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異世界黒猫サーカス団 異世界転移したらミミックだった  作者: PYON
第4章 仮面劇場

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04

 北の丘の上にテントを移す。

 これだけでも3日かかってしまう。

 サーカスは大掛かりなセットが必要なのだ。

 それに比べて仮面劇場は野外劇場で公演が可能なのだ。

 中央広場には石造りの舞台がある。

 その周りを幕で囲うだけでよいのだ。


 公演はあと10日ある。

 場所は不利だけど、やることをやるだけだ。

 風太さんと星姫さん舞衣さんと新しいダンスの練習をする、

 曲はスターエンジェルズの曲だけでなく、向こうの曲のカバーもやれる。

 設営をしながら新しいステージを作り上げたのだ。

 ぼくの動きもよりコミカルに完成されている。

 ステージとしての完成度は相当に上がっている。

 たぶん、向こうの世界でもそこそこ行けるんじゃないかなって感じだ。


 でも、客足は鈍い。

 仮面劇場はこの世界の伝統芸能のひとつだ。

 元の世界でいう能のようなものらしい。

 仮面の暗幕に浮かび上がる仮面で物語を紡いでいく。

 同じ仮面でも、角度を変えることで喜怒哀楽を表現することができるらしい。

 元は大衆芸能だったらしいが、舞台芸術へと高められた。

 これも能が世阿弥によって芸術となったことと同じだ。


 この町には仮面劇場は5年に一度くらいしか来れないため、観客はありがたがって争ってチケットを買いもとめたのだ。

 それにくらべて、黒猫サーカスのチケットは全然売れなくなってしまった。

 ぼくたちの評価は面白いから品がないに変わった。

 子供たちはサーカスに来てくれるんじゃないかと思ったけど、そうでもなかった。

 お金を出すのが親で子供には最高のものを見せたいと思ったからだった。

 サーカスは下品で低俗なものに成り下がってしまったのだ。


 これが仮面劇場の考えだったのだ。

 ぼくたちを潰す。

 それには直接ケンカを吹っかける必要はなかったのだ。

 公演をバッティングさせれば、ぼくたちは収入の手段がなくなる。

 団長や渋沢さんよりも一枚上手だったのだ。

 渋沢さんのやり方は向こうの世界でしか通用しなかったのだ。


 風太さんや塚井さんは別の町にうつるしかないという。

 団長によるとそれも意味がないということだ。

 どこにうつっても仮面劇場が追いかけてくるだけだというのだ。

 そう、ぼくたちは詰んでしまったのだ。

 あとは、仮面劇場を倒すしかない。

 それも協会が許さないだろう。

 ぼくたちから仕掛けるのは悪手だ。

 仮面劇場の実力もわからないし、もし倒せたとしてもそのバックには協会の派閥が付いているみたいだ。


「みなさんは心配しないでください。

 ぼくたちの仕事は最高の舞台を見せることです。

 だから、今まで通りやりましょう」

 団長はみんなを集めて言う。

 それは強がりにしか聞こえないのだった。

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