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ローキックは避けられる。
態勢が崩れたところにパンチが振り下ろされる。
やばい、転がってよける。
パンチでリングが揺れるような感じ。
こんなの喰らったらグシャグシャにつぶれてしまうんじゃないか。
それほどの攻撃だ。
リングを転がるぼく。
それをパンチの雨が襲う。
チャンピオンとか言ってたな。
それだけのことはありそうだ。
なんとか立ち上がるけど、リングの端に追い詰められている。
ガルバの唇の端が上がる。
作戦通りといったところだろう。
右腕を振り上げて、観客にアピールする。
観客もそれにこたえる。
「ガルバ、ガルバ、ガルバ」
ガルバコールが起こる。
ガルバが拳を振り上げる。
普段の試合なら、ここで大技を決めるのだろう。
ただ、今日は殺し合いだ。
どうしても単純な攻撃となる。
そう、派手な技はどうしても隙が生じる。
プロレスというより、殴る蹴るがあるレスリングだ。
上からの攻撃、飛んで逃げるわけにはいかない。
しかたない。
腕をクロスさせて受け止める。
ガルバの拳が止まる。
なんの衝撃もない。
それどころか、ガルバの拳が砕ける。
闘気の戦いでは、こっちが勝ったみたいだ。
さすが人類最強と言われるアーノルドの力だ。
引き継がせてくれた団長に感謝。
そのまま、攻撃がはじかれて伸びあがった顎に掌底を叩き込む。
ガルバの身体が浮き上がり天井近くまで舞い上がる。
巨体はマットにたたきつけられる。
その顔を見るともう生気がない。
たぶん、気絶しているようだ。
リングに司会者が入ってきて、ガルバの様子を確かめる。
そして、ぼくのほうに近づいてくる。
「ウィナー、黒猫サーカス団!クラウン、アキラ!」
そう叫んで、ぼくを指さす。
ブーイングと拍手がぼくの健闘をたたえるのだった。




