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「なぜ、効かないんだ。
わたしの能力がなくなったのか。
いや、違う。
そうじゃない。
こいつらは、ただの人間ではない。
もしかして、魔王さまと同じような…
考えが追いつかない。
晃くん、頼む。
なんとか、こらえてくれ。
わたしが魔王さまを連れてくるまで」
グレゴリオ団長はぼくの後ろに下がり、走ってどこかにいってしまう。
ぼくは手をかざす。
そう、魔法を使うために。
とにかく、おっさんたちを止めることだ。
「わたしも手伝うよ」
舞衣さんがぼくの隣に来る。
「大丈夫。僕だけでやってみるよ」
舞衣さんは体術で戦う。
だから、風太さんの二の舞になってしまうかもしれない。
それに、舞衣さんは女の子だ。
顔に傷でも残ったらだめだ。
「舞衣も前川さんも無理しないで」
星姫さんも立ち上がる。
そして歌い始める。
それは癒しの歌でもなく、ぼくたちを鼓舞する歌でもない。
物悲しいメロディ、ノスタルジックなメロディ。
敵に向かって歌う。
こっちに向かう敵の足が止まる。
これは子守唄だ。
おっさんたち以外はその場で倒れる。
星姫さん、すごい。
でも、やっぱりおっさんたちは眠らない。
やっぱ、あいつらはやばい。
ぼくが出るしかない。
そして、舞衣さんも出る。
でも、おっさんたちの足は止まっている。
星姫さんの歌、それは能力だけでない。
純粋に敵の心に届いているのだ。
身体をゆすってリズムをとるおっさんたち。
そう、聞きほれているのだ。
とにかく、これが終わるまでは時間が稼げる。
ぼくは、目で星姫さんに感謝して、剣を構え次の行動の用意をするのだった。




