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「異議があります」
仮面の紳士がリングに上がってくる。
「しかし、もう決着はつきました
興行者会議の決定に文句でもあるんですか」
司会者がその男を制する。
「そうですね。
ガルバは本当に使えなかったですね。
やっぱり、格闘技といってもショーに過ぎないのですね。
しかし、これで黒猫サーカス団は終わりです」
仮面の男は指を鳴らす。
そのとたん、格闘場のドアが閉まる。
どういうことだ。
ぼくは出口に走ろうとする。
そこに仮面が回り込む。
「あなたがここにいるということは。
彼らにはボディガードはいないということです。
違いますか?」
たしかに、団長も渋沢さんも戦闘員ではない。
ぼくはボディガードとしてついてきたんだし…
とにかくここを出なくてはならない。
団長のほうに目をやると、まわりを屈強な男たちが固めている。
それも試合といった感じではない。
武装している。
最初からこれが目的だったんだ。
ぼくが勝っても負けても黒猫サーカス団をつぶすつもりだった。
遠方からくるぼくたちはどうしても少人数。
ボディガードは1人か2人しか連れてこれない。
結局、やつらはぼくだけだと読んだんだ。
だから、団長とぼくを分断させた。
ただ、こういうことをして白猫雑技団がどうするかだ。
顔を潰されたと思って、団長たちを守ってくれるかもしれない。
「この場でこういうことをしてタダで済むとおもってるんですか?」
司会者が仮面をにらむ。
「仮面劇場が責任をもって処理します。
それから…
青蛇歌舞伎団さまと赤蜘蛛人形劇団さまもわたしたちに賛同いただいています」
「そうですか…わかりました。
ここで大きな争いを起こすことはできません。
黒猫さまも理事のひとりです。
ご自分でなんとかしてください」
司会者は踵を返すのだった。




