようか~?」

「結構です、それよりチサ姉のご飯増量がいいです」

「私というものがありながらあの牛女に気持ちを持つのね・・・・・・」

捨てられた女性みたいなことを言ってからかうのをスルーして

「ヘリは何分でつきますか?」

「先生、無視はいけないと思います!」

「茜さんは生徒なんですか? だったらふざけるところを注意したいです」

敬語であしらう少年はハッと忘れていたことを口から放つ

「シグリア レンフォールトン! 任務を終了いたします」

「おお~ よく言えました~ あとで私の秘蔵であるプリンを・・・・・・」

「いりません」

オペレーターの声にかぶせるように言い放つ

「作戦がバレてるっ! ひどくない!」

過去に少年にプリンを食わせた後に

食べた代価として一日、メイドということがあった

「私の堕落した天国には君という天使が必要なのに!」

何を言ってるか、元々わからないのがこのオペレーターなので

気にせずに待ち時間の暇を潰すため仕方なく話題を振り続ける

「もう少しチサ姉を見習ったらいくらでもメイドになりますよ」

「本当かい! どこがダメなのかな? 天使が拝めて

なお、僕の言うことを聞くならなんだって頑張るよ!」

咳払いをしてチサ姉こと千里 グローリアスのモノマネを始める

「今日もよく頑張ったわ・・・・・・ 私、そういう頑張る人は好きよ」

「似てませんし、ヘリが来ましたので回線を切りますね」

ブチッと途切れる音が響き

代わりにヘリの羽の音が遠くからする


 防衛壁要塞都市「エルド」

この国は防衛壁という特殊な修復を自立的に行う電子バリアと

その内部の合金で出来た壁があり

戦場を闊歩する半グールから守られている

土地の開拓用に戦場を歩く

シグリアなどは死者送り(サルベージャー)と呼ばれ

一種の軍人である

半グールとはこの世界の支配者として等しく存在する

元人間だが核を埋め込まれており

死者の魔神(グールメイカー)によって操られる

半分だけグールなのは意識がある中で体が不死だが言うことを利かない

ということを指しており、拷問にも近い状況から救出(サルベージ)と言う意味で

シグリア達はそう呼ばれる

そのため死者送り(サルベージャー)は特殊な武器を所持している

不死を殺すための武装

死神武装(リーパーツール)という持つだけで対価を払わなければ

死ぬ武装を纏う

シグリアの場合、血液を定期的に食わせている

意思があるのか喜ぶような反応がある時があり

少し愛着を持ってしまっていて

名前さえ付けているというのも珍しくないことである

ヘリの中で手に痛くない針が刺さっていたシグリアは

脱力感を覚えていた

貧血体質でも無いが吸う量が凄まじいので

少しの欠乏症が出る

しかし本人からしたらペットが美味しそうにご飯を食べていると言う認識だ

「おいしい? どんどん食べてね」

そんな言葉すら放つシグリアを微笑ましくヘリの操縦者は見ていた

数分後、少し太った武装は頬ずりをしながら全身で感謝を伝えようとする

言葉はないがどういう感情かはわかる

「美味しかったんだね」

軽くニコやかに優しい言葉を掛けるシグリアに

紐のような先端で頷く武装は

今度は腕に巻き付き休んだ

「おやすみ~ ウォッタ」

ウォッタとはウォーターという水の英語から付けた

造語であり、変幻自在であることを名で表すためにそういう呼び方だ

ヘリが降り立つ頃には眠気に勝てずヨダレを垂らしながら眠ってしまっていた

「あら? 疲れてたのね~」

向かえに来ていたチサ姉こと千里は

背が少し高く髪は金髪で目の下にあるほくろが

特徴の巨乳で美人なお姉さん系の女性

愛おしいものを見る目で微笑みながら

優しくお嬢様抱っこして宿舎の方へと歩いていく

その途中にオペレーターで回線でじゃれていた茜 グローリアス

黒い短髪で千里に少し似ているがほくろの無い

背が低い美人で貧乳を気にしているため

妹なだけに性格と胸と背丈以外がほぼ一緒である

千里の妹でシグリア、かつての悪友に

「シーちゃんがこの頃、冷たいんだよね~ このっこのっ」

と頬をつつかれていたが

そんなことはどうせ判明しないために茜をそうする

眠っている間しか嫌がられ避けられているためか

触ることが出来ない

「恐らくだけどね? 本当は好きなんだと思うわよ~」

「じゃあ、いつでもメイドをしてもらえる日が!」

