27
「みんな無事ですか?
もう大丈夫です」
団長が走ってくる。
なんとか間に合ったのか。
ぼくは、折れた刀をおっさんの首に叩き込む。
なんとかひとりだけは倒せた。
でも、これまでだ。
あと10人くらいはいる。
そして、ぼくの目の前にもひとり。
でも、その攻撃はこない。
どうして?
ぼくの目の前には、ひとりの少年が立っていた。
その少年は、一言で表すなら漆黒。
黒の髪、黒い目。
そう、絵の具の安っぽい黒ではない。
あの、高級外車の黒、ブランド品の黒だった。
その少年がおっさんたちの前に立っているのだった。
おっさんたちの動きは止まっている。
みんなあの少年に目を奪われているのだ。
少年は僕を見る。
そして少し笑ったようにも思えた。
おっさんたちは明らかにおびえているのがわかる。
そう、やつらは野生なのだ。
ぼくたち文明人が忘れてしまったものを持っているのだ。
ぼくたちでもこの少年のやばさはわかる。
でも、おっさんたちの立場なら戦おうとするだろう。
もしかして、何かの奇跡がおきるかもしれない。
一縷の望みにかけるだろう。
だがそれは野生の考え方ではないのだ。
とにかく逃げる。
それを考えるべきなのだ。
おっさんたちは、でも動けない。
少年が何をするかわからないのだ。
逃げるものから倒すのか。
近いものから倒すのか。
誰かが攻撃を受けたらその隙に逃げる。
そう思っているのだろう。
少年が動く。
いや、彼の動きははっきり見えなかった。
いきなり、おっさんたちの中に移動して、その胸板を手刀で突き破るのだった。




