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渋沢さんの話によると、12のサーカス団の中でも特に力があるのは4つ。
白猫雑技団、赤蜘蛛人形劇団、青蛇座、茶犬歌劇団。
この4つの興行団が興行のすべてを決めている。
そして、国にもにらみを利かせているということらしい。
ぼくたちも、大きくなるならここに食い込まないとならないらしい。
渋沢さんの考えでは、その世界でルールを作る側に回ること、これが重要らしい。
そうしないといつまでも上に行くことができない。
それから、この興行団を統一することで、国とも戦える戦力を手に入れることができる。
渋沢さんはビジネスマンであると同時に、歴史にも詳しい人だった。
だから、自分の戦略を試してみたいという願望も持っている人なのだ。
今回は他のサーカス団の状況を探ること。
これが目的らしい。
この間攻めてきたサーカス団みたいに、こっちから攻めることも考えたほうがいい。
これが渋沢さんの考えだ。
団長はあんまり積極的ではないんだけどね。
とにかく、吸収できそうな興行団をみつけて、仲間にする。
これが今回の仕事。
でも、世界の興行団が集まるって、どんな所なんだろう。
「チェスターの町での設営に一週間はかかります。
その間に会議に出て帰ってきます。
かなりハードシュケジュールを覚悟してください。
そろそろ空港ですね」
「元の世界ではこれくらいのスケジュール当たりまえでしたよ。
プライベートジェットで飛び回っていたからね」
渋沢さんはスケールの違う話をする。
ぼくは飛行機さえ乗ったことがないのにね。
「空港から飛行船で移動です。
向こうの旅客機ほど速くありませんが、馬車に比べると直線で飛べるため格段に速いです。
とにかく初日までに帰らないとなりませんからね。
前川さんはサーカスのスターの一員ですからね」
そんな話をしている間に馬車は郊外に出る。
なにか気球みたいなのが何個か浮いている。
いや、あれは気球じゃない。
飛行船といった感じのフォルムだ。
楕円形の気球の下に船のようなものがついている。
その一つに向かって馬車は進む。
飛行船はだんだん近くなってくる。
その大きさがわかるようになる。
そう、思ったより大きい。
まるで、大型船が気球についているのだ。
船室も3階建くらいになっている。
その船の前で馬車がとまる。
ぼくたちは馬車を降りて、船の搭乗口まで歩くのだった。