「それを言う限り永久的に無理じゃないかしら~」

軽くディスったが茜は正論すぎて

忠告と捉えて考え込む

そんな茜をほったらかし宿舎についた千里は

二階にある二人部屋へと階段を登り廊下を少し歩くと

二人部屋の前で待つ少年と目が合う

背丈は高く、黒い髪をサイドだけ刈り上げた

目つきの悪い少年が駆け寄ってくる

「シグ! 今日は遅かったな」

「アルトラル グルシア中尉だったかしら~ いつもありがとうね~」

「はい! シグは俺の親友なんで!」

「ふふふっ あとは任せるわね~」

一応、ベッドに寝かせるまではして

部屋を後にする

いつもどおり深夜の時間に起きるシグリアのために

振動式の目覚ましをセッティングし

ベッドの脇に置く

「これでよし!」

頬を撫でてから

「おやすみ・・・・・・」

と自分のベッドに向かう


 振動が体に小刻みなリズムを与え、それによりベッドで目が覚めた少年は

寝ぼけながら部屋を後にする

廊下をふら~っと歩く姿はさながら美少女ゾンビだ

目的地は一階の食堂であり

お目当ては千里の用意した食事

寮にいるものの一部が深夜に食事をする

栄養価が吸収されやすいため

マイナスとプラスがあるが彼らはそれらをプラスだけにすることが出来る

毎日のようにとてつもないカロリー消費があるために

夜中にハイカロリーでも足りないくらいだ

「あら~ 今日は特に疲れていたのね~」

待っていた千里はその言葉を合図に調理を始める

あくびをしながら手頃な席に座り

机に伏しながら料理を待つ

数分後、大盛りの白米に大量の肉料理とサラダが運ばれる

「今日は鳥肉と野菜の糸切り炒めと~ 私の気まぐれ栄養サラダ~」

料理を前に体が本能的に欲するのか

お腹が盛大に鳴る

「いただきます・・・・・・」

一口を頬張ったことで目が覚めたのか

「おいしいです! 千里さん大好き!」

「ふふっ! よかったわ~」

可愛らしく頬張りながら食べるのを見るのが

隠れた癒やしだったりする千里は

和やかに見ていた

一方で軍の幹部が集う会議では

今回の任務で判明したことに驚きを隠せない

死者の魔神(グールメイカー)が存在せずに半グールが出現し

なお、何者かの命令は聞いていたということ

ヘリと共に来た調査班も信じたくない状況だ

重苦しい報告と謎が緊張感を限りないぐらい上昇させた

そんな中で研究部門の女性から会議に一報が入る

【調査班が回収した死体が消失した】


 たらふく食べたシグリアは食後のココアを楽しんでいた

「前から気になっていたんだけどさ」

後ろから不意に声を掛けられる

気配がまったくなく近寄るのは一人しか寮にはいない

「ここは男性寮ですよ?」

「なにを言うんだ? 美少女に言われたくないぞ!」

ビシッと指を立てながら前屈みに注意する

その少女の名はアルスタン ディオルア

シグリアのファンであり、ストーカーでもある

メガネに片方をお下げにした髪型で低い背丈に

見合わぬ巨乳であるがいつもはパーカーで着崩しているため

風呂が同じになった女子しか知らない

おとなしいのは見た目だけで性格はそこぬけに明るい

「大体、私がここに来ている理由は君なんだぞ?」

「なにかありましたっけ?」

よくぞ聞いた! と一枚の写真を取り出す

そこには寝ぼけながら椅子でヨダレを

垂らしながら眠るシグリアがいた

「この瞬間、私は恋をし、感づいた

この子を幸せにすることが使命だともね・・・・・・」

ふっ! 罪作りな天使だぜとキザにポーズを取りながら

熱弁するがその間に写真を奪取し破り捨てる

「この宝・・・・・・ あれどこいった?」

「これのこと?」

破片となった写真を平然と渡す

呆然として数秒の間、フリーズする

そのために何を言いたかったか言えずじまいな

彼女を尻目においしかった~と食堂を後にするが

千里に呼び止められる

「なんだか嫌な予感がするのよ~ デザートとか食べたくないかしら~」

「デザート! 今日は何があるんですか!」

キラキラと目を輝かせるシグリアは

どんな人でもイチコロな部分があるのを自覚しないため

「さっさあ! なにを作ろうかしら~」

少しペースが崩れることもあるのだ


  研究所区画 「アルケミスト」

「消えたというのは何体かね?」

髭を蓄えた老け顔のブリッジス大尉は怪訝な顔で研究者に尋ねる

