04
「なんか揺れてない?」
浩二がいきなり周りを見回す。
そういえば、なんか足元が揺らぐ。
というか、なんか乗り物に乗っているような感じ。
目の前のものがゆがむような感じ。
気持ち悪い。
なんで、地震じゃない。
もっと別の…
「マネカワ大丈夫か?」
浩二が声をかける。
ぼくは浩二と啓之を見る。
浩二はゆがんでいない。
それなのに、テーブルやいすはゆがんでいく。
なにか、まわりの景色が何かに飲み込まれていく。
そして、白い光の中にさっきいた人間だけが浮かんでいるといった感じだ。
隣の席で騒いでいた女子高生。
大学生くらいの男女。
パソコンをいじっていたサラリーマン風の人。
ぼくたちの周り5メートル四方くらい。
だいたい10人くらいの人が白い空間に浮かんでいる。
女の子は悲鳴をあげる。
パニック状態になる。
それが大学生にも伝染する。
「大丈夫か?」
浩二はまわりのことも心配する。
なんとか助けに行こうとするけど、身体は動かない。
どういうこと?白昼夢。
ぼくはなんか眠ってしまったの?
でも、なんかリアルだ。
夢と違う。
「浩二、これは現実だ。
なにかが起きてる。
気をつけろ!
そして、落ち着くんだ。
騒いでもなにもならない」
啓之が大声をあげる。
「そうだ!落ち着け!
大丈夫だ」
サラリーマンの人も声を上げる。
ぼくたちは上も下もわからないまま、漂い続ける。
そして、さっき景色が消えたところから新しい景色が現れるのだった。