05
大飛行艇が近づいてくる。
でも、途中で違う方向へ。
空港というよりフェリー乗り場に近いかな。
ぼくたちの正面には、小型の飛行船。
っていうより気球って感じだ。
気球の下には小さな籠。
もちろん、屋根もない。
大飛行船を旅客機とすれば、セスナといったところか。
「黒猫サーカス団の方ですね。
どうぞお乗りください」
船頭、いや機長の人がドアを開けてくれる。
「はい、よろしくお願いします」
団長がそう言って乗り込む。
ぼくたちは後に続く。
席に座るとベルトを締めるように指示がある。
遊園地のアトラクションくらいの簡易な安全設備だ。
いざというときは、魔法で飛ぶこともできる。
団長とか渋沢さんまで助けられるかどうかだけど、なんとかなるだろう。
ぼくたちが乗り込むと気球は浮き上がり始める。
飛行機は翼の下と上との気圧の違いを利用して飛ぶらしい。
でも、こっちの飛行船はもっと単純。
気球の力で浮き上がって、プロペラで推進するみたいだ。
思ったより高く上がって、山に向かって進んでいく。
燃料は魔石という化石燃料で、元の世界の石油や石炭より効率がいいらしい。
「到着まで、約3時間くらいですかね。
少し寝ておきましょう」
団長はそう言って毛布をかぶる。
ぼくは眼下の広大な異世界のパノラマを楽しむ。
その地形は元の世界とは全く違うものであった。
遠くにずっと見えている雲を突き抜けるような大きさの木。
川の広さ、湖の大きさ、そしてナイアガラ以上と思える滝、巨大な岩山。
それは違う進化を遂げた世界であった。
それから、巨大な鹿や猛獣、恐竜のようなものもいる。
生物も違う進化を遂げているのだろう。
今回の旅は平原中心を飛ぶため、そんなに高度を上げないらしいが、山を越えるときは大型船でないと無理らしい。
上空では機内の温度が氷点下になるらしく、こんなふきっさらしの客室では耐えらないらしい。
団長と渋沢さんは眠ってしまってる。
でも、この風の音や固いシートではぼくは寝れそうにない。
ぼくもを毛布をかぶって眠ろうとする。
ぼくの膝の上の黒猫が這い出して毛布の中から顔を出すのだった。