誰もが背筋を伸ばす鬼の大尉であり

鬼神のブリッジスに対して臆することも無く研究者は

「恐らくですが十体の内の六体が区画を彷徨っているかと・・・・・・」

「それは恐ろしい事態だな・・・・・・ 避難勧告は終わったのか?」

「はい、ですが目的が不明です

本来の半グールの特徴からはありえません! 行動が逸脱しています!」

「まあ、興奮するな そういうところが厄介扱いの原因だと言ったはずだ」

「はい・・・・・・ 先生・・・・・・」

研究所区画は主に半グールの治療法と性質研究のためだが

回収した死体を一時保存する場でもある

しかし、そんな状況ながら一度も死体が消えるなどなかった

今回が極めて危険と判断が下ったのは初めてだからでは無く

非戦闘員であるものが住む区画にそれが存在するからだ

そのためにブリッジス大尉は呼ばれた

感知と攻撃力が一番強くかつては鬼拳【オーガマキシマム】とも

異名を持ったことがある

そんな彼でも感知が出来てない現状はさらに

危険度を増す

半グールの感知とは核の反応により生じる気配を感じるもので

それがないということは自ら核を体に埋めた者達で

人狩り【キラーハンター】と呼ばれる

秩序の無い世界で殺人のためだけに生きる流浪の盗賊みたいな

そんな欲だけの存在がいる

前々からシグリアが今回受けた任務の地には

不審な死体が転がっていた報告があったばかりで

もしかしたらと思っていた幹部が囮として容姿端麗なシグリアを

送ったことは秘密事項だが

実際に引っかかるとは思っていなかった幹部は会議で

あることを示唆した

もしかしたら特殊な武装である

共鳴武装【リンカー】を狙っているのでは? と

武装において対価が吸血な場合

進化する可能性は拭えず、性質が変わることがあり

共鳴武装【リンカー】になりやすい

その武装になると周りの死者送り【サルベージャー】の

武装を強化するため戦線がぐっと勝利に近づく

がその反面に半グールを寄せ付けるという

それぐらいの威力があるため

場合によっては昇格をすぐさまするつもりだったが

それが裏目に出てしまっている

もしかしたら昇格の前に死ぬかも知れない

シグリアの武装には弱点があった

吸血の後、一日は行動不能になると言う弱点が

今はとてつもなく無防備ということだ

「あの鬼姫なら大丈夫だろう・・・・・・」


  ドアを叩く音がドンドンっと勢いよく聞こえた

「ん? こんな夜中に訪問者?」

アルスタンが呑気にそんな言葉を放つ

通常、この時間は外からの来訪は確実に無い

だからこの少女も夕方のギリギリの時間で忍び込んでいる

たいした忍耐力だと誰もが感心する

「来たみたいね~」

「チサ姉? どうしたの?」

その言葉が言い終わるのを待っていたのかと思うタイミングで

食堂の窓を破り何者かが侵入する

「シグ君は私の後ろで隠れてなさい! アルスタンちゃん 戦えるかしら?」

シグリアを食堂のキッチンに避難を促し

アルスタンは武装である両手剣を呼び出す

そして対価である髪を少し切る

指に少しだけ柄の一部が握ってきた

「頑張るぞっ!グラムっ!」

呼応するようにもう一度だけ握られる

目の前にいる存在を睨むもう一人も武装する

薙刀の武装を久々に取り出す元 鬼姫【オーガプリンセス】

「久々ね なぎちゃん」

その言葉に刃先部分がお辞儀する

目の前の敵は六体

筋肉が目立つ黒のラバースーツにボロボロの着衣が

ニヤつきながら通常の半グールではありえない言動で問いかける

「男なのに女に守られるのか~! シグリア レンフォールトン!」

「半グールが言葉を喋った・・・・・・?」

「驚くのも無理は無いわね、あれは半グールではなく

人狩り【キラーハンター】という自ら半グールになる連中よ」

目を丸くしたアルスタンは少し時間をおいて

なるほどと小さく返す

「しかたねえな~ どんな悲鳴だったら俺たちと遊ぶかな~」

「それはこいつらを拷問すればいいんじゃね~」

勝手なことでわざと逆撫でるやつらは挑発のつもりらしい

目の前の地獄を体現する者の前で・・・・・・


 区画にいたブリッジスに簡易スイッチによる連絡が入る

「さすがは鬼姫だな・・・・・・」

「どうしたんですか? 先生」

「見つかった 対処に向かうからお前は幹部に報告だ」

「はい!」

ブリッジスは目的地までの最短ルートを一瞬で導き出し走り出す


