19
後ろを振り返ると黒い魔人。
いつの間に後ろに回られたのかわからない。
ただ、その身体は闇でできているとしか思えない。
その質感は、ぼくたちの身体とは根本的に違っている。
ぼくは剣を振るうが、その身体は斬れない。
どういうことだ。
ぼくは影を相手にしているのか。
相手の攻撃が来る。
真正面からのパンチ。
なんとか剣で防ぐ。
ぼくは大きく後ろに飛ばされる。
そう、不動のパンチには確かに威力があるのだ。
それは影のようなものではない。
ぼくは氷魔法を見舞う。
でも、そのとたん目の前の不動は消える。
どういうことなんだ。
また後ろに現れる魔人。
瞬間移動をしているような動き。
相手をなぜかとらえられない。
魔人の顔に飛んできた仮面がはまる。
そのとたん、不動はパンチをくらわしてくる。
もしかして、あの仮面に秘密があるのか。
ぼくは仮面を狙って剣を振るう。
仮面はそれを避けようと、顔を離れる。
そのとたん、魔人の本体が霧散する。
だんだん相手の動きに目が慣れてくる。
消えるのではない。
まるで仮面が離れると、煙になったように身体が希薄になるのだ。
そして別の場所に現れる。
そんな感じだ。
そういえば、攻撃したときの刀に何かついている。
それは、小さな黒いもの。
よく見ると、これは蚊。
まさか、あの魔人は…
ただの蚊柱だというのか?
それなら、練習中の技を使ってみよう。
ただの剣で蚊を斬ることはできない。
それなら魔法なんだけど、魔法のスピードではよけられてしまう。
それなら、これだ。
ぼくは必殺技の準備を始めるのだった。




