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風太さんは左右にフェイントをしながら懐に入り込む。
おっさんは4本の腕でパンチをするが、すべて簡単にすり抜ける。
風太さんの前では、素人とボクサーの戦いとなってしまう。
おっさんの動きも素人っぽい。
ただ腕を振り回すだけ。
腰がはいっていないのが、ぼくから見てもわかる。
逆に風太さんのパンチが決まる。
左右からこめかみ、テンプル、レバーと人間の弱点を攻める。
それから、一度離れる。
さっきの剣士が首領と呼ぶおっさんだ。
弱く見えても、様子を見たほうがいい。
どんな戦い方をするのかわからない。
もしかしたら、何か必殺技があるのかもしれない。
おっさんはクビを振ったり、腹を確認したりする。
ダメージを確認しているのだ。
でも、表情は変わらない。
そして前に出てくる。
ダメージはないらしい。
風太さんはまた連続攻撃をしかける。
今度は蹴りもつかう。
高く飛んで、おっさんの頭に踵を落とす。
その蹴りはまるで鉞のよう。
風太さんの攻撃は速いけど、威力に欠ける。
それを克服するために、足をつかって、それも体重と重力を加えて、威力を増している。
おっさんは完全に頭でうけている。
たぶん頭蓋骨が粉砕されているレベルだと思う。
おっさんは腕を頭に持ってきて、風太さんの足首をつかむ。
そのまま、風太さんを振り回す。
あれが効いてないの?
そのまま、風太さんを地面にたたきつける。
風太さんは身軽って言っても、成人男性だ。
少なく見積もっても60キロはあるだろう。
その身体を簡単に片手で振り回すのだ。
おっさんの武器は怪力。
一度ぶつけても、まだ離さない。
また、持ち上げて振り回す。
これじゃあ、風太さんの身体が持たない。
舞衣さんも同じ思いなのか、前に出ようとする。
でも、舞衣さんも体術で闘う。
風太さんと同じになるのはわかっている。
ぼくは、舞衣さんを止める。
そして、剣を構え前に出るのだった。




