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異世界黒猫サーカス団 異世界転移したらミミックだった  作者: PYON
第二章 黒猫サーカス団

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29

 なにもなかったかのように、目を細めて笑う魔王。

 こうやるんだよって手本をみせたつもりなのだろうか?

 とくにぼくに視線を向ける。


「ありがとうございます。魔王様。

 また御手数をおかけしてもうしわけございません」

 団長が手をこすりながら、前に出てくる。


 魔王は返事をせずにぼくを凝視する。


「あ、この人は最近入った人で前川晃くんです。

 今回の戦いでも活躍してくれました。

 有望な新人です」

 

「知ってる」

 ぼそっと魔王はつぶやいて踵を返す。

 魔王にしたら朝飯前のことだったんだろう。


 でも、ぼくももっと戦えると思う。

 まだ、自分の力を使いこなせていない。

 魔王みたいな強さはないけど、あのおっさんくらいなら楽勝じゃないとだめだ。

 それくらいでないと、星姫さんを守れない。

 一歩通行なナイトかもしれないけど、ぼくの今の最大の使命だ。

 そして、目標は親友たちを助けること。

 それには、強くならないといけない。


 ぼくは、テントに戻る。

 風太さんがいろいろ話しかけてくる。

 いままでのよそ行きな感じはない。

 ぼくを仲間として本当に受け入れてくれたんだ。

 そういえば、星姫さんもさっき前川さんじゃなくて晃さんと呼んでたような気がする。


 そのテントに黒猫が入ってくる。

 うちのサーカスの大スターだ。

 ぼくの足に横顔と身体をこすりつける。

 そういえば、猫って自分の仲間と認めたら自分の匂いをつけるっていう。


 もしかしたら、こいつもぼくを認めてくれたのかもしれない。

 黒猫はそのあと身軽に飛び上がってぼくの膝に乗る。

 ぼくを見上げてニャーと鳴く。

 なでろってことかな。

 ぼくはそのつややかな毛並みを撫でる。

 頭をなでると、自分で態勢を変える。

 そう、猫は自分のなでてほしいところを撫でてもらえるように自分で身体を動かすのだ。


 明日からは忙しくなる。

 サーカスの練習だけじゃなくて、戦闘の練習も必要なんだから。

 それには早く休まないとね。

 ぼくは膝の上のモフモフを床に置こうとする。

 モフモフはそれを拒否するように片目をあけてぼくの手に爪を立てるのだった。


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