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会食の会場に着く。
それにしてもきらびやかな街だ。
この世界で唯一のエンターティメントの街。
それは、非日常のテーマパークであった。
というより、この中世のような時代のものではない。
まるでブロードウェイをそのままこの世界に持ち込んだような違和感がある。
巨大な劇場群は夜になるとカラフルなネオンで輝いている。
たぶん設計に元の世界の人間が絡んでいるのだろう。
いろいろ見て回りたいところだけど、それどころじゃない。
今日は戦いに集中しないとね。
黒猫サーカス団を背負っているのだから…
パーティ会場の真ん中にリングみたいなのが組んである。
ここで闘うんだろう。
試合前に打ち合わせがある。
バトルのルールは…
格闘???
えっ?
武器、魔法の使用はなしとのことだ。
「それはだめです。
こちらの代表は剣士と魔導士なんですよ」
団長は食い下がる。
でも、相手は引かない。
「こちらは拳闘集団なんだ。
こんなところで魔法をぶっぱなすとかあえりえないでしょ。
単なるショーですよ。
エキビションマッチ。
勝っても負けてもうらみっこなしってやつですよ」
そんなわけはない。
この世界ではなめられたらおしまい。
だから、せめて剣は使えるようにしてほしい。
「そうですね。
あいさつ代わりの余興でしたね。
目くじらをたてるべき話ではありませんね。
じゃあ、お互いケガのないようにしましょう」
団長はあっさりと降りる。
嘘つきの力を使えば、交渉なんてなんとでもなるはずなのに…
「ではお手柔らかに」
団長はぼくのところに戻ってくる。
耳元でつぶやく。
「前川君、圧倒的な力を見せてあげてください。
あ、そういえば…
騎士団長アーノルドはね。
拳闘でも最強なのですよ」
そう言って団長はウィンクするのだった。




