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団長を囲む格闘集団。
渋沢さんを守るようにそれに向き合う団長。
「多勢に無勢ですか…
それにボディガードはリング上。
してやられました。
降参といっても、それで済ませてもらえないんでしょうね。
まあ、わたしもそんなつもりはありませんが」
あきれたような顔で手を横に開く団長。
「当たり前じゃねえか。
お前たちを倒して、我々罵賭琉が理事の座をもらう。
魔王会議は実力の世界なんだ。
そもそもおまえらが理事になるのが間違いだったんだよ。
すまんが、死んでもらう」
「残念ですね。
わたしも格闘技は好きなんですよ。
向こうの世界でもよくテレビで見ていました。
それを一つ潰してしまうなんて、本当に残念です」
団長は芝居じみた様子で語りかける。
これが団長のやりかた。
無駄口をたたいているように思うが、話している間に相手を自分のペースに引き込んでいく。
団長に任せるしかない。
「やってしまえ」
首領格の男が部下に命ずる。
四方から屈強な男が襲い掛かる。
「あなたがたは石につまずく」
男たちの攻撃は団長に届かない。
そして、4人ともその場で倒れる。
次の4人が襲い掛かる。
「おや、あなたがたの足元にはバナナの皮が、気を付けてください」
次の刺客もその場で転ぶ。
その間に団長の前に渋沢さんが出る。
手には日本刀を持っている。
でも、この人は村人だったよね。
「渋沢流剣術師範、渋沢栢堂参る」
渋沢さんが残りの2人に駆け込む。
そして、目にも見えない剣撃を左右に打ち込む。
そう、その動きには少しの無駄もない。
派手ではないが、実践的な剣だ。
両側の2人は倒れる。
「安心してください。
峰打ちです」
渋沢さんはそう言って細い目をもっと細めるのだった。




