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試合の時間になる。
ぼくはピエロの恰好でリングに立つ。
ぼくもこの姿になるとスイッチを切り替えられるようになった。
そう、自分を演じられるようになったのだ。
芸能人とかそうなんだろう。
本当の自分でない自分を演じる。
ぼくにとってピエロ服は戦闘服となったのだ。
ステージに立って少しジャンプしてリングの具合を確かめる。
どうなるかわからないけど、やるしかない。
ぼくはいつものステージのようにパントマイムで観客を沸かせる。
これで闘うってある意味サイコパスっぽくない?
向こうからはモヒカンの大男。
身体に鎖を巻いて吠えながら現れる。
なんか腕とかぼくの腰くらいあるし…
絶対2メートル超えてるし…
瞬殺必死じゃん。
おびえるそぶりを見せてステージから逃げるふりをする。
会場は大爆笑。
そう、大衆はこんな残酷なショーが好きなのだ。
「ではエキビションマッチを始めます」
仮面の司会者。
たぶん、あの仮面劇場の人なんだろう。
「青コーナー。
黒猫サーカス団、キラークラウン」
いや、殺人クラウンって。
ちがうでしょ。
なんか悪役っぽいじゃん。
やっぱ、ブーイングが始まる。
「赤コーナー。
新闘技場罵賭琉。
BNAヘビー級チャンピオン重戦車、我婁刃」
こっちには歓声と拍手。
いや、なんかまずいじゃん。
完全に悪者にされてしまっている。
それに魔法禁止だったよね。
ぼくのほうは魔法封じの魔法がかけられているのに。
相手はバリエンチャントしまくり。
スピード、アタック、デフェンスにバリアといったところか。
やっぱ、仕込まれてるよな。
お互いのボディチェックがなされる。
いや手にはめてるのなに?
手袋に鉄板ついてるんだけど…
それから、肘と膝のサポーターも…
クレームをつける間もなく、ゴングが鳴らされるのだった。




