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そう、ぼくは団長にもうひとつの力をコピーさせてもらっている。
あのアーノルドとかいう人の剣技だ。
ぼくは、おっさんの死角に回り込む。
っていうか、おっさんはこっちを見ていない。
今は風太さんをたたきつけるのに夢中だ。
このままじゃ、風太さんはやばいかもしれない。
たぶん骨折とかひどいんだろう。
前に出ようとする舞衣さんを止める。
舞衣さんも、体術系。
同じことになってしまう。
ぼくは舞衣さんと星姫さんを守るように前に出る。
おっさんは動きのなくなった風太さんを投げ捨てる。
そう、ぼくたちという次のおもちゃを見つけたのだ。
それも、おっさんの顔の向いているのは舞衣さんと星姫さん。
ぼくは眼中にないといった感じ。
いたぶる対象としては彼女たちのほうがいいみたいだ。
でも、それは絶対に避ける。
ぼくは上段に剣を構える。
自然に力が抜けて、いつでも動き出せそうな感じ。
べつに剣を習ったわけじゃないのに。
まるで、剣が手の延長のようにも思える。
これが達人の域だろうか。
おっさんがこっちに歩いてくる。
なにも構えをとらず無防備に。
ぼくは、おっさんを迎え撃つ。
そう、ゆっくりとすり足で動く。
相手の隙を伺う。
って、隙だらけにしか見えないんだけど…
相手を斬るイメージが脳内に浮かぶ。
それもいくつも。
まるで、10手先を読む棋士のよう。
これが達人の思考なのか。
ここだ。
とりあえず頭を潰す。
上段から剣を振り下ろす。
兜割の剣だ。
その剣をおっさんは頭で受ける。
これでおわり。
でも、剣は相手の頭にはじかれる。
おっさんの身体は剣では切れないのか。
それどころかおっさんに打撲のダメージもない。
ぼくは剣を戻し、次の手を考えるのだった。




