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なんか物理的な法則とか無視しているぶっ飛び方だった。
こっちは衝撃を全然受けていない。
まるで自分の拳が別のものになったような感覚。
これが剣聖アーノルドの拳なのか。
ただ、相手は相当頑丈なやつだ。
すぐに顔を左右にぶるぶると振って立ち上がる。
相当鍛えられているのだろう。
「今のはなんだ。
だが、俺にはそんなやわな拳はきかない」
ガルバはそう言ってまた向かってくる。
その大きな手で張り手を繰り出す。
そう、拳と違って当たりが大きい。
それから、うまくいけば僕をつかむことができる。
それだけではない。
その手が光りだす。
魔法?気?
わからないけど、これは受けてはならないやつだ。
でも、真似をすることはできる。
ぼくの両拳も光り始める。
これは魔法じゃない。
闘気を練ったものだ。
波動みたいな感じ。
「かなりやると思ったら、おまえも闘気を使えるのか?
どおりで、さっき吹っ飛ばされたわけだ。
まあ、俺らの習性みたいなもんでな。
相手の技は受けてしまうみたいなのがあるんだ。
一瞬で試合が終わったらショーにならないからな。
だが、そうも言ってられないようだ。
本気でやらないと勝てないみたいだからな」
やっぱ、いままでは舐めていたのか。
なんか、こっちの力量を計ってる感じだったけどね。
本当は舐めていてくれた方がいいんだけど。
しかたない。
ぼくはファイティングポーズからシャドーボクシングを始める。
そして、かかってこいというように相手を挑発する。
そう、ぼくもやっぱり演じてしまう。
これはここのところショーマンが身についてしまったんだろう。
ガルバは、蹴りを放ってくる。
その軌跡は青白い光の線になる。
足にまで闘気を集めている。
この人、身体がでかいだけではないようだ。
しゃがんで蹴りを避ける。
そして、ぼくも相手の足元に滑り込むようにしてローキックを放った。




