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異世界黒猫サーカス団 異世界転移したらミミックだった  作者: PYON
第二章 黒猫サーカス団

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28

 殺戮劇の幕があがった。


 ぼくは魔王というと、あのRPGのラスボスみたいなのを想像していた。

 悪魔みたいな恰好をしていて、とにかくでかくて強い。

 そういうのが魔王のイメージだ。

 でも、目の前の魔王は違う。

 黒い毛皮のコートを羽織った小学校高学年の少年。

 そして、それにしても華奢な感じもする。

 ただ、その発する気みたいなのは、とんでもないものだ。

 まるで、黒いオーラが見えるような気がするくらいだ。

 

 あのおっさんたちが、まったく相手にならない。

 格が違う。

 おっさんたちはファイティングポーズも取れないのだ。

 逃げ腰のおっさんたちは次々と魔王に撃破されていく。

 おっさんたちは力はあるが、スピードはそれほどでもない。

 魔王は空中を飛ぶように移動する。

 いつの間にかおっさんたちの懐に居る。

 まるで、テレポートしているようにも見える。

 

 首を斬られるもの、心臓をえぐり取られるもの、上空に飛ばされるもの。

 おっさんたちはだんだん数を減らしていく。

 

 もう、最後の一人となっている。

 いちばん身体のおおきいやつだ。

 おっさんは覚悟を決めたのだろう。

 魔王に向かって腕を振るう。

 そう、初めての抵抗だった。

 もし、運よく決まれば魔王は遠くに飛ばされてしまうだろう。

 それにかけたのだ。

 魔王が無事だとしても、逃げるだけの距離を稼ぐことができるかもしれない。

 でも、それはいちかばちかの博打。

 あの、すばやい魔王におっさんのパンチがあたるわけがない。


 おっさんのパンチは魔王に届く。

 魔王は避けずに、そのパンチを左腕で受ける。

 それは愚策だ。

 体重差、力の差は歴然。

 ダメージは受けないにしても飛ばされるだろう。

 おっさんの目論見どおりになる。

 そう思った瞬間。

 おっさんの拳は静止する。

 おっさんは必死に力を籠めるが、魔王の小さな拳に止められている。

 そして、その拳を引くこともできない。

 そののびきった腕を引くと、魔王が懐に入ってくる。


 魔王が拳に力を入れる。

 そのとたん、おっさんの腕が爆ぜる。

 つぎにおっさんの懐に飛び込む。

 そのまま、腹にパンチ。その部分に風穴があく。

 これで終わりだ。


 魔王は、その場でぼくたちに振り向いて不満そうな顔を向けるのだった。


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