06
「それでは説明させていただきます。
ここは、マーベラスという世界の中のローランスという国です。
あなたがたの世界からすると異世界ということになります」
異世界召喚ってやつ。
でも、どうして?
「わたしたちは、召喚によってあなた方をここに迎えました。
それはわたしたちの世界を救うためです」
世界を救うために呼び出したのに、さっきのサラリーマンの人に対する態度は何なんだよ。
ぼくはそう言いたいのをこらえる。
それは、剣士たちがぼくたちを囲んでいるからだ。
浩二も拳を握りしめて我慢している。
「この世界には魔法というものがあります。
あなた方の世界では科学というものが発達しているらしいですね。
それがわたしたちにとっては魔法と思っていただいて結構です。
その最大の魔法のひとつがあなたたちを召喚するものなのです」
ふざけるな。
そんな自分勝手なこと、許されるわけないだろ!
みんなそう思っている、でもそれは口に出せない。
「この世界には魔王といった存在がいます。
そして、その魔王に我々は日々脅かされています。
そればかりか、この国は別の国と四方で接していて、他の国にも脅かされているのです。
だから、原初の魔法を読み解き、異世界召喚魔法を手に入れたのです。
その魔法により呼び出された異世界人は、こちらの世界の人間より強い能力をもってこちらに来るのです。
だからみなさんにお願いします」
魔導士は一度言葉を遮る。
「どうか、この国を救ってください」
もう一度最敬礼するルーバルト。
「ふ、ふざけるな!
たのまれれば、救ってやる。
だけど、この頼みかたはない!
わたしはおまえのいうことは聞かない」
サラリーマンが立ち上がる。
その身体を剣が貫く。
サラリーマンは血を吐いて絶命する。
どういうこと?
ぼくたちは必要なんじゃないの。
「おい、いちおう調べておけ、鑑定石でな」
老人は部下らしき人に頼む。
2人の人は何か占いに使う水晶玉みたいなものを持ち出してサラリーマンの手を置く。
「村人か…
はずれだな。
このガチャという魔法はこれが欠点だな」
老人はそう呟くと、再び営業スマイルに戻りぼくたちに向き合うのだった。