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「せいぜい悪あがきしてください。
そのほうが観客を楽しませることができます。
残酷ショーの幕開けです」
仮面紳士が観客に問う。
それにこたえる歓声。
「残酷ショー。
そうなるかもね」
舞衣さんも踊りながら、猿翁の攻撃を避ける。
もう、攻撃はできず避けるだけに集中している。
舞台の隅から隅までを使って、攻撃を避けている。
でも、また捕まるのは時間の問題だ。
「殺せ!」
「捕まえろ!」
「やれ!」
観客は猿翁に声援を送る。
「さあ、観念してください。
猿翁、全力でお願いします」
「そろそろだね。
終わりにしようか」
舞衣さんはいきなり立ち止まる。
あきらめたのか?
でも、その顔は負けていない。
「わたしはね。踊り子だよ。
昔から踊りは神にささげるものだったの。
だから踊りは呪術的意味をもつんだ。
さっきからの踊りにはすべて意味があるんだよ」
「なんだと!猿翁、待て」
「遅いよ。
踊り子はね武闘家じゃなくて、魔導士よりなの。
魔導士の詠唱と一緒で踊ることで魔法を使うことができるの。
ファイアーダンス!」
舞衣さんが天を指さすのにあわせて、7本の火柱が上がる。
その火柱は猿翁に突き刺さる。
それだけでない。
火柱は天に上がると、降りてくる。
まるで竜のようになって空中を踊る。
そして、猿翁めがけて降りてくる。
猿翁は炎に包まれ、力つきる。
燃やされてしまったのか、酸素がなくなったのか。
猿翁はもう立ち上がってこない。
舞衣さんの勝ちが告げられる。
これで2勝。
「ごめん魔力切れ」
舞衣さんは、そう言って舞台を降りてくる。
ぼくたちは舞衣さんをハイタッチで迎えるのだった。




