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「ええ、自分の身を守る程度。
といったところでしょうか」
団長は静かに答える。
「では、理事にふさわしいところを見せていただけませんか。
エキビションマッチといきませんか。
この会議の余興としてね」
「いえ、わたしたちはそういうのは」
団長は汗を拭く。
「仮面劇場さま、黒猫サーカス団を推薦したのは、我々白猫雑技団です。
その決定に不満でもおありですか?」
眼鏡スーツの秘書が口をはさむ。
「いえ、しかしわたしたちも新闘技場罵賭琉を押していたのですからね。
どうして、黒猫が選ばれたかを証明してもらわないとね」
「ああ、あの下品な賭け拳闘場ですか。
あれは論外ですね。
黒猫サーカス団はわれわれの董事長がその舞台に惚れ込んで決められたのですが、何かご不満でも」
秘書が目を細める。
この人もなかなかの強者だろう。
発する気が半端ない。
「いえ、そういうわけではないのですが、我々が推していた興行団も、青蛇歌舞伎座さまにも相談しておりましてね」
上座に座っている着物の男に同意を求めるように視線を送る。
「わたしも賛成。
おもしろそうじゃない」
赤いドレスの女が口をはさむ。
「そうね。
では、あくまで余興ということでやらせてみましょう。
罵賭琉と黒猫から一人ずつ出して戦うということでいいですね」
白い少女は赤蜘蛛の首領を見て言う。
こっちには、視線も移さない。
「もし、黒猫が負けたら?」
「そうね。理事にはふさわしくないわね」
言質を得たというように、仮面の男はうなづく。
「でも、もし罵賭琉が負けたら、仮面劇場さんはどうするの?」
急に仮面劇場に話が及ぶ。
「いえ、それは…」
あきらかに焦る仮面の男。
「まあ、いいわ。
それでは明日の会食の前にということでいいわね」
白い少女はそう言うと、興味なさそうに口を閉じる。
「それでは、これで世界興行団会議を閉幕します」
司会がそう言うと、全員が拍手をし、魔王会議は終わるのだった。