 連携を取られながらも一体ずつ確実に仕留める鬼姫に恐怖を成したのか

人質を取ろうとする

しかし、アルスタンも異名がある

全能の斬師【ソードスミス】と

弱いと思っていた少女からの一撃は波状的な攻撃で

三体を一気に狩り尽くす

「おもしれえじゃねえか! だが良いのか? そんなに飛ばしてよ!」

狩られた五体が残り一体の「何か」で復活する

「それは核忌【ジェネレーター】っ!」

核忌【ジェネレーター】とは

半グールが核を埋め込まない代わりに外部で持つことにより

一時的に死者の魔神【グールメイカー】の能力を得たり

上級クラスになると不死性を上昇させ

武装でも何回か殺さないと倒せない

「そうだよ~ 僕らは何回か殺さないと死なないの~ あははっ」

「あら 簡単じゃない?」

「そうですね 弱いですし・・・・・・」

その言葉に表情を変え

「そうかよ! じゃあこれでどうだ?」

持っていた玉のような核忌【ジェネレーター】を翳す

すると周りの仲間達が一カ所に吸い寄せられ

肉と肉が溶け合う

みるみるうちに巨大な異形となる

「コレデ ワレラノショウリダッ!」

くぐもった音声合成ソフトのバグのような声で高々に宣言する

「アルスタンちゃん これはまずいわ!」

「確かに これはキツいな」

「もうすぐでブリッジスが来るからそれまで持たせるわよ!」

「げっ! まあ仕方ないか・・・・・・」


 寮の目の前の広場までブリッジスは来ていたが

入れなかったというより阻まれていた

グルルっと吠える犬型の合成獣が四体ほど目の前で威嚇を繰り出す

「てめらにかまってらんねえんだけどな!」

先ほどから首を蹴り飛ばしで吹っ飛ばしたり打撃により破砕はしているが

一行に動きを止めない

その挙げ句に再生までする始末だ

「てめえらは悪趣味なのか? その再生力で普通の犬とかにはならねえのか?」

恨み言を吐きながらどうしたら倒せるかを考えながら戦っていた


 アルスタンが吹っ飛ばされてシグリアの元で気を失っていた

「たった合成しただけでこれだけなんて・・・・・・」

千里も驚きを隠せない

膂力の上昇が倍以上ではなく桁違いまでだった

アルスタンは上級の部隊に編成を受ける程の実力だ

それが一回の駆け引きをミスしただけで戦闘不能となった

「これはマズいわね」

「チサ姉っ! 俺も戦うよっ!」

「何言ってるの! 武装が使えないのに危ないから下がってて!」

「大丈夫、対価をいつもより多めに払えば!」

「そんなことしたらどれだけの負担だと思ってるの!」

その会話を聞きながら棒立ちでニヤッと大きな口を歪ませる異形

「この姉ちゃんを助けたいよな~ あはは」

乾いた嘲りがシグリアを戦場に誘う

「ウォッタ! 行くよっ!」

空間の空気がガラッと変わる

「これは・・・・・・!」

共鳴現象を起こし千里やアルスタンを回復させる

共鳴武装【リンカー】の特有能力

想連の治癒【ハートフル】が発現したのだ

「ヤハリナ! ワレラノキュウテキ! ホロボス!」

鋭い眼光を異形に向けるシグリアは

ウォッタが巻きついた部分に集中を向ける

すると逆立ったウォッタが勢いよく腕に噛みつく

「ぐっ!」

数秒間でふらつきを覚えたが意識をどうにか保ち

構えを取る

奏神(そうじん)の太刀 音鳴りて呼び覚ます】

一瞬でシグリアは消える

そして異形の後ろに立ち、日本刀のような刀を構え終わると

異形の脇腹の深い斬り跡から血飛沫が吹き出した

「ナゼダ・・・・・・」

大きな音でドサッと倒れ込む異形は

徐々に灰になり、消え去っていく

血も全て消え去って匂いだけが残った

その様子を見てへたり込む千里

「助かった・・・・・・」

千里が死者送り【サルベージャー】をやめた理由は

失った恐怖と後に来たブリッジスは語った

そんなブリッジスは千里から大目玉を喰らったが

本人も「終わりよければ全てよし」

と気にはしてない様子で

さすが「元 三羽がらす」だ

後処理で来た軍の幹部は戦線に出ることになると言う言葉で昇進を告げた

同室のアルトラルは見送ってくれるだろうか?

新しい部隊ではどんなことになるのか少し怖い

いろいろな感情に複雑さを覚えるが

シグリアは明日を見つめる

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