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「おまえらは…
見ていたぜ。
なかなかの芸じゃねえか。
これからは、俺らのサーカスで稼いでもらうぜ」
真ん中の大きい男が大斧を構える。
その両隣を剣を持った男が固める。
そして後ろにはフードを着た人が2人。
木の杖を持っている。
たぶん、魔法使いだろう。
ぼくは剣を構える。
そのとたん、さっきまでの震えが止まる。
風太さんは…
獲物を持っていない。
まるで、拳法のような構え。
「舞衣、左のを頼むぜ」
「わかったわ」
左右の剣士に向き合う2人。
じゃあ、ぼくは後ろの魔術師をなんとかしないと。
この間の山賊くらいの強さならいいな。
後ろから星姫さんの歌。
アカペラだけど、きちんとしたメロディ。
魔法の壁を作るようなことをうたっている。
「さんきゅ、星姫」
まず風太さん、すごいスピードで右の剣士に突っ込む。
名前のとおり風のよう。
相手も、それに反応する。
風太さんの動きに剣を合わせる。
斬られる。
そう思った瞬間。
風太さんはひらりと躱す。
そう、まるで風に舞う木の葉。
剣の風圧で舞い上がる。
そして、急に重力を持ったように、剣士の頭上から踵を落とす。
それは完全に剣士の頭に決まる。
そのまま、倒れる剣士。
そして一方では舞衣さん。
こっちも体術だ。
いや、体術って言うより踊り。
くるくると回転しながら剣を躱す。
その回転速度はだんだん上がっていく。
左の剣士は、じれたように大きな動きとなる。
渾身の剣を舞衣さんに振り下ろす。
舞衣さんはその動きを待っていたように、カウンター気味に掌底を放つ。
その拳は綺麗に敵の顎を砕くのだった。




