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「お疲れ様。
すごい良かったよ」
団長が風太さんとハイタッチする。
「やっぱ舞衣ちゃんのダンスはすごいね」
「星姫ちゃんの歌は最高だよ」
「塚井ちゃんの動物ショーは無形文化財級だよね」
団長はひとりひとりに声をかけていく。
「そして、今日のMVPは前川くん。
サーカスにはピエロが必要だね。
お疲れ様」
団長が言うと、みんなが手を叩く。
「これで明日は満員御礼だ」
そんな簡単にいくのかな。
でも、みんな信じ込んでいる。
風太さんが言うには、この世界の娯楽ってサーカスくらいしかないらしい。
だから、いいショーをするとすぐに広まるっていうんだ。
それから、別のものも呼び寄せるらしい。
魔王さまがいるから大丈夫って言うんだけどね。
別のものって何だろう?
食事の用意ができてるらしい。
反省会兼初日の打ち上げが始まる。
もちろん、未成年はお酒抜きだ。
そういうところは団長は厳しいらしい。
いつか元の世界に帰るから、その時のために守るべき法律は守るってことらしい。
今日のぼくの動きについて、みんな褒めてくれるんだけど、風太さんと舞衣さんは厳しい。
「いい気にならないでね。
まだダンスは素人なんだから。
うわべを真似ているだけなの。
明日の午前中は特訓だからね」
「はい」
「舞衣。晃くんに厳しすぎるよ。
まだ、始めたばっかじゃん。
それにしては、十分できてるよ。
わたしも最初は踊れなかったじゃん」
星姫さんが助け船を出してくれる。
「でも、ステージに立つ限りはプロなの。
お金をもらってんだからね」
「いいんです。舞衣さんの言う通りですから
食事のあと教えてもらってもいいですか」
「うん。じゃあ、テントの裏に集合ね。
もちろん風太もね。
今日のダンス、あれ何?
なめてるの?」
いきなり矛先が風太さんにうつる。
「はいはい。
わかりましたよ。やればいいんでしょ」
風太さんは仕方ないというように肩をすくめるのだった。




